「In excuse of」

Spoiler:Ｓ４「スモール・ポテト」かな？

Author:みっち

゛なんでこんな事になったのか…゛

その男の繊細な指先は、傲慢に我侭に彼女の体をさ迷って
すべての柔らかさを味わい、熱い唇は我物顔で彼女の白い肌に情熱の花弁を落す。
彼の動きは、もうずっと前から彼女の体を知っているかのように、
滑らかに進む。首筋から胸へ、下腹へ、内腿へ、足先へと。
彼が与えてくれる甘い刺激は、彼女の芯に確実に快感をもたらすけれど、
ベッドサイドのスタンドだけが照らす、やわらかなオレンジの灯りに
時折ゆらゆらと映し出される男の影は、まるで美しい影絵を見てるようで…。
彼の唇が足先から内腿へ、もう一度戻ってきたとき、
゛これは夢かもしれない゛
と彼女は思った。
でも、静かな部屋で響く自分の乱れた息遣いと、不意を突いて訪れる
頭を痺れさす程の甘やか快感は、やはりこれは現実だと、
彼女に認識させるのに充分なものだった。
出すまいと思っても、知らず知らずのうちに零れ落ちる声。
「んっ…はぁ…。」

゛それでも…゛

と、直も彼女は思う。

゛だって、今私の体を開かせているのは…゛

彼女は自分の足を大きく開かせ、その中心に顔を埋めているやわらかな
ブラウンの髪を見つめた。彼の舌先は自由に彼女を這い回って、彼女を
翻弄し続ける。

゛だって、私からこんなにも乱れた声をあげさせている、この男は…゛

そう思ったとたん、彼女の背筋にゾクゾクとした興奮が走る。
たまらず洩れる吐息。そっと手を伸ばし、男の髪に指をさし入れた。
そのとたん、激しいうねりが押し寄せて、彼女は吐息と共に擦れた声を上げた。
「はぁ…モルダー…。」
「うん？スカリー？」
息を弾ませて顔を上げた彼の唇は妖しく濡れていて、見慣れているはずの
へーゼルの瞳の奥が、微かに笑っているように見えた。
挑戦的で、少し意地悪な男の瞳。
「嫌なの？」
そんなこと、これっぽっちも思ってないくせに、男は聞く。
彼女は小さく首を横に振った。
「じゃあ、こういうの好き？」
とうてい答えられるはずのない質問を、憎たらしい程の笑顔で
さらりと浴びせる。

゛ずるい人゛

彼女は返事の代りに小さく笑った。

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その日、モルダーは珍しく早い時間にスカリーの部屋にやってきた。
さっきまで仕事をしていたのか、スーツ姿のままだ。
「何？どうしたの？」
何事かと扉を開けて、訝しげに聞くスカリーに
「君と飲みたいんだ。」
彼は屈託無く笑う。
「たまには、こういうのもいいだろう？」
と、白ワインのボトルを掲げ、へたくそなウィンクをして見せて
彼女を驚かせた。
本当に、彼はただスカリーと飲みたいと思っただけだった。
ちょっと前モルダーが手伝った事件の関係者が、無事犯人が捕まった
からと、夕方彼のもとにやってきた。
お礼にと置いていったワインは、スカリーが好きな銘柄で、
彼女もきっと喜ぶだろうと、単純にそう思ったのだ。
琥珀に近い白い液体は２人を饒舌にさせる。

「…だから、僕は彼に言ってやったんだ、ドイルの代表作って言えば
　みんな決まって゛The Hound of Baskervilles゛を挙げるけれど、
　それは素人の言う事だ。僕だったら、断然゛The Valley of fear゛だねって。」
「そしたら彼は？ビリーは何て言ったの？」
「何も。彼は小さく首を振って、あきれたように出て行ったよ。」
そしてモルダーは、可笑しそうにクスクスと笑いながら言った。
「ビリーは熱烈なシャーロキアンだったんだ。スカリー信じられるかい？
　彼はホームズが実在の人物だったって、本気で信じていたんだよ？
　彼がよく言ってたよ、『ハイスクールを卒業したらイギリスへ行って、
　ホームズの家を探すんだ。ベーカー街２２１番Ｂなんだよ。』ってね。」
「ＵＦＯや宇宙人の存在を信じてるあなたと、あんまり変わりないじゃない。」
そう言ってスカリーも可笑しそうに笑った。
彼は少しはにかんだ笑顔で、上目遣いに彼女を見て
「そうかな？」
と言い、彼女は
「そうよ。」
と笑いながら答えた。
「で、君は？スカリー、ハイスクール時代夢中になった本って何？」
「そうね…サガン…かな。」
「セシル？」
「そう、セシル。彼女が好きだった。私、お父さんっ子だったでしょ？
　なんだか彼女の気持ちが解るような気がしたの。」
「お父さんの恋人に嫉妬しちゃうとか？」
「そんなんじゃないけど…ちょっと！父に恋人なんかいなかったわよ！
　そうじゃなくて、解るでしょ？」
「うん、解るよ。なんとなくだけどね。」
「セシルがとても好きだったの。彼女は少し残酷でシニックで、
　そしてとても鋭い感性持ってる。憧れたのかもしれいわ。
　よくは解らないけれど…。」
そんなふうに、２人はよく喋り、よく笑った。

゛デジャ・ヴュ゛

スカリーは思い出す。いつか、似たような状況があった。
急に不安になって、彼女は聞いた。
「あなた、モルダーよね？」
モルダーはちょっとびっくりした顔をして、そしてにやりと笑う。
「安心しろよ。僕は君の知ってるモルダーだよ。」
そう言った彼の顔は、スカリーが今まで見た事ない男の顔のように思えた。
空になったワインのボトル越しに、キャンドルの炎が大きく揺らぐ。
空気がふわっと動いて、同時にモルダーの顔がぐっと近づいてきた。
「思い出した。あの時君は、僕の顔をした別の男とキスしようとしてたんだ。
　何故？彼は僕より魅力的だった？」
ちょっとばかり意地悪な質問。
「何故って…だって、それは…。」

゛あなただと思ったから…゛

でも言えない。彼の顔が近すぎて、その瞳の色が深すぎて。
ジョークにはなりそうもないから。言葉を探すスカリーに、
「解ってるよ。」
モルダーの目が優しく微笑んだ。
「解ってるの？」
「ああ、解ってる。だから…目を閉じて。」
「解ってるなら、いいわ。」
そう言って瞳を閉じた彼女の唇に、彼の唇が静かに押し付けられた。
初めは、２人共ちょっとしたジョークで終わらせるはずだったのに…。
始めて知った彼女の唇は、しっとりと柔らかで、彼の理性は一瞬で吹き飛んだ。
゛貪り合う゛とはまさにこのこと。
彼女の唇の感触に溺れて、止められなくて…彼の口づけは深さを増す。
時々、唇を離してスカリーの顔を覗き込み、彼女の反応を確認して、
そしてまた口づける。彼女も、モルダーとの初めてのキスに溺れていた。
彼女自身、自分の感情に驚いていた。

゛どうして拒めないのだろう？゛

啄ばむように、噛みつくように。舐めるように、吸い上げるように。
何度も何度もそれを繰り返して…時が止まった…。
気がつくと、スカリーはベッドの上にいた。横に座ったモルダーは
少しだけ呼吸が荒くて、彼女が知らない男の顔だった。
彼が、ゆるめたネクタイをスルリと外した時、再び時間は流れだす。
切なげにスカリーを見つめたモルダーが、擦れた声で一言囁いた。
「戻れないよ、もう。」

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そっと忍び込むように、スカリーの中に入ってきたモルダーに、彼女は思わず
「ハァッ」
と、ため息ともつかない声を漏らした。
そして彼は、スカリーの腰を抱え上げゆっくりと彼女を揺らす。
あやされているのか、じらされているのか。
ことごとくタイミングを外されて、彼女は耐えきれずに彼の腰を強く引き寄せた。
一瞬、彼が笑った。一旦動きを止めた後、優しく彼女の額にキスを落とす。
それを合図に、モルダーの動きが激しくなった。まるで、「主導権は僕にあるんだよ。」
と彼女を諌めているかのように。しかしすぐに、自ら仕掛けた罠に彼自身が落ちそう
になって行く。堪らずスピードは上がる。
「置いて…いかないで…。」
スカリーの喘ぎのような囁きに、モルダーは堪えるように「くっ…。」と顔をしかめて、
動きを止めた。荒い息遣いで、彼女の首筋から鎖骨かけて激しくキスを降らせ、
両胸の先端を交互に責めたてた。上半身をおこし大きく息を吐き出しすと、
一度天井を仰ぎ見る。そして呼吸を整えると、もう一度ゆっくりと動き始めた。
スカリーはモルダーの首にしがみつき体を反らせ、より深く彼を感じられるように腰をつける。
２人のリズムがぴったりと重なって、官能の波が波紋のように広がった。
そして激しくなる律動。モルダーの腰の動きに益々拍車がかかる。
息遣いが次第に大きくなり、スカリーの声が悲鳴に似た響きを持ち始めた時、
「スカリー…もう…。」
絞り出すようなモルダーの声に彼女が瞼を開いた。彼の目に終幕のサインが浮かぶ。
スカリーは゛YES゛の代りに、彼の首に回した腕に力を込めた。
彼の最後に、彼女は大きく背中を反らせて震え、力尽きた２人は
ぐったりとベッドに倒れ込んだ。


スカリーの上で、まだ肩を揺らせて大きく息をしている男は、
まぎれもなく彼女の相棒だ。今更気付く、小さな「背徳」の響き。
その響きにぞくりと、彼女はまた体を震わす。
モルダーはスカリーを気遣って、名残惜しそうにそっと彼女から体を離し、
ごろりと横になると彼女を抱き寄せた。
モルダーの裸の胸を、スカリーは始めてこんなに間近に見た気がする。
まだ上下している彼の胸はじっとりと汗ばみ、馴染みのあるコロンの香りと、
大人の男独特の、雌を引き寄せる雄の臭いが入り混じっていた。

゛嫌じゃない゛

「驚いたわ。」
スカリーはまだ弾んでいる息を、静めるように呟いた。
「僕も驚いたよ。」
彼女の髪に口づけて、モルダーが囁く。
「君がこんなに…。」
「違うの。」
彼がなんかとんでも無い事を口走りそうだったので、彼女は慌てて
口を挟んだ。
「違うの。私が驚いたのは、嫌じゃなかったこと。衝動的に、
　あなたとこんなふうになったのに。自分に対して、
　もっと罪悪感を感じると思ってたから。」
「それは、僕が良かったから？君が感じたから？」
からかうようにモルダーが聞く。
「そうじゃなくて！」
少し慌てたようなスカリーの反応にモルダーは、面白そうにクスクスと笑う。
「そうじゃなくて、今も、小さな罪悪感はあるのよ。
　それが、自分が予想したものよりはるかに小さかったの、だから。でも…。」
「でも何？後悔してると？」
「いいえ、ただ…Happy Birthday Mulder！」
「へっ？」
さっきからの会話の内容からすると、さっぱり辻褄の合わないスカリーの言葉に、
モルダーは間の抜けた声を上げたが、スカリーはひどく真面目な顔で
モルダーを見つめていた。彼は戸惑った。彼女の真意が解らなくて、少し緊張する。
「あ、ありがとう、スカリー。あの、でも僕の誕生日は、確か僕の記憶
　に間違いなければ、たぶん先月だったと…。」
「知ってるわ。でも、何か自分に言い訳が欲しいじゃない。」
「言い訳？」
「そう、こんな衝動にかられて、あなたと寝たなんて。」
彼はしばし考える。

゛僕の誕生日が、彼女にとってその言い訳になるとでも言うのだろうか？
　プレゼントに私をどうぞ…とでも？゛

かなり…無理があるような気はするが、これが彼女が今考えつく限りの、
彼女にとって納得いく言い訳なのかもしれない。無理矢理だろうけれど。
そう思うと、彼は無償に可笑しくなってきた。
「スカリー、君は…何ってこと考えているんだい？」
くっくっくと、体を震わせて笑いを堪えている。
それでも彼女は、真面目な顔で聞いてきた。
「あなたにはないの？罪悪感みたいなもの。」
「あるわけないよ。やっと、君を抱けたのに。この手で、この唇で、体で君に触れられたのに。
　それより、君はこれから僕とこうなる度に、いちいち言い訳を考えるつもり？」
「そう…かもね。」
彼女は笑って答えた。
「全く…君って人は…。」
モルダーも笑う。
「そんなのいくつあったって足りないよ。だって、これで最後にするつもりなんかないんだからね。
　…それなら、僕がとっておきのを教えてあげる。」
モルダーは意味ありげに微笑んだ。
「とっておき？」
「ああ、これさえあれば、他に言い訳なんか考えなくたっていいんだ。」
「そんな便利な言い訳なんて、あるかしら？」
「だから、とっておきだよ…。愛してる、スカリー。」
彼は彼女の耳元で囁き、どう？っといたずらっぽい目つきで彼女を見た。

゛そうだった…。゛

スカリーはぼんやりと彼を見つめ、そう思う。だから彼と寝たのだ。

゛私は彼を愛してた゛

「私も…愛してるわ、モルダー…。とても素敵な言い訳…。」
「良かったよ。気に入ってもらえて。君の気に入る言い訳が
　見つかったところで…。ねぇ、それならもう一度、愛させて…。」
彼女の上にかぶさってきたモルダーは、ねだるように上目遣いに彼女を見た。
彼の体の変化に気がついたスカリーは、クスクス笑いながら彼の頭を
両腕で自分の胸に抱え、髪の毛をくしゃっとかきあげる。
「あなたって…本当に、仕様の無い人ね。」
「ああ…そうなんだ…。」
彼女の左胸に唇を落としながら、彼はくぐもった声で小さく呟いた。



　　　　〜〜〜　Fin　〜〜〜

あとがき（まさに、言い訳）

わ、私、何を血迷ったんだろう…。（汗）
なんかね…うたた寝してて、ふっと思いついちゃったんです。
で、書いてみたはいいけど…もう本当に疲れちゃいました。（泣き言）
こんなに体力使うものなのか…アダルトって…。（￣▽￣；）
しかも、初めての挑戦で、もう、何が何だか…。
なんで、モルもスカも突然こんな事になっちゃうのか、私自身訳解らず。（苦笑）
たぶん、やけっぱちだったんです。（←そうに違いない）
中途半端でお見苦しいものを書いてしまって、申し訳ありませんっ！！
こんな作品を、最後まで懲りずに読んで下さった方、（いらっしゃれば、ですが）
本当にありがとうございました。m(;∇;)m
もう、当分（二度と？）こんなの書きませんので、どうかご容赦下さい。
私の脳みそ、もう、つるっつるです。はぁーーーっ、ぐったり。（o_ _)o 

mitti14@excite.co.jp

HISAYOさんのＨＰに載せて頂くにあたって（言い訳の言い訳（汗））

この度、HISAYOさんのご好意で、こちらのＨＰにも載せて頂くことになりました。
もともとお友達と共同でやってるサイトに、地味〜に載せてたものなんですけど、
HISAYOさんに目ざとく見つけていただいて（笑）、おこがましくもお言葉に
甘えさせて頂くことにしました。
こんなアダルトとも言えないような中途半端なものを、目の肥えていらっしゃる
こちらの皆様に読んでいただくのは、本当に恥かしいのですが…。（；￣ー￣Ａ　ｱｾｱｾ･･･
Ｓ８のショックで、頭の線がプチッと切れまして（笑）、ボーーッと書いちゃったのです。
なんだか流されてるスカちゃんと、安易な展開お許し下さい。（ひえ〜っ）
とにかく、初めてこういうの書いたので。
その辺ご理解いただいて、どうか暖かい目で読んでやって下さい。（涙）
最後になりましたが、こういう場を提供して下さったHISAYOさんに、
心よりお礼申し上げます。そして、この作品を気に入っていただけて、本当に
ありがとうございました。嬉しかったです。

みっち