スカリーは、ぐずるような声ではっと目が覚めた。

もうミルクの時間？

傍らにある時計を見ると次の授乳予定より1時間ほど早かった。

よく聞くと、ぐずるのとは調子が違う。

ベッドを抜け出し、急いでウィルのベビーベッドに駆け寄る。

彼女の愛しい人はまだ夢の中だった。

眠りながらも小さな小さな右手が何かを求めてさまよっている。

見ると傍らにウィルお気に入りのおしゃぶりが転がっていた。

スカリーは安心してニッコリ微笑む。

「探し物はここよ。」

おしゃぶりを天使の手にちょん、とくっつける。

手中にすると満足したらしい。

しばらく見守っていると、声の代わりにかわいい寝息をたて始めた。

「おやすみ。」

焼きたてのパンのようにやわらかく、ふんわりとした頬にそっとキスをする。

「んー・・・。」

一瞬、ウィルが起きてしまったのかとあせったが

彼は相変わらずすやすや眠っている。

ということは・・・・。

「起こしちゃった？」

振り向くと、もう1人の愛しい人がベッドの上でシーツを撫でまわしていた。

そっくり！！

スカリーはこみ上げてくる笑いを必死に堪える。

声に出して笑えない分、涙が出てきた。

「んん・・・・・。」

モルダーは眉根を寄せ、そこにあるはずの感触の代わりに枕を抱きしめる。

しかし枕は代用品にはならず力なく彼の腕から解放された。

この幸せをずっと・・・・。

彼女は枕をどけて彼の腕の中に滑り込む。

「探し物はここよ。」

ぴったりと身を寄せると、眠っていながら片方は彼女の首の下へ

もう片方の腕は彼女を包み込んだ。

「おやすみなさい。」