ISCLAIMER: The characters and situations of the television program 
"The X-Files" are the creations and property of Chris Carter, Fox 
Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringe-
ment is intended.

[CAUTIONS] これはHISAYOさん作のコラージュ「under one umbrella」に惚れこんだgimletが
僭越ながらコラージュをイメージして書いたものです。
　 オリジナル作品ですので既存作品に似た箇所があっても
サイト管理者のHISAYOさんはもとより誹謗・中傷はご遠慮ください。

Auther　gimlet

「そんなヨタ話、信じるほうがどうかしてるよ！」

もう慣れっこだが、人は本当のようで嘘の話は信じるのに
功名に隠された嘘のような本当の話には、どうして耳すら傾けないのだろう。

モルダーは地元警察に一笑に付され、聞く気のない相手に理論的に説明する気にはなれず
署を後にする。
玄関まできて初めてザーザー振りの雨に気づいた。

ついてないな・・・・。

傘を借りに戻るのも癪に障る。
ちょうどムシャクシャした気分だし、濡れた方がすっきりするかもしれない。
雨の中に身を投じてしまおうとした時

「モルダー！」

辺りに響く凛とした声。

「スカリー・・・。」

見ると100メータくらい手前の角を、彼女が曲がってきたところだった。
傘を差して小走りにこちらにやってくる。
玄関前の屋根の下に入ると、はにかむように微笑んだ。

「あなた傘持っていかなかったでしょ？ちょっと買い物に出たら、もう降ってきたから。」
「迎えに寄ってくれたのかい？」
「･･･ついでにね。」

わずかに頬が上気して見えるのは、さっき走ったせいだ。

モルダーは自身に良いように解釈するのを戒めた。

「用は済んだの？」
「また相手にされなかったよ。」
「そう。」

なんでもないように返事をしてスタスタ歩き出す相棒にモルダーは置いていかれそうになる。

「どうしたの？早く戻りましょ？」
「････そう、っていう返しはないだろ。」

傘に当たる雨音に負けないよう、身体を屈め大きな声で話す。
一瞬スカリーは何を言われてるのか分からなかったのか、目を丸くして口が半開きになった。
すぐ近くでそんな顔をされると自然に微笑んでしまう。

「あなたは相手にされなかったら自分の意見は間違ってるって思うの？」
「･････いや？」
「でしょ？なら他にどう答えろと？」

モルダーは胸が熱くなり、思わず彼女の肩を抱き寄せた。
彼女は構える間もなかったのか、あっさり彼の腕に収まる。

ありがとう、スカリー。

言葉には出さず彼女を見つめる視線に想いを込める。
そのまま今度はゆっくりと歩く。

「･･･何なの？」
「傘が小さいからね。君が濡れないようにさ。」

最初は身体を硬直させていたスカリーだったが、彼が離すつもりがないのを知ると
ため息とも深呼吸ともつかない息を漏らした。