From：http://www.angelfire.com/ms/KtblleStorage/supernova.html
Disclaimer：Not mine; don't sue.
The Marionette Rebellion
-4-
注：この作品はシーズン9「The
Truth」のスポイラーficです。ネタバレをお避けの
方はお読みにならないでくださいませ。
*この作品は、モルダーとスカリーが希望を信じて、力を尽くしてウィリアムを取り
戻す物語です。
*長めの作品ですので、できればお時間のあるときにゆっくりお読みいただけたらと
思います。
作：supernova
訳：tomo
Chapter Four
-X-
「Skinnerからだ。施設への侵入の助けにDoggettをよこすそうだよ。」
「そう・・・。いつ来るの？」
僕がSkinnerからの電話をささやき声で伝えると、Scullyは目をつぶったまま尋ねた。
「明後日に、たぶんブライトンで会うことになるだろう。そして夜のうちにネバタへ移動する。でも一日ですぐ戻ってくるから待っていてくれ。」
「OK。」
彼女の耳にキスすると首筋からほのかに汗とバニラの香りがただよい、そっと耳からあごのラインへ唇をはわせ、胸の膨らみを手で包み込んだ。
「痛いわ・・・。」
「ごめん、優しくするから。・・・君が欲しいんだ。」
そう言って僕はさっきよりも優しく胸の膨らみを包んで、指の下でだんだんと先端が固くなってくる感触を楽しんだ。
Scullyは起きあがって僕の上に体をもたれさせ、僕が彼女の腰を引き寄せて自分の張り上がったものを押しつけると、手で優しく撫でさすった。
「気持ちいいよ、baby。」
僕がささやきながら息を吐くと、彼女は起きあがって頭からTシャツを脱ぎ捨てた。
両手でScullyの柔らかな胸を優しく揉みだすと同時に腰がすり合うように動き出し、僕は彼女と自分の下着を素早く取り去った。
僕たちを隔てていた薄い布がなくなるとすぐに、僕の張り上がったものは彼女の中に熱く溶けていった。
彼女の体は僕の上で上下に跳ねて背中がのけぞり、目をつぶって、唇から絶え間なくあえぎ声をこぼし続けた。
肌が徐々に熱くなっていき愛し合うペースが上がるにつれて、髪の生え際にビーズのような汗が輝きだした。
僕の手は彼女の胸や腕、おしりの間をさまよいつづけ、最終的に彼女の腰を支えて下から突き上げ、彼女の体を支えた。
Scullyの体は前後に激しく揺れ、何度も何度も僕の名前を呼び続けながら重そうにまぶたを開けて僕を見つめ、絶頂の波が体の中で盛り上がってくるのに耐えている表情をし、クライマックスに達すると一段と高いあえぎ声を上げた。
僕もすぐに絶頂に達して、Scullyの名をあえぎながら彼女の中に解放し、首筋や鎖骨や胸にキスしながら“愛してる”とささやき続けた。
彼女は愛し合った余韻を味わうように微笑んで僕にかがみ込み、熱くほてった胸を僕の胸に押しつけて、僕はお返しに指で彼女の背中にスマイリーのマークを書きながら、自分の激しい鼓動を聞いていた。
彼女の息は熱かったが、それでも僕の熱い肌には涼しく感じた。
「Mulder、あなたと恋人になる前によく夢に見ていたのよ。いつもセクシャルな夢ってわけではないんだけど・・・、こんなふうに衝撃的で、すべて満たされるように完璧だったわ。朝になるとその余韻に浸りながら目覚めていたのよ。あなたの手の感触やあなたがささやいた言葉の余韻を思い出しながら・・・。今みたいに、あなたに愛されている間まるで夢の中にいるようで、決して目を覚ましたくないって思っていたわ。」
「僕もだよ・・・、Scully、愛している。」
僕は彼女の鼻の上にキスして、そっと目を閉じた。
-X-
-Fallon, Nevada-
「“軍関係者以外立入禁止”、か。ここでいいようだな。」
「ああ。」
僕がプレートをゆっくり読み上げると、Doggettは落ち着かない表情をして答えた。
「今なら引き返せるぞ、ここから一人で行くから君はここで帰れ。」
「一緒に行くよ。君に何かあったらダナに臆病者呼ばわりされて殺されるだろう？それより早く行こう、こんなところで時間を無駄にしたくない。」
「分かった。」
僕はScullyのファーストネームを呼ばれた腹立たしさを隠しながら、ブリーフケースから施設の青写真を取り出した。
Scullyを独占しきることは何て難しいのか。
どんな男でも一度彼女を自分のものにしたら、誰にも彼女を触らせたくない、自分一人だけのものに独占し続けたいと願うことだろう。
もちろん彼女は僕だけのものだと分かっているが、それでも僕は世界中の人間に、彼女は僕だけのものだと知っていてもらいたいんだ。
青写真と一緒にパス・キーと偽のIDバッジを取り出した。
ずっしりと重い銃ももちろん用意してある。使わずに済めばいいのだが。
「いいか、ここからフェンス沿いに4分の1マイル丘を登った所にある建物のそばに近づくんだ。フェンス用のカッターはここにある。そこでフェンスを切断して中に入り、半マイル離れた2番目の建物の中に侵入する。そして気付かれないうちにまた外に出るんだ。コピー用のディスクは持ってきただろうな？」
僕は後ろで腰をかがめているDoggettに振り向いた。
「ああ、持ってる。」
「ファイルをディスクにコピーしたら、そのディスクは君が持っていてくれ。もし何かあったら連中はまず僕を追うだろう。それに万が一僕たちが中ではぐれたり僕が捕まった時は、君はすぐに逃げてデンバーに戻り、Scullyを連れてディスクをSkinnerに届けてくれ。計画通りにうまくファイルをコピーして無事にここから逃げ出せた場合も、必ずディスクはSkinnerに届けてくれ。やってくれるか？」
「もちろんだ。」
「協力してくれて感謝するよ。」
その言葉に嘘はなかった。
「さあ行くぞ、決して離れるなよ。そして建物の中に侵入したら、施設の人間のように振る舞うんだ。」
僕たちは丘を登り、アラームを鳴らすことなくフェンスを切断して敷地内に侵入した。
さらにフェンスから目的の建物までたった半マイルほどだったが、僕にはその距離がはるかに長く感じた。
〈歳をとったのかもな。〉
僕は緊張しながら思った。
建物の周りはさびれていたが、それでもブーンという機械の作動音と、わずかな人の声が遠くから聞こえてきた。
僕たちは小走りにドアに近づき、エントランス・パッドにパス・キーをすべりこませ、赤く灯っている信号灯が変わるのを見つめた。
グリーンライト。
信号灯が変わると同時にドアが開き、僕たちは中に入った。
僕は歩きながら他の国防省の施設に侵入したときのことを思い出していた。
ここも同じように番号のついていないドアがズラッと並び、通路はまるで迷路のように入り組んでいた。
コロラドの施設のことを思い出しながらまっすぐ前を向き、不思議と進む方向に自信を持ちながら歩いていった。
Doggettは僕の少し後ろにつき、同じペースで僕が内部の奥深くへ入っていくのに付いてきた。
〈ビンゴだ。〉
“Shever将軍”のネームプレートがあるドアを見つけ、キー・パッドにパス・キーをすべらせると、ライトがグリーンに変わってドアの鍵が開いた。
広いオフィスの壁一面がファイル・キャビネットになっており、反対側の壁はコンピューター・デスクが設置してある。
僕はデスクに座りコードとパスワードのリストをシャツのポケットから出してキーを叩くと、パスワードを打ち込むための画面がモニターに浮かんだ。
〈政府の秘密情報を盗むのがこんなに簡単だとはな。〉
用意したパスワードを打ち込むと同時に、とても何が書かれているのか見分けることができないほどの大量の数字と文書が画面を流れ出した。
だが画面の下を見ると検索用のウィンドウが開かれていて、またファイル・ナンバーを打ち込むためのウィンドウも開かれていた。
リストを見返し、僕とScullyがパームスプリングスで最後に見つけた情報を打ち込んだ。
Doggettが肩に息がかかるほどそばに寄って画面を見つめ、僕も出てきた情報に釘付けになった。
-/-/-
File Number：9867477901
Subject Number：1000-47
Name：Rohrer, Knowle
Current Status：2002年5月20日 記録消滅
消滅理由：File Number：9867477902 参照
-/-/-
画面の端にさらに2つのウィンドウが開かれたが、僕はまずこのファイルを調べるために参照ナンバーを打った。
-/-/-
Fille Number：9867477902
消滅理由は次の通り：
Subject Number：1001-47が2002年5月20日にSubject
Number：1000-47をSubject Number：1151-7746と
1151-5516を抹消するために派遣。
しかしSubject Number：1001-47はマグネタイト鉱物の
障害により消滅。
そのことからファイルも消滅した。
-/-/-
5月20日に僕自身に起こったことから、二つ並んだナンバーが誰のことかすぐに分かった。だが確かめるためにナンバーを画面に打ちこむと、大量の数字と情報がまた画面上を流れ、僕の打ったナンバーのところで止まった。
-/-/-
File Number：3971610987
Subject Number：1151-7746
Name：Mulder, Fox William
Current Status：白
Current Location：不明
Last Known Location：メイン州ウェストブック
Subject Number：1151-5516
Name：Scully Dana Katherine
Current Status：赤
Current Location：不明
Last Known Location：メイン州ウェストブック
Subject Number：1151-4616
Name：Mulder, William Scully
Current Status：白
-File Number：4616223 参照
Current Location：ワイオミング州ウィートランド
Subject Number：1151-4617
Name：不明
Current Status：赤
-File Number：4617223参照
Current Location：不明
-/-/-
「Mulder、最後のナンバーは誰の事だ？」
「Scullyのおなかの子だろう。」
「なんてことだ！」
Doggettはため息を付いた。
「今はそのことについて話している時間はない、ディスクをくれ。コピーしてすぐここを出よう。」
僕は画面をスクロールして過去10年の僕の記録を呼び出した。
連中は全て記録していた。
スカリーがXFに配属された日付、Scullyのアブダクトの記録、Melissa Scullyの死、Emilyの死、Scullyの首に埋め込まれたチップのこと。
Diana Fawley、アナサジ、ツングースカの情報、Scullyと僕がプライベートも一緒に過ごすようになっていった流れの詳細なレポート、闇のシンジケートへの影響、僕のアブダクト、Williamの誕生、そして僕が潜伏していた間に発見した僕の動き、日付、Williamの誘拐事件の詳細、SpenderがWilliamにした注射についての病院の診察記録、マウント・ウェザー施設での僕の行動、最後に確認した状況、電話の通話記録、銀行の預金額、支払記録。
僕は自分たちの情報をコピーし、Knowle Rohrerの情報も別のディスクにコピーして素早く部屋を出た。
そして歩きながら、このことをどうScullyに説明しようかと考え続けた。
-X-
「Mulderだ。」
「うまくいったか？Mulder。」
「今は何も言えない。Skinner、この電話は思っているほど安全じゃないかもしれないぞ。盗聴されている可能性がある。情報の中に通話記録があったんだ。」
「今どこにいるんだ？」
「31,000フィート離れたところだ。」
「買い物はできたのか？」
「ああ、思った以上だ。これからまた移動する。2、3日中に安全な地上線を探してまた電話をくれ。その時に話そう。」
「分かった、連絡する。」
-X-
-Denver, Colorado-
「Scully、いるかい？」
モーテルのドアを開けると共に声を掛けたが答えはなかった。
僕はモーテルの鍵とブリーフケースをベッドに置き、ゆっくりバスルームに近づいた。
ドアを開けると、スカリーは薬を入れていたプラスティックのコンテナを手に持って、バスルームの床に座り込んでいた。
「どうしたんだ？Scully、何があった？」
「SkinnerがMaritaに私たちの居場所を教えたのよ。」
Scullyはシャツの袖で涙をぬぐった。
「Maritaが？デンバーにいるか？」
「電話があったのよ。」
Scullyはそう言ってベッドの脇の電話を指で差した。
「そして、私に教えたいことがあると言ったわ。去年あなたに助けられたことの感謝のかわりに情報を教えたかったそうよ。借りを返したいからって。」
「それで？」
「Maritaは私が最近かかった病院で処方された薬があるかどうか聞いてきたわ。私がある病院でもらった薬を今も飲んでいると答えたら、すぐにその薬を調べ直した方がいいと言われたのよ。私はFBIの偽名を使ってコロラド大に少しの間実験室を借りられるようにと学部長に依頼したわ。事件の捜査でどうしても必要だからと言って。」
Scullyは苦しさを我慢しながら、懸命に落ち着いて話そうとしていた。
「何の薬を調べたんだ？Scully、何だったんだ？」
「これよ。」
Scullyは避妊ピルを僕の方に出した。
「ただの砂糖の固まりだったわ、全部よ。ピルだと思っていたものが全部ただの砂糖だったのよ。」
彼女は震えるほど力を込めて洗面台を握って立ち上がり、ピルを鏡に投げつけてバスルームを出た。
「そんなことあるわけないよ、Scully。街から街へ移動中に、行き当たりばったりの病院に行って薬をもらっただろう？君がピルをもらいに行くって誰が予想できる？」
「ええ、私もそう思ったわ。でも私たちはメイン州に3ヶ月もいたことがあるのよ、Mulder。3ヶ月の間私たちの動きをつけていれば、どの病院に行くか分かってもおかしくないわ。」
「そんなこと信じられないよ・・・。」
「どうして？Mulder、どうして奴らはこんなことをするの？」
Scullyは部屋を歩き回りながら声を上げた。
「ネバダで情報を見つけたんだ、Scully。奴らはおなかの子供のことまで知ってたよ。奴らはもう一人のWilliamをほしがっていてずっと僕たちを追跡していたんだ。」
真実を伝えるのはつらかった。彼女はもう限界になっている。
だが今は嘘の慰めなど通用しない。
「奴らはずっと私たちをつけてチャンスを狙っていたのよ。あんなに長い間同じ場所にとどまるなんてばかだったわ。軽率よ。でも一体どうして？。奴らにとって私は子供を培養する機械なの？孵卵器なの？奴らの力を証明する実験体なの？そんなこと死んだって認めないわよ！」
Scullyは大きく息を吐いて息継ぎをした。
「この子は誰のものでもない、私たちの子なのよ。ただ子供ができたって言うんじゃなくて、愛しているのよ？それに奴らが何をしようとWilliamも私たちの子よ、DNAテストでもあなたが父親だと証明されたわ。それでも奴らは私を操ろうとするのよ！おなかの子がどんな子であれ私が産む以外の道を選ぶと思う？奴らはそれを知っているのよ。私は奴らのせいでもう二人も子供を失ってるのに！一体！私から！どれだけ！奪えば！気が！すむのよ！」
Scullyは一つの言葉ごとにドレッサーを拳で叩きのめした。
「やめるんだ、Scully！自分を痛めつけるな！」
僕は彼女の拳をつかんだ。
「痛めつける？私のことなんてどうだっていいのよ、Mulder。」
Scullyは笑って僕の手から拳を引き抜いた。
「あなただって手の打ちようがないでしょう？奴らはもうずっと私の体を利用してきたわ！十分犠牲を払わされたわ！なのにこれ以上どうして奴らに利用されてあげなきゃならないの！？」
Scullyは叫び声のように僕に問い、ランプを床に叩きつけた。
僕はずっと昔にScullyと交わした言葉を思い出していた。
マリオネットと糸。
操る者と、操られる者。
一本の糸が切れ、Scullyは膝に手をついてかがみ込んだ。
「私にはもう耐えられないわ、Mulder、もう耐えられない、耐えられない、耐えられない・・・。」
彼女は涙さえ流せずに全身で泣いていた。
二本目の糸が切れ、顔を拳で覆いながら壁に背中をつき、力無く床に崩れ落ちた。
「あの子達はみんな私の子よ、私たちの子よ、Mulder。奴らは私たちから奪うだけ奪って、私たちの人生に、体にも、心にも、全てに侵入したわ。もういやよ、もう私たちから離れて。お願い、私たちを放っておいて。」
とうとう涙があふれて頬を伝い始め、震えながらかすれ声を絞り出した。
「いつ終わりになるの？Mulder。」
「わからない、Scully。わからないよ。」
Scullyは僕の腕の中でもがいて押しのけて立ち上がると、ある物を手当たり次第に床に叩きつけた。
部屋には割れていく音だけが響き渡り、僕は何も手を出せずに止められなかった。
彼女は床に叩きつけながら大声を上げて神を呪い、助けを請い、Williamを愛していること、後悔していることを、何度も言葉にして叫んだ。
何度も、何度も、何度も。
彼女は次から次へ犠牲になった人たちを並べ、彼女のアブダクトを“メディカル・レイプ”と叫び、彼女の子供達のために泣き、僕のためにも泣いた。
僕自身にもその責任の一端があることは分かっている。
僕はScullyが恐怖に襲われている間も何もできずに、傍観しているしかできなかったからだ。
それに彼女は過去に何度か奴らの陰謀から手を引こうとほのめかしたことさえあったのに、僕は耳を貸さずにいた。
そして例え彼女がそのことで僕から去ろうとしても、僕は決して彼女から離れなかっただろう。
彼女が僕から離れることなど想像さえできなかった。
彼女なしの人生など、僕には考えられない。
Scullyを愛することで、僕はどん欲な男になった。
僕はいつも彼女からの愛を飢えたように求め続け、彼女もそんな僕を拒絶しなかった。喜んで僕にすべてを与えてくれ、僕は何の遠慮もなく全てを受け取っていた。
僕は頭を抱えて座り込みながらScullyの拳が血に染まっていくのを見つめ、彼女をこうしてしまった全てのことを呪った。
Scullyは胸のクロスを引きちぎり、壁のすみに投げ捨てた。
きっと彼女を操っている男は、クロスの棒と共に壊れたマリオネットを冷たい地面に叩きつけて、自分の勝利に微笑んでいることだろう。
-X-
〈Continued in Chapter 5〉
