|
From：ephemeral@ephemeralfic.org
Disclaimers：M&S used to belong to CC but I think Fox now owns them.
Will belongs to M&S, who love him too much to sell him.
TITLE
Man to Man Talk10
〜Fox Mulder's first real Christmas〜
作：Girlie＿girl17
訳：tomo
モルダーとスカリーはプレゼントの包み紙に囲まれてカウチに座っていた。
ウィルはスキナーから贈られたFBIのジャケットを着て、父親からのラジコンパトカーにまたがって両親を見上げて、箱から出てくる様々なプレゼントを目を大きくしながら見つめていたが、まだプレゼントが一体どういう物なのか分からないような表情をしていた。
特に父親からの山のようなオモチャの遊び方も分かっていなかった。まだプレゼントの中身よりも、包み紙をビリビリに破いて遊ぶ方が楽しかった。
ローン・ガンメンは高速で動くモビールをウィルに贈ったが、あまりに悪趣味な形のモビールだったため、スカリーはこれは彼らが遊びに来たときだけ飾ろうと決心した。
彼女は毎日着せ替え遊びができるほどたくさんの服をウィルに贈り、マギーはお風呂で遊べるアヒルのオモチャをプレゼントした。
この、黄色の体にオレンジ色の羽をもつゴム製のアヒルがこの日一番のウィルのお気に入りになった。
モルダーは自分が選んだパトカーより、ただのアヒルにウィルの喜びを取られたことでくやしそうな表情をしながら、将来ウィルは動物学者かハンターになるんじゃないかと想像した。
〜Fox Mulder's first real Christmas〜
クリスマスの夕方、マギー、スキナー、それにローン・ガンメンたちがお待ちかねのクリスマスのディナーに参加した。
ローンガンメン達もそれぞれおしゃれをして、ラングリーでさえもタキシードがプリントされたTシャツを着ていた。
ウィルは両親の間に置かれた子供用の高い椅子に座り、大人達の話しにまざろうとして何か赤ちゃん語で話し、それにみんなが笑うと自分も笑ってさらに大人達を笑顔にしていた。モルダーも笑いすぎて、頬が痛いくらいになった。
まるでウィルがパーティーの中心のようだった。
ウィルはマッシュポテトとよく煮込んでつぶしたニンジンを自分のスプーンを使って食べ、ほ乳瓶入りのクランベリージュースをいつもよりたくさん飲んだ。
そして口の周りを拭こうとするスカリーの手から首を振って逃げ、テーブルの大人達は笑いながらどちらが勝つか笑って見ていた。
楽しいディナーが済んで夜も更けるとガンメン達は家路につき、スキナーがマギーを家まで送って帰った。
ベビーベッドに寝かせられていたウィルは、もう寝る時間をとっくに過ぎているにもかかわらずに、
まだパーティーの興奮がおさまらないように元気に声を上げていた。
スカリーが苦笑してウィルを抱き上げた。
「わかったわsweetie、一緒にパパとママのプレゼントを開けましょうね。」
モルダーとスカリーはまだお互いへのプレゼントを渡していなかった。
ウィルは母親の首につかまって抱き上げられ、そのままおむつを交換するテーブルに寝かせられた。
「楽しいクリスマスだった？ウィル。」
スカリーはウィルのおなかをくすぐりながら話しかけた。
「マ・マ！」
ウィルが足をバタバタさせながら声を上げた。
「そうよ、ウィル。すぐにママって言えるようになりそうね。」
ウィルは手を伸ばして母親の柔らかな髪を触った。
「そんなことして、まるでパパみたいよ、ウィル。」
彼女は笑いながらウィルを抱き上げてリビングへ連れて行った。
モルダーがカウチに座り、クリスマスツリーの下から自分たちのプレゼントをひざの上に並べていた。
スカリーが横に座るとさっそくウィルが身を乗り出し、カラフルにラッピングされたプレゼントの一つを手に取ろうとした。
「ウィル、これはあなたにじゃないのよ。」
スカリーが笑いながらウィルの体を引き戻した。
「どれから開けようか？スカリー。」
「一つ取って、ウィルが喜んで開けてくれるから。」
モルダーがピカピカの包装紙に包まれた長方形の箱を渡すと、ウィルはキャッキャッと楽しそうな声を上げながらビリビリに破きだした。
「スカリー、明日も何か破くものを上げないとご機嫌が悪くなりそうだな。」
彼女も笑いながらウィルがラッピングを破くのを手伝って箱を取りだし、そっと開けてみた。
中にはグリーンのサテンの美しいローブとそれに合わせたパジャマが入っていた。
「サイズが合うといいんだけどな。ウィルも僕もサイズがよく分からなくて選んだから。」
モルダーは赤くなりながら説明した。
「モルダー、ぴったりよ。ああ、ありがとう！」
スカリーは箱からローブを取り出して広げ、モルダーにキスした。
「後でこれを着てファッション・ショーをしてあげるわね。」
「ウィル、それならやっぱりあのブルーのテディを買ってくればよかったな！」
モルダーは笑いながらウィルの頭を撫でた。
スカリーは小さな箱を手に取り、モルダーに渡した。
「開けてみて。」
モルダーが開けると、中にはクリスタルに小さな石がはめ込まれた、球型のペーパーウェイトが入っていた。
彼は問いかけるように顔を上げた。
「それは本物の月の石なのよ。」
「本物か！」
「そう、手に入れるのにちょっと大変だったわ。」
「ありがとう、スカリー、嬉しいよ！」
モルダーは立ち上がって、クリスタルを暖炉の上に置いた。
「ここに置きたいな。」
モルダーは少し下がって嬉しそうに眺めた。
「戻ってきて、モルダー、ウィルが退屈してるわ。」
彼は笑顔で振り向きスカリーの横に戻ると、2番目のプレゼントの入った小さな箱をウィルに渡した。
「ほら、ウィル。ママに渡して。」
ウィルは箱を受け取るとすぐに口に入れようとした。
「こら、ウィル！食べるんじゃない。」
モルダーは苦笑しながら取り上げてスカリーに渡した。
「ありがとう、ウィル。よだれがついてピカピカしてるわ。」
「スカリー、これは僕とウィルからなんだ。」
「そうなの？何かしら。」
スカリーが期待を込めた表情でラッピングを開け、ブルーのベルベットの小箱を開けると、小さなゴールドのリングが暖炉の光を受けて輝いた。
「モルダー！」
「僕とウィルだよ、リングの内側を読んで。」
スカリーはリングを目の高さに上げて、内側に彫られた文字に目をこらした。
「“W.F.M 2001”」
スカリーは読みながら目に涙を浮かべた。
「モルダー、ウィルのベビーリングをプレゼントしてくれたのね。」
「本当のことを言うと、店員が薦めてくれたんだ。でも最終的に選んだのは僕とウィルだよ。」
スカリーは照れくさそうにしているモルダーの首に飛びついてキスした。
すると膝の上のウィルが二人を見上げて、やきもちをやくように声を上げた。
「わかったよbuddy、ほら、抱っこしてやるから。」
モルダーは笑ってウィルを抱き上げ、“高い高い”をした。
スカリーは涙を拭いて別のプレゼントを手に取り、モルダーに差し出した。
彼はウィルを膝に下ろし、受け取って耳元で振ってみた。
「バスケットボールではなさそうだな。」
「近いわよ、でも少し違うの。」
モルダーが薄い箱のラッピングを開けると、ニックスの試合の前列のチケットが1枚入っていた。
「スカリー、どうして1枚なんだい？」
「ウィルは必要ないもの。」
「ウィルか！一緒に見に行っていいのかい？」
モルダーは輝くような笑顔をスカリーに向けた。
「もちろんよ、でも終わったらまっすぐ帰ってきてね。」
ウィルがすばやくチケットをつかんで口にくわえた。
「こらこらこら、ウィル！何でも口に入れないでくれ！」
スカリーはまたプレゼントの包みをモルダーに渡した。
「これも開けて。ウィルとショッピングに行ったのはあなただけじゃないのよ。」
モルダーは驚きながらラッピングを開けた。
中には美しいシルバーの写真立てに、ウィルを抱いて微笑むスカリーの写真が入っていた。
「きっとデスクの上に置きたいんじゃないかなって思って。」
モルダーはゆっくり息を吐き、微笑みながらフレームの上を指で撫でた。
「スカリー、これは最高に嬉しいプレゼントだよ、これ以上僕のほしい物はないよ。」
「お財布の中に入れられるサイズの写真もあるのよ。でもフロヒキーにはあげないでね。」
「ああ、絶対だ。」
モルダーは瞳を輝かせながら、幸せに満ちた笑顔を見せた。
「ありがとう。」
彼はささやいてスカリーの額にキスした。
「スカリー、ウィルを寝かす前に僕のプレゼントも開けてくれ。」
モルダーは薄い包みを彼女に渡した。
「モルダー、まさかニックスのチケットじゃないでしょうね。」
スカリーが包みを見ながら笑った。
「違うよ、心配いらないから開けてみて。」
ウィルはモルダーに抱き上げられても体を伸ばしてプレゼントを取ろうとした。
「我慢しろ、ウィル。ママがすぐ開けるから。」
「マ・マ」
ウィルは繰り返しながら、下ろしてほしそうに体をのけぞらして声を上げた。
スカリーは薄い包みを開けて、中から2枚のカリブ海へのクルーズ・チケットを取りだした。
「モルダー！これ・・・！ああ、でも・・・。」
スカリーは一瞬喜びに輝いた顔を伏せて、考え込むようにウィルを見つめ、また2枚のチケットを見つめ返した。
「ああ！待って、まだこっちもあるんだ。」
モルダーは開けられたプレゼントの山から、さらに2枚のチケットの入った包みを出してスカリーに渡した。
「これは誰の分なの？モルダー。」
「ウィルと君のママの分だよ、特等室ってわけじゃないけど、かまわないだろう？」
スカリーはまたモルダーを力いっぱい抱きしめ、間に挟まれたウィルが小さな声を上げた。
「スカリー、ウィルがつぶれちゃうよ。」
モルダーが笑った。
彼女は少し体を引いてウィルの頭を撫で、目に浮かんだ涙を拭いて笑った。
「ウィルを置いて2週間も旅行なんて、きっと君はできないと思ったからね。でも僕たちには少しバケーションが必要だと思ったんだ。だから君と僕とウィルの3人で、のんびりカリブ海をクルーズしよう。」
「ママもよ。」
スカリーが笑顔で付け足した。
「OK、おばあちゃんもだ。それにひょっとしたらガンメンの奴らも船の甲板拭きに雇われるかもしれないな。」
ウィルが眠たそうに大きなあくびをした。
スカリーはすっかり重くなったウィルを抱き取って、カウチから立ち上がった。
「いらっしゃい、王子様。妖精が魔法の砂をかけにくるわよ。」
モルダーも立ち上がり、ウィルの部屋へ二人と一緒に歩きだした。
「スカリー、妖精の存在を信じるかい？」
「やめてよ、モルダー。」
スカリーが歩きながらクスクス笑った。
「どうしてさスカリー、いるかもしれないだろう？仮説を考えたんだけど・・・」
「あなたの仮説は今度聞くわ、モルダー。」
「本気にしてないな？妖精はミュータントの仕業だっていう説があって・・・」
二人の笑い声と共にドアが静かに閉まった。
〜Sometimes the more things change, the more they stay the same.〜
Merry Christmas to all!
End
|