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DISCLAIMER: The characters and situations of the television program 
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TITLE

Man to Man Talk
〜Fox Mulder is home〜

作：Girlie＿girl17
訳：tomo

＊「この作品はシーズン8以降の、ウィリアムが誕生した後の物語です。」

ジョージタウンのどこかのアパート

夜の静寂を破るように赤ちゃんが泣き出し、父親があたたかいベッドから飛び起きてベビー・ルームへ駆け寄った。
この時間に泣き出すのはお腹が減ったというサインに違いない。

フランネル製の柔らかなベビー服に包まれた赤ん坊をベビーベッドから抱き上げ、モルダーはそっと揺らしながらささやいた。

「Hey baby、シー・・・ママを起こしちゃダメだよ。」

赤ちゃんは父親のなだめる声に反応して鳴き声を止め、口に入れられたおしゃぶりに吸い付きだした。

「どうしたんだい？またお腹が減ったのかい？」

彼は赤ちゃんを抱いてキッチンへ向かい、冷蔵庫の中から準備してあったほ乳瓶を取りだして電子レンジへ入れ、ONのボタンを押してカウンターに寄りかかった。
毎日やっていることなので、キッチンの明かりを点ける必要さえなかった。
赤ちゃんは父親の胸にもたれながら赤ちゃん特有のかわいい声を上げていて、モルダーは微笑みながら抱き直し、大きな手で背中を優しく撫でた。

電子レンジが“チン”と鳴ってできあがりを知らせると、取りだしてよく振り、温度を確かめた。

〈よし、丁度いい。〉

モルダーはリビングのフットライトだけを点け、赤ちゃんを大きな木製の揺りかごの中に寝かせてから慎重にほ乳瓶をくわえさせた。


　　　　　　　　　　　　　　　　〜Fox Mulder is home〜


赤ちゃんは待ちきれないように強く吸い付いた。
「ゆっくり飲むんだぞ、ウィル・・・・。今夜は二人きりで、男同士の話ができそうだな？big guy。」

ウィルがミルクを飲みながらモルダーをじっと見つめていると、彼はかがみ込んでウィルのボタンのような鼻に自分の鼻をこすりつけて微笑んだ。

「本当にママみたいな綺麗な目だよ、ウィル・・・、大きくなったらママにきっと感謝するぞ。」
ウィルはまばたきしてじっと見つめた。

「ママのこと好きだろう？パパもだよ。」
ウィルはミルクを飲んでいた口を止めてまばたきした。

「そんなことは知ってるって？ウィル。そうやってると、今のお前は最初に会ったときのママの顔そっくりだよ。ママがパパのオフィスに始めて入ってきたときも、そんなふうに大きな目で僕を見たんだ。」
ウィルはミルクを飲みながらモルダーの話しに耳を澄ませていた。

「ウィルはウィルの顔でママに似てないと思っているかもしれないけど、何年かしたら、その通りだと分かる日が来るよ。ママは僕に似てると思っているみたいだけどね。でもママに似て良かったと思う日が来るよ、バスケットボールさえしなければね。さすがに5フィートじゃNBAは入れないからな。」
モルダーはそっとウィルを抱き上げてささやいた。
「でも僕の遺伝も入ってるんだから、背は僕に似るかもしれない。」

モルダーはウィルの額にキスして、うぶげのように柔らかい髪をなでた。

「目は完全にママ似だけどね。」
ウィルはパチッとまばたきした。
「いい子だウィル！その目だよ。」
モルダーは笑ってウィンクした。

「ママの蒼くて澄んだ瞳。ママに見つめられるとパパは何の嘘もつけないんだ。だから一度もママに嘘を付いたことがない。」

モルダーがささやきかけながら揺らしていると、ミルクを飲みながらウィルのまぶたが眠たそうに下りてきた。

「人を愛する心がママに似てくれるといいな・・・・ママが僕に愛することを教えてくれたんだよ。でも、パパはまだこんな幸せな日が迎えられてることが信じられないくらいなんだよ。ママが僕を愛してくれるなんて。いや、本当なんだ、ウィル！それはお前は僕がハンサムで世界一いい男だっていうことを知ってるだろうけどな。特にキッチンのシンクで遊んでるときなんかはそう思うだろう？でも、絶対にパパがシンクをバスタブ代わりに使ってお前をお風呂に入れてるって事はママにしゃべっちゃダメだぞ。他にも怒られそうなことはみんなしゃべっちゃダメだぞ？約束だ。」

ウィルはしゃっくりをした。
「大丈夫かい？背中を叩かなきゃな。」

モルダーはほ乳瓶を取ってウィルの肩にタオルを置き、げっぷをさせるために抱き直して背中をポンポンと叩き出した。
「いつもこんなことして悪いとは思ってるんだよ、buddy。ミルクを飲み終えたら必ずげっぷさせないとお前の体に悪いからな。赤ん坊の体ではまだ一人でできないそうなんだ。それにこの間忘れてお前が泣き出して、ママに怒られたからな。これからはもう忘れないよ。」

モルダーは背中を叩き続けながら、あぐらを組んでいる膝の上に乗せた。

「ペアレンツ・セミナーっていうのがあって、お前が生まれる前からママとよく行ったよ。そこでそういうことを教わったんだ。」
「そこで一緒になった人たちが今の僕を見たら・・・」
モルダーはニヤッと笑った。
「きっとセミナーにいた僕とは手つきが違くて別人だと思うだろうな。」

ウィルが大きなげっぷをした。


「よくやったぞ、buddy、よくできた！」
モルダーはウィルをすくい上げて、ほ乳瓶をもう一度くわえさせてみた。

「ウィル、お前が生まれてくるまで9ヶ月もママはお腹の中で育てたんだ。パパはそのうちの数週間しか見られなかったけど・・・今はどんなことよりお前が大切なんだよ。だから少しだけ時間をくれ。」

ウィルはミルクを飲みながら眠気と闘って目を開けていようとしていたが、とうとうお腹が一杯になって耐えられず、ほ乳瓶をにぎったまま目をつぶった。

「Boy、お前が男として成長する時はパパを参考にしてくれ。それだけはママも賛成してくれると思うんだ。」

モルダーは立ち上がってベビー・ルームへ行き、ウィルの口からほ乳瓶を取っておむつを換えるためにテーブルの上に横にならせた。

「ちゃんとチェックしないとな。」
モルダーはそう言っておむつを開けた。
「やっぱりだ、今換えてやるからな。早く一人でトイレに行けるようになってくれよ。」

おむつを換えながら話しかけ、汚れたおむつを専用のバスケットの中に放り込んだ。
そして腕の中に抱き上げて揺らしながら、そっと話しかけた。

「ウィル、実は大計画があるんだよ。お前が二本足で歩き出せるようになったら外に散歩に行くんだ。広くてきれいな公園や野球場やピザ屋に行って・・・待てよ、たぶんお前もピザは好きになると思うけど、その前にまず歯が生えないとだめだな。そしてキャンプに行って星空の下で眠って。お前に本物のE.B.Eを見せてやるよ。それにな、お前はもうじき一人じゃなくなるんだ。パパとママはもうじきお前に兄弟を作ってあげる約束をしたんだよ、きっと一緒に遊べるぞ。でも妹だったとしても怒るなよ、パパの子供の頃を思い出しても、妹っていうのも楽しいぞ！」

モルダーはウィルをベビーベッドにそっと下ろし、ちいさな手にキスした。

「いい夢を見るんだよ、ウィル。何も心配する事なんて無い。パパとママがお前をいつだって愛して守っているから。分かってるよな。」
モルダーはそうささやいて、ウィルの額におやすみのキスをした。

そして部屋に戻ってスカリーを起こさないように、そっとベッドに横になった。

「大丈夫だった？モルダー。」
眠そうな声でスカリーが尋ねた。

「ああ、大丈夫だ。」
モルダーはスカリーの方に体を寄らせながら天井を眺めた。

「スカリー。」

「ん？」

「ウィルの歯はいつ生えると思う？」

End