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DISCLAIMER: The characters and situations of the television program
"The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox
Broadcasting,
and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended.
TITLE
: Dance Without Sleeping
作：Lydia
Bower
訳：tomo
注：この作品は「メメント・モリ」でガンの宣告を受け、その後のエピで全快するまでの間、
スカリーがどうやって強く生きていくことを決心したのか、そして、どうやってモルダーが
彼女を支えたのかを描いた物語です。
*この作品はシーズン4「メメント・モリ」のスポイラーficです。
*作品には出血シーンが含まれています。
*この作品は18歳以下の方はお読みになれません。
*どうか以上のことをご了承の上お進み下さいませ。また、長めの作品ですので、できれば
お時間のあるときにゆっくりお読みいただけたらと思います。
Dance
Without Sleeping Z Place Your Hand
モルダーは庭造りを手伝うことになった。
私とモルダーは午前中とお昼を母の家ですごし、朝からコレステロールがたまりそうなほどの
大量の朝食をとった。
卵、ベーコン、それにハッシュブラウン。
母は楽しそうに私のダイエットの心配をはねつけながら、モルダーの前に次々と料理を並べた。
「フォックスはたくさん食べるのが好きなのよね？そうでしょ、フォックス。」
モルダーはにっこり笑って答えて私に振り返り、ハッシュブラウンに滝のようにケチャップをかけた。
母はテーブルにつくと嬉しそうに私とモルダーを見ていた。
私はなんだか照れくさくなって目を伏せ、グレープフルーツとコーンフレークを食べ、モルダーの
ベーコンを一切れ盗んで食べた。
母はずっと私が食べる様子を見つめていて、早く私とモルダーの関係を教えてほしそうに瞳を輝かせ、
朝食が終わるとすぐ私をキッチンの隅に呼んだ。
何とかモルダーと私の近況を伝えると、母の顔が輝いて、嬉しそうに私を抱きしめた。
母は私とモルダーの関係だけでなく、私自身の喜ぶべき変化にも気が付いたようだった。
今日は朝から素晴らしいお天気だった。
見上げると目が痛くなってくるほどつきぬけるようにきれいな青い空。
あたたかくて、気持ちがワクワクして何か新しいことが始まるような、素晴らしい春の陽気だった。
母は今年、庭の花壇を大きく広げる計画を立てていた。
朝食の後一杯のコーヒーを飲んで、私たちは庭に出た。
母は事前に庭に道具を並べて、いつでもできるように準備してあった。
モルダーは用心深く庭を耕す道具を見つめて、そっと私の耳にかがみ込んでささやいた。
「スカリー、まさかこれで食後の運動をするのかい？」
モルダーには前もって花壇の作業のことを言っておけば良かったかもしれない。
前もって言っておけば、きっとモルダーは自分から喜んで手伝いたがったに違いないから。
「モルダー、大計画なのよ。もちろんこれを使って花壇を作るのよ。手伝ってくれないの？」
「スカリー、庭仕事とかすると日射病で船酔いみたくなって目が回るんだよ。ずっと前にやったとき
なんか、2日は目が回ってた。」
モルダーの目は本当に苦しそうだったけど、構わず続けた。
「モルダー、その話はいつのことなの？とにかくエクササイズだと思ってやってみたら？」
モルダーはため息をついて私の挑戦を受け取り、シャベルを持って、母が手伝おうとするのを
手を振って止めた。
私も母に頭を振って見せ、さっそく昔の花壇に植えられていた苗を取り始めた。
30分後、モルダーはTシャツを腕まくりし、アイスティーと手袋を持ってきてと頼んだ。
1時間後、モルダーは母のしていたバンダナをもらって紐のようにねじって頭に巻き、額から
流れる汗を受け止められるようにした。
私は隣で手伝いながら作業を見つめ、彼のたくましい腕の筋肉の動きと、白いシャツが汗で
ぴったりはりついて、黒っぽく透けて見える肌を見つめていた。
顔から流れた汗が太い首を伝わり、玉になってしたたり落ちるのを見つめていた。
今できるなら舌をはわせてその汗を味わいたい。
ママが家から出てきて、麦わら帽子を私にかぶせた。
私の頬が日に灼けて赤くなったんだと思ったのだろう。
でもこんなに赤いのは太陽のせいじゃなくて・・・。
2時間半ほどしてようやく花壇が完成した。
モルダーの体はまるでスチームのように熱くなっていて、彼はシャベルを地面に突き刺し、
冷たいアイスティーをのどを鳴らしながら一気に飲み干した。
そしてバンダナをはずしてホースを持ち、蛇口を強くひねって冷たい水を頭から浴びて、
思い切り頭を振って滴を飛び散らせた。
冷たい滴がモルダーの肌であたたまりながら、首や胸をしたたり落ちていった。
水に濡れた彼はたとえようもないほどセクシーだった。
モルダーは私のそばに寄ってきて、芝生の上に大の字になって寝そべった。
彼はゆっくり目を開けて、空を見上げてつぶやいた。
「スカリー、雨が降ってきそうだ。」
空にはいつのまにか薄暗い雲がかかっていて、風も吹いてきた。
「そうね。」
モルダーが体を伸ばしてうなり声を上げ、私は思わず笑った。
「モルダー、疲れたの？」
モルダーは腕を枕にして少し頭を上げた。
「誰、僕が？まさか。楽勝だよ。」
でも私が最後のペチュニアを植えている間に、もうモルダーは目をつぶってウトウトし始めた。
使った道具をまとめていると、薄暗く曇った空が一瞬光った。
モルダーをそっと突つくと、「・・・あと5分だけ・・・」とぶつぶつつぶやいた。
「モルダー起きて、嵐になりそうよ。」
そう言った瞬間空に稲妻が走り、ゴロゴロと響きながらどしゃぶりの雨が降り出した。
「本当だ。」
モルダーはやっと目を開けて起きあがり、片腕で体を支えながらゆっくり芝生に座った。
「いて・・・。」
今度は両腕を立てて用心深く立ち上がりながらうめき声を上げ、笑っている私をちらっとにらんだ。
「モルダー、どうかした？」
「何も言わないでくれ、スカリー。」
「ダナ、フォックス、早く家に入りなさい！」
母が裏口のドアから顔を出した。
「今行きます。」
モルダーが答えた。
「行こう、スカリー。ママが怒り出す前に。」
腕を私の肩にかけて、雨の中を歩き始めた。
彼の腕の重みを感じただけで、胸の中が幸せで一杯になった。
私とモルダーはびしょ濡れになりながら作った花壇のことを話して、ゆっくり裏口へ歩いていった。
私がドアノブに手をかけると、突然モルダーが振り向いて空を見つめた。
「どうしたの？」
モルダーは何か素晴らしいことを思い出したみたいに笑っていた。
「モルダー、何なの？」
私たちはどしゃぶりの冷たい雨の中に立ちつくしていた。
「デジャヴだよ！」
モルダーが雨にも構わず私の腕をつかんだ。
「何のこと？」
私は首を振った。
モルダーは目を輝かせながら笑った。
「スカリー、オレゴンでの僕たちの初めての事件を覚えてるかい？」
忘れられるわけがない。
あの時どしゃぶりの雨の中、墓場の真ん中に立って開けられてしまった墓に囲まれながら、
初めて彼のプロファイルを聞かされたのだ。
その時のモルダーのことを何度思い出して愛しく思ったか。
今すぐモルダーにキスしたくなったが、母が裏口にいることを思いだして、背伸びするのを止めた。
モルダーは何も気付かずにかがみこんで、そのまま唇を近づけてきた。
「モルダー！ママに見えるわ。」
モルダーは鼻でクスッと笑った。
「スカリー、ママにも秘密なのかい？見られたってかまわないだろ？」
モルダーの言うとおりだった。
私はこれまであまりにもうまくモルダーへの想いを隠し続けていて、いつのまにか習慣になって
しまっていた。
そんな習慣なんて蹴り飛ばそう。
もう誰にもとやかく言われたくない・・・もう私は十分そうしてきたんだから。
欲しい物は、欲しい。
私たちが欲しい物はお互いの目の前にある。
私とモルダーは微笑んで、雨の中で熱いキスを交わした。
XOXOXOXOXOXOXO
母の家から帰ってくると、モルダーは腕を上げたり伸ばしたりして、背中や肩の筋肉を伸ばしていた。
そして食事がすむとカウチにしばらく横になっていたが、床に寝転がってひじを突いて頭を支え、
片手にリモコンを握ってあちこちチャンネルを変えだした。
私は読んでいた本から目を上げて、メガネ越しに彼を見つめた。
モルダーにTVのリモコンを渡しておけば、彼はゴキゲンだった。
いつもどんな番組も面白そうに楽しんでいた。
過去のニックスのゲームを数分見た後ヒストリーチャンネルに変え、コマーシャル、天気予報、
TVショッピング、MTVでジョン・オズボーンのビデオ・クリップを見た後、教育チャンネルに変えた。
何か大きな動物の生態と交尾について説明していた。
モルダーは振り向いて子供みたいに笑った。
更にチャンネルを変えると“チャーリーズ・エンジェル”をやっていて、モルダーはうんざりした
ようにため息をついてチャンネルを変えた。
AMCでは“Mr.Blandings Builds His Dream House”の映画をやっていた。
〈あ、モルダー、それがいいわ。〉
モルダーもそう思ったようで、ようやくリモコンを床に離した。
モルダーはしばらく黙ったままTVを見つめ、私は本とTVをかわるがわる見ていた。
「Hey、スカリー？」
モルダーが
TVに顔を向けたまま声をかけてきた。
「ん？」
「マッサージクリームはある？」
私は思わず微笑んだ。
「肩？それとも背中が痛いの？」
「少しだけだよ。」
モルダーは肩をまわして見せた。
「探してくるわ。」
私は戸棚からクリームを持って、モルダーの隣にかがみ込んで座った。
「シャツを脱いで。」
「君がマッサージしてくれるのかい？」
「いいから早く脱いで。」
モルダーは笑いながらシャツを脱いだ。
私は肩から背中へ流れる見事な筋肉に目を見はった。
〈今モルダーに必要なのはマッサージよ。他のことを考えちゃダメ。〉
頭の中でつぶやいて、しつこく浮かんでくる考えを振り払おうとした。
一瞬ためらった後、足を広げてうつぶせに寝ている彼にまたがり、腰の上に座ってクリームを
手に取り、背中のマッサージを始めた。
背中の筋肉にそって手のひらで強く撫でると、モルダーは少しの痛みと気持ちよさで息を吐き、
うめき声をもらした。
私の手は、彼のなめらかで熱い肌と筋肉に触れるたびにビリビリとしびれるようだった。
モルダーは目を閉じて顔を横に向け、額のダークブラウンの髪が彼の手首にかかった。
私は背中をもみほぐしながらモルダーの横顔を眺め、彼の顔の彫りの深さをうらやましく思った。
広い額、力強くまっすぐに伸びた鼻、少しヒゲの生えかかったシャープなラインのあご、豊かな
厚い唇、本人は気に入らないと言っている頬のほくろ。
これまで数え切れないほどモルダーの顔を見てきたはずなのに、それでも見るたびに彼の美しい
部分を見つけることができた。
少し後ろに下がって彼のお尻の上に座り、肩をマッサージし始めた。
モルダーは一瞬目を開いて低くうめき声をもらし、またそっと目を閉じた。
私は自分の体に小さな火がともり、彼の熱い素肌に触れるたびに、徐々に大きな炎に変わって
いくのをはっきり感じていた。
前にかがみ、ゆっくり体を戻しながら、肩から背中へ大きく手を動かしてマッサージした。
私が動くたびに膝の内側がモルダーのお尻の横をサッとかすめ続け、彼の腕に瞬間的に力が入り、
手を閉じたり開いたりしていた。
私は更に体をかがめて彼の肩から腕へと手をすべらせて、肩の外側の筋肉をマッサージした。
腕から、更にモルダーの手を覆って指の付け根まで手を伸ばした時、彼は指に力を入れて、
私の指を挟み込んだ。
「モルダー？」
「何だい？baby。」
ハスキーでゆっくりしたモルダーの低いつぶやきが胸を貫き、体中に震えが走った。
〈モルダーに“baby”なんて呼ばれるなんて。〉
モルダーだけじゃない。
これまで誰にだって私のことを“baby”なんて呼ばせたことはなかった。
でもモルダーの口から初めて聞いて、あまりに甘い響きで目がくらみそうになった。
彼に“スカリー”と呼ばれる以上に、甘く、愛しく心に響いてとっておきの宝物のように輝いていた。
「仰向けになってモルダー、肩のつけねをマッサージするから」
私の声は少し緊張していたかもしれない。
膝を上げると、モルダーは言われたまま仰向けになった。
またクリームを手に取り、指で円を描くようにマッサージしていると、肩のつけねに銃弾の跡が
あるのに気が付いた。
モルダーは目を開けて私をじっと見つめていた。
彼の胸に手を置きながら、右手で肩からうなじにそって手でさすると、
指先で彼の髪がはねた。
それまでじっとしていたモルダーは、腕を動かして私の手を取るとゆっくり顔に近づけて、
手のひらに優しくキスした。
手のひらにキスされながら瞳を見つめると、そこにはあのアイオワの小さなモーテルで指を
くちづけられた時に見た光があった。
私はどうしたらいいか分からなかった。
モルダーは私を見つめたまま私の腰を抱き寄せて、あっというまに私の全身を抱きしめた。
私の膝に、間違いなく彼の固い欲望の感触があたった。
モルダーの瞳は濡れたように光り、ゆっくりと体を起こした。
「さあ、どうしてくれるんだい？」
「あら、私のせいなの？」
私はわざと気付かないふりをしてからかった。
「ああ、そうだとも。」
モルダーは固くなった部分を私の膝に押しつけて唇をなめた。
「さわってくれ、ダナ。」
「“ダナ”？」
「僕のダナ、僕のパートナー、僕のスカリー、僕の親友、僕の恋人。好きなのを選んで。」
私はかがんで、彼の唇に近づいた。
「全部よ。」
モルダーは頭を上げて私の唇を追いかけた。
私はちょっとフェイントしてわざとモルダーの唇から逃げると、彼は笑ってムキになって追いかけ
続けた。
しばらく追い続けると、彼はうなり声をあげて私のうなじをしっかりつかんで引き寄せ、とうとうつかまえた。
モルダーのキスは初めはあたたかくて、柔らかくて優しいが、すぐに荒々しいキスに変わって激しく
求めてきた。
唇の間から舌を入れて私の舌にからませ、口の中を打つようにして私の舌をモルダーの中に誘い込み、
激しく吸いながらからめ続けた。
彼が抱きしめる腕に力を込め、私の脚の間に腰を忍び込ませてきて思わず息をのんだ。
名残惜しげに唇を離すとモルダーは眉を軽く上げ、私たちはクスクス笑い出した。
「信じられないほど合うな。」
「男と女の体はぴったり合うようにできてるのよ、モルダー。」
「ご講義ありがとう、ドクター・スカリー。」
「どういたしまして。」
立ち上がろうとすると、モルダーは私の体を逃がさないように勢いよく抱きすくめ、腕の中に
倒れ込んだ私の脚をそっとなでだした。
私のジーンズの中が汗ばみだした。
手がゆっくり私の腰にはい上がり、ブラウスの裾から内側の肌にそっと触れ、私の反応を伺いながら
指をはわせた。
キスしようとかがみこむと、唇が触れあうほどのすぐそばで、モルダーはアナウンサーのように
つぶやいた。
「“モルダーがヒットを打って一塁を回り、満員の観客は沸き上がりました。果たして彼は二塁へ行けるでしょうか？”」
答えの変わりに、私は自分のブラウスのボタンに手をかけた。
モルダーはブラウスの中に入れていた手を引き抜いて、私の手を止めた。
「僕がやる・・・。」
モルダーはゆっくり一つ一つボタンをはずしだした。
彼は私の瞳とボタンの間に忙しく視線を往復させながら、とうとう最後のボタンを開け、ブラウスの
裾をそっと開いた。
私は肩を振ってブラウスをすべり落とした。
初めてモルダーに見せる私の素肌。
食い入るように見つめる彼の瞳を私は見つめた。
モルダーの手が腰からゆっくりはい上がり、私の胸のふくらみを手のひらで覆い、ブラ越しでも熱い
彼の手の感触が胸を優しくつかんだ。
「すばらしいよ、一番何が好きかって誰かに聞かれたら、僕は絶対これだね。」
私は微笑み返した。
モルダーは本当にこの時を待っていたように嬉しそうで、心の底から喜んでいるようだった。
私も、そう。
この時を待ちこがれていた。
モルダーは器用にブラのホックをはずし、私はこれも肩からすべり落とした。
その瞬間、膝に触れていた彼の固くなった部分が、更に大きくなったように感じた。
モルダーの手は探るように、胸の重みを味わうように動き出し、手で包んでもむように寄せ上げ
だした。
彼の親指が、固くなって敏感な胸の先端を刺激して、私はため息と共に思わずあえぎ声をもらした。
モルダーの瞳は欲望で暗い光を放って輝き、私のあえぎ声を聞いて微笑んだ。
「感じる？」
「ええ・・・。」
私は目をつぶった。
「綺麗だよ。」
私は目を開けて眉を上げ、もっとモルダーが言葉を続けてくれるのを待った。
「それだけ？モルダー。」
モルダーはクックッと笑いながらささやいた。
「どんなことだい？じゃあ、“そそるような胸だ”と言おうか？スカリー。」
「あら、そう？」
彼はとうとう笑い出した。
「そうだよスカリー、君の胸はそそるよ。」
「あら、ありがとう。」
「もっと柔らかいところに行こうか？たとえばベッドとか。」
私はモルダーの肩や背中が痛むことを思い出した。
「そうだったわね、ごめんなさい、モルダー。痛かった？」
彼は唇に指を立てた。
「シー。大声で言うと思い出すよ。」
「じゃあ、静かに行きましょう？」
私は腰をずらしてかがみ、モルダーの肌に胸を押しつけてみた。
素肌と素肌が重ね合うとまるで電流が流れたように体中がしびれて、私たちは深く息を吐きながら
お互いの体を離した。
彼にそっとキスして立ち上がり、手を差し出した。
モルダーは手を引いて立ち上がり、私の頬を包んで熱く濡れた瞳でじっと私を見つめた。
「幸せかい？スカリー。」
もう言葉で答えなくてもお互い分かっている。
私は答えをまなざしに込めてモルダーを見つめ返した。
モルダーは言葉を受け取ったようにゆっくりうなずいた。
「愛してる。」
「もっと愛してるわ。」
「いや違うよ・・・僕の方がもっと愛してる。」
「私よ、モルダー。」
「証明して、スカリー。」
「喜んで。」
もう私たちを邪魔する物は何もない。
今、私たち二人だけ。
私は生きている。
ありがとう、モルダー。
ありがとう、私を愛してくれて。
XOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXOXO
Dance Without Sleeping [ Interlude
ベッドルームのドアのところで、モルダーがナイトスタンドの上のキャンドルに火をともすのを
見つめていた。
もう何年も前に買ったキャンドルだったから、きっとほこりが被ってしまっていたと思う。
買ってからこれまで、ベッドで柔らかなキャンドルの光が必要になるようなことなどなかったから。
〈ひょっとしたら、この日のために買っておいたのかもしれないわね。〉
いつかモルダーと今日のような夜を迎えることがわかっていた。
それが今夜になるとはわからなかったが。
かつての恋人たちとの関係にはいつも駆け引きやさぐり合いがあって、うんざりすることがあった。
恋の支配権をめぐって駆け引きし、つまらないパワーゲームを続けなければならなかった。
でも、私とモルダーの間にそんな無意味な駆け引きは一切無い。
私たちはもうずっと平等で、常にフェアであり続けているのだから。
モルダーはマッチを吹き消して横に置き、振り向いて私に手を伸ばした。
「おいで。」
私はドアから体を離し、モルダーを見つめながら近づいていった。
歩くたびに胸のふくらみが揺れ、肌が興奮でゾクゾクしていた。
モルダーは熱のこもった瞳で私の動きの全てを見つめ、まるで熱いまなざしで肌を舐めまわされて
いるようだった。
彼の手に指を絡めると力強く引き寄せられ、腕の中の聖域に私を包み込んだ。
そしてゆっくり背中をなで下ろし、カーブにそって指をすべらせもてあそび、私は鳥肌が立った。
私はモルダーの腰に腕をまわし、頭を胸にもたれさせて、力強く弾む心臓の鼓動を聞いた。
「寒い？」
「ん・・・寒くないわ。」
モルダーはクスッと笑って私のジーンズのボタンを指でつまんだ。
「それなら、これは必要ないな？」
モルダーはボタンを開けてジッパーを下ろし、手を中に入れた。
私は少し起きあがって腰からジーンズを一気に引き抜き、下着も一緒に脱ぎ捨てた。
私は自分の大胆さに驚いた。
モルダーは私がしたことを喜んでいるように、目の端を微笑ませながら見つめていた。
私はベッドから下りて生まれたままの姿でモルダーの前に立ち、彼が全身を舐めるように見つめる
まなざしを受け止めた。
彼は私の二つの胸のふくらみ、脚、太腿の間を覆うHair、そして私の瞳を繰り返し記憶するように
見つめていた。
私が無意識のうちに、モルダーを待ちきれないように自分の手を胸の頂きにはわせると、彼は息を
のんでうめき声を上げた。
手をそのまま肌の上をすべらせながらお腹へ、腰へ、そして太腿の内側にはわせ、目をつぶって頭を
のけぞらせた。
モルダーは何度も唇を舐めながら、私の瞳と、私の手の間に忙しく視線を往復させて大きく息を
吐いた。
「ああ、スカリー、意地悪だな。君は本当に意地悪だ。」
目を開けると、モルダーは急いでジーンズを脱いだ。
前にもモルダーの体は見たことはあったが、今目の前の彼は、その時とはとても比べ物にならな
かった。
彼の体はしなやかで逞しく、引き締まっていてきれいだった。
広い肩や胸がうらやましいほどだった。
逞しい胸には柔らかな毛があり、引き締まったお腹の上を通って、鉄のように熱く昂ぶった彼自身へ
続いていた。
まるで陸上選手のような脚、小さなお尻、力強い腕。
今、モルダーは大きな手を握ったり開いたりしながらじっと私の瞳を見つめて、決してまなざしを
離さなかった。
私の内側は熱く濡れて、彼の手触りが欲しくてたまらなかった。
「一人になったとき、僕を思い出すことがあった？スカリー。僕をベッドで想像したことがある
かい？」
私はため息をついて告白した。
「ええ。」
モルダーの唇と手が近づいて、全身をつかまれた。
「今夜は夢じゃない。」
その言葉と共にモルダーの唇が全身をはい、手で体中を愛撫された。
彼の情熱が一気に流れ込んできて、私ももう待てず、彼の体中に手をはわせながらあえぎ声を上げた。
今思い出せるのは重なり合う肌の熱さだけ。
全てをあずけられるモルダーの胸、力強い腕、丸いお尻、柔らかな彼のHair、逞しい彼自身、胸に
食い込む彼の指。
モルダーは低くかがみ込んで、私の胸の先端を口に含んだ。
濡れた舌が柔らかく先端を打ち、転がしながら強く吸った。
彼はせがむように少し口を開けて更に私を引き寄せると、また口に含んで頬がくぼむほど強く吸い、
濡れた舌先で転がし続けた。
私は彼の脈打つ昂まりに手を伸ばして優しく包み込み、もう片方の手で彼の髪に指を差し入れて頭を
支えた。
モルダーは私を抱き上げてそっとベッドの上に下ろし、彼も私を覆うように横になり、額の上、
まぶた、顔の輪郭、首筋、そして肩までまるで雨のようにキスを降らせ、顔を上げて私の唇に
深くキスした。
私は少しだけ彼の下唇を甘く噛み、ベルベットのような感触の彼の舌を受け入れ、口の中で激しく
追い求めた。
部屋の中は私たちの激しい息づかいと、お互いを求め合う小さなあえぎ声、そして甘いつぶやきだけ
しか聞こえなかった。
モルダーは唇を離して手で私の体をなで始め、肘をついて私の反応を見ようとした。
彼の瞳は私の顔と、愛撫している場所を動き回った。
モルダーの手がゆっくり、やさしく肌の上を動いた。
あせる必要なんてない。
今、私たちは世界中の時間を独り占めしているのだから。
私はモルダーの顔の輪郭を指でなぞりながら、彼の手が背中から太腿の内側へすべらせる感触に
のけぞった。
モルダーは胸の方まで手を上げると腕を伝い、私の両手を握りしめ、ベッドにはりつけるように
両手を頭の上に上げさせた。
彼の長く太い指が私の指にしっかり組み合わさり、手のひらに汗をかいてきた。
モルダーがまぶたをゆっくり閉じて開けると、瞳の色が暗く、より強い欲望が光った。
彼の手が肩に下りた。
「うつぶせになって、スカリー。」
モルダーは私の問いかけるようなまなざしを受け止めながら続けた。
「君の全てが見たいんだ。」
私はうつぶせになって枕の上で腕を組み、目をつぶってうなじからゆっくり下がっていくモルダーの
手の動きを感じた。
彼の手が肌の上で突然止まった。
モルダーは体制を変え、手を止めた部分にキスした。
〈タトゥー〉
モルダーはもう一度うなじから唇をすべらせ、タトゥーの模様にそって舌先をはわせた。
体中に震えが走った。
「きれいだよ、スカリー。」
モルダーはタトゥーの方を向いたまま言った。
彼の声の中には問いかけも含まれていた。
これまで口に出さなかった彼の問いかけが。
「何もなかったのよ、モルダー。私は寝てないわ。」
肌の上に彼の安心したようなため息を感じた。
モルダーは手でタトゥーをなぞりだした。
私は真実を話し、彼は信じた。
それ以上何も付け加えることなどなかった。
モルダーは私のお尻の片方をつかんで感触を楽しむようにもんだあと、脚の方へ手を伸ばし、
またお尻に戻した後、指を内側にそっとすべらせた。
私は彼の指が動きやすいように腰を上げた。
モルダーの指は後ろから蜜で濡れた花びらをそっとかきわけ、敏感な部分を探りあてて円を描く
ように指先でもてあそび、あふれるように濡れた内側に指を沈み込ませた。
私は体を少し離して仰向けになった。
愛撫するときのモルダーの表情を見たかったから。
モルダーにも私を見てほしいから。
私は彼の前で脚を開いた。
モルダーは私の表情を見つめながらまた私の中に指を沈め、徐々にリズムを変えながら突き、
激しく、優しく突きながら敏感な部分をなで回して私のあえぎ声を高めていった。
快感の波が強くなってきて彼の腕につかまって声を上げると、同じリズムで突き、円を描くように
敏感な部分を押して刺激してきた。
「こうかい？」
あまりの快感で、私はうなずいて答えるしかできなかった。
「わかった。」
モルダーは同じリズムのまま指を2本に増やし、私の胸の先端を口に含んで舌で転がし始めた。
ゆっくり私の中をかき回した後、徐々に、徐々に指の動きを早くしていった。
私は彼の熱く脈打つ部分に手を伸ばそうとしたが、彼は素早く腰をずらした。
「まだダメだよ、スカリー。今は僕にさせてくれ。急ぐことはないんだ。」
モルダーはもう一方の胸の先端を口に含みながら指を動かし続け、私は彼の指のマジックに気が
狂いそうだった。
指が私の中を突きながら常に親指で敏感な所を優しく、甘く攻め立てて、確実に絶頂へ追いつめて
いった。
私はモルダーの背中と腕に爪を立て、もだえながら手をシーツに叩きつけ、目を閉じて全身を
震わせながら絶頂のすぐそばまで上りつめた。
モルダーは息を切らせながら激しくくちづけし、指と同じくらい激しく舌を絡ませた。
「スカリー・・・、さあ、スカリー・・・！」
全ての神経がスパークして、叫び声に近いあえぎ声を上げて脚を彼の腕に巻き付け、高く高く
上がる波にのまれていった。
「モルダー！ああ、モルダー!!」
「愛してる、愛してるよスカリー・・・。」
モルダーの声は息切れしたようにとぎれて官能的なほど低く、息ができないほど私に激しくキスした。
私は全身の力が抜け、がっくりと脚をベッドに投げ出した。
モルダーは私のお腹の上を小さな円を描くようにゆっくりと撫でていた。
やっと目を開けると、モルダーが私をじっと見つめていた。
重そうに半分閉じた瞳から、こらえきれないほどの欲望が感じられた。
「綺麗だよ・・・、もっと今の君を見ていたい。」
私は眉を上げて、彼の脈打つものをそっと握った。
まるで灼けた鉄の棒にシルクをかけたような感触だった。
「何か忘れてない？モルダー。」
彼は自分自身を見下ろし、また顔を上げた。
「僕はすごく我慢強いんだよ、スカリー。“彼”はどこにも行かないよ。」
「“彼”？」
モルダーはちょっと考えて、「“こいつ”？」と言った。
私はいたずらっぽく微笑んだ。
「その“彼”に名前はある？」
モルダーは照れたように笑った。
「どうかな？」
信じられなかったが、モルダーの顔が赤くなっていた。
「気にしないで。」
モルダーはそう言って私の脚の間に体をずらしてひざまずいた。
私は少し腰を浮かせて、脚の間にひざまずいた彼の腰に脚を巻き付けた。
モルダーは私の腰を引き寄せ、指を濡れそぼった中に入れ、親指を敏感な部分に固定してまた
ゆっくり動き出した。
でも私の体はまだ絶頂の後から回復していなくて、特に敏感な部分は痛いほど腫れきっていた。
モルダーの指の感触に、思わず息をのんだ。
「強すぎた？」
彼がすぐに動きを止めた。
私はうなずいて見つめた。
「もう手はいや。」
モルダーは意地悪そうにニヤッと笑って、顔を膝の間に近づけた。
「ならば唇で・・・。」
モルダーはシェイクスピアのセリフのように言い、私が笑い止むと同時に、唇が濡れた中に入って
きた。
熱く、優しく、唇が花びらを割り、蜜をすすりながら、柔らかい舌で粘膜をめくり始めた。
唇は手よりもソフトに、体中の快感を再び呼び起こした。
〈ありがとう、モルダー。〉
モルダーは素早く私の感じる場所を覚え、まるで蜜を味わうように舐め上げ、舌で転がし、
舌先をとがらせて私の中に入ってきて、さっきの指の動きと同じように動き出した。
私はまた絶頂の波にさらわれてしまった。
モルダーが体をずらそうとするのを、私は脚を彼の腰に巻き付けて離さなかった。
もう待てない。
〈早く私の中に入って！〉
そうでないときっと狂ってしまう。
「まだだ、スカリー、もっとしたい。」
私は額にかかった彼の髪をかき上げた。
「欲しいの・・・、あなたが欲しいのよ、モルダー。もう待たせないで。」
もう彼は否定しなかった。
モルダーは自分の昂まりをつかんで私の濡れた部分をなぞり、一気に奥まで貫いた。
私は衝撃に息が止まりながら腰を上げ、もっと深く受け入れようと、膝を彼の腰の上に巻くように
乗せて力を入れた。
モルダーは私をきつく抱きしめてゆっくり突き上げ、のどの奥からうめき声をもらした。
私は顔を上げて唇にキスした。
閉じていたモルダーのまぶたが半分開き、濡れた瞳で私を見下ろして、低くうめきながら大きく息を
吐いた。
私は彼の顔を引き寄せて、頬、眉の上、あごにキスを降らせながら聞いた。
「どう・・・？」
「ああ・・・最高だよ。もうここから離れたくない。このままずっといたいよ。」
私はクスッと笑った。
「愛して、モルダー。何も考えないで動いて。」
「ああ。何でも言うとおりに。」
モルダーは腰を動かし始めた。
初めはゆっくり、じらすように動き、ほとんど引き抜きかけて一気に沈み込ませ、そして激しく
突き上げ始めた。
最高のセックスだった。
私とモルダーは少しの隙間もなく重なり合い、一つになって動き続けた。
彼が突き上げるたびに衝撃が体中に走り、彼を包んでいる内側の筋肉を締め付けると彼の顔が
輝いて微笑んだ。
モルダーは腰を打ち付けながら私の肩に顔をうずめ、歯を立てて甘く噛んだ。
〈もっとあなたを感じたい。もっと激しく突き上げて、ジャックハンマーのように私に
打ち付けて。〉
私はモルダーのお尻をつかんでせがんだ。
〈もっと強く。もっと、もっと、もっとよ！〉
モルダーが私をきつく抱きしめた。
「つかまって。」
そう言うと彼は私の体を持ち上げてつながったまま起きあがり、そのまま後ろに横になって、
私を彼の腰にまたがらせるようにした。
私は彼を受け入れたまま動いてのけぞり、彼の膝に手を付いて体を支えた。
モルダーは私の先端ごと胸のふくらみをつかんでもみ、下から腰を突き上げ始めた。
突き上げられた衝撃で前にかがむと、モルダーは私の腰を支え、より強く突き上げ続けた。
私は低くかがみ込んで激しく舌を絡ませて彼にキスし、息をするために唇を離しながら深くキスし
続けた。
彼の肩に額をつけながら動きに合わせて腰を落とし、前後に振って彼の衝撃に体を揺らし、
更に上がっていく快感に目をつぶった。
〈ああ、モルダー、もっとよ！〉
彼は狂ったように激しく腰を打ち付けだした。
モルダーの瞳は濡れて虚ろに光り、彼もまた絶頂が近づいているのがわかった。
〈モルダー、一緒に・・・〉
腰を彼の動きに合わせて落とし、モルダーを抱きしめた。
モルダーの体は汗でびっしょり濡れ、顔も汗で光っていた。
彼は目を見開いてすぐギュッと閉じ、私を骨が砕けるほどきつく抱きしめて全身をこわばらせ、
頭をのけぞらせてのどの奥から長く、太いあえぎ声を上げ、私も一緒に絶頂の波に乗った。
今度は彼の熱いものを残らず注ぎ込まれた悦びだった。
私はモルダーの胸に倒れ込み、汗で濡れた髪の生え際に顔をうずめた。
彼の手が腰を包み、片手で汗に濡れた私の背中をゆっくり撫でた。
私は目を閉じて、意識を失った。
しばらくして、モルダーの手が私の髪をなでている感触がして目を覚ました。
「スカリー？大丈夫かい？」
私は顔を上げて微笑み、そっと腰を離そうとした。
でもモルダーはすぐ私を引き寄せ、顔を合わせながら横になり、決して離したくないようにさらに
腰を引き寄せた。
彼は私のまぶたの上にキスを落とし、鼻先にもキスした。
「僕たちは最高だな。」
目を開けると、忘れられないような美しいヘーゼルの瞳で見つめられていた。
「“期待以上だった？それとも予想通り？”」
モルダーはキョトンとしたが、すぐ私たちが初めて調査に向かうときに交わした会話を思い出して、
輝くような笑顔になった。
「君は？」
「心から感動したわ。」
「本当に？」
「ええ。リストに挙げた願いがかなったわ、モルダー。」
「何のリスト？」
「知ってるでしょう？“スカリーを幸せにする”リストよ。」
「僕はかなえられた？」
「そう思うわ。でも、モルダー。私があなたを愛してるってことを知っていてくれれば、
リストに挙げたことなんかより、それだけで私は最高に幸せなのよ。」
微笑んでいたモルダーの顔が真剣になった。
「どんなことでもするよ、スカリー・・・、どんなことでも全て。言ってくれ、何だってやる。」
「愛して、モルダー。それだけがほしいの。」
モルダーはきつく私を抱きしめた。
「いつまでも、ダナ。永遠に愛してるよ。」
私たちはシーツの中に入った。
モルダーは私のお腹の上に頭を乗せ、腕を腰に巻き付けていた。
私は彼の髪をゆっくりなでた。
すぐに大きないびきがモルダーから聞こえて、クスッと笑った。
明日、来週、来月何が起きるか分からない。
でももう心配しない。
全て風にまかせよう。
たとえ何が起こっても、揺れない強さと自信を私たちは手に入れたのだから。
私たちは二人でいることで強くなった。
これから私たちは一緒に耐え、一緒に喜びを分かち合っていく。
私たちは永遠に一組として生き、誰も私たちを打ちのめすことなどできない。
真実はそこにある。
必ず私たちは見つけだしてみせる。
自由と幸せを手に入れてお互いを救い合えるのだと、今こそ私は確信できたのだ。
To
be continued...........
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