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DISCLAIMER: The characters and situations of the television program
"The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting,
and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended.
TITLE
: Decisions
作：Angela
Wardさん 訳：bagpiperさん
F.B.I. Special Agent Fox Mulder はキッチンに入ってくると、カウンターの上の書類の山をチェックした。
ふだんそこには特に目新しいものはない。
たいていその日に届いた手紙とか、玄関先に放り込まれていたチラシとか、それから彼の妻−Special Agent Dana Scully−が病院に行った帰りにもらってくるいろいろなパンフレットなどが置いてあるだけだ。
ところが今日は、ぎょっとするようなものが彼の目を引いた。
絵入りの小冊子で、中には、写真ではなくてイラストなのだが、様々なスタイルのエキゾチックな体位が描かれていた。
＜やばい！Scullyに殺される！＞
Mulderは焦った。
おそらく、独身時代に登録していたメーリングリストかなにかで、新しい住所がわかってこちらに転送されてしまったのだろう。
彼がそれを掴んで、ゴミ箱に投げ入れようとしたとき、Scullyがキッチンに入ってきた。
「あ、Dana、これはその・・・どこから来たのか僕にはさっぱり・・・」と彼が言い出した。
「私がドクターに頂いてきたのよ、Fox。ふたりでご覧くださいねって。」
「“ドクター”が、くれた！？」信じられない！とでも言うように彼が聞き返した。
「だってこれ・・・どう見ても『カーマスートラ』に書いてありそうなものじゃないか！」
「多分そうなんじゃないの？」Scullyがにっこりして言った。
「あの本って、もともとは医学書だったって知ってる？今どきの産婦人科医も古い時代の東洋医学を調べるのに使ってるみたいよ。」
「へぇ・・・いや、それは知らなかったな。」
「それで、実はね。」と言いながら、彼が握りしめていたパンフレットを取り上げると、その手をとって一緒にリビングルームに歩いていった。
「ちょっと話し合わなきゃいけないことがあるのよ。」彼女はカウチに座ると、彼の手を引いて自分の脇に座らせた。
「どうしたんだ？何かあったのか？」
「ううん、大丈夫よ、Mulder。妊婦がこの時期になると、全員におっしゃってることらしいの。御主人と話し合って下さいって。」
「何を？」Mulderが先を促すように、もう一度たずねた。
「Fox、わたし達って結婚したとき、子供をどうするかってことを決めなかったでしょう。アブダクションの後、私の身体は問題を抱えてるって思っていたし・・・子供のことで話し合ったことって、先端医療技術を使えば、自分たちの子供が持てるのかどうかってことだったわ。でも私が、自然に妊娠できて...その必要がなかったことがわかって、わたし達、夢みたいで信じられなかったじゃない？でもドクターはね、たしかにこの子は１００万分の１の奇跡かもしれないけど、私が不妊だったっていう診断自体が間違っていたっていう可能性もあるっておっしゃってるの。だから、この子が生まれた後、もっと子供が欲しいかとか欲しくないとか、そういうこともきちんと考えておくようにって。」
「あ、そういうことか、Scully。いいよ、君の好きなようにして。君が決めてくれよ。」
「Mulder！」彼女は怒ったように、大きな声を出した。
「信じられない！あなたがそんな勝手なことを言うなんて。ふざけてるの？まさか、家族の問題は全部わたしの責任だって言うつもりじゃないでしょうね？」
「い、いや、Dana、ちがうよ」彼は小さな声になりながら、彼女をなだめようとして言った。
「そんなつもりで言ったんじゃないんだ、君の責任だなんて言ってないよ。君に考えて欲しかっただけだ。僕は君の決めたことに従うよ。」
「Mulder、こういうことって、ふたりで決めるべき問題じゃないの？」
「いいかい？Scully、ちょっと論理的に考えてみようよ」彼女の口癖を真似て言い返す。
「君は医者だし、それに子供ができて、大きく人生が変わることになるのもたぶん君の方だろう。どう考えても、君の方が、いろいろわかった上でどうしたらいいか判断できるはずだよ。僕が手術を受けた方がいいと思うなら僕はそうするし、避妊具の方がいいなら勿論それでもいい。君がピルを服用するほうがいいと言うなら、それがいいに決まってる。僕はどんなことでも協力するつもりだけど、この件に関しては実はよくわからないって言ったほうが正しいと思う。」
「じゃあね、順を追って考えてみましょ。」Scullyが言った。
「まず、最初に話し合わなきゃならないことは、もっとたくさん子供が欲しいかってことよね。」
「もっと・・・？」彼がたずねた。
Scullyは天井を見上げながらため息をついた。
「Mulder、この子ひとりだけじゃ足りない、なんて言うつもりは決してないのよ、そんなこと思ってもいないし・・・。私はずっと、母親になることすら望めないって諦めていたのに、神様はこんなにも素晴らしい贈り物をしてくださったわ。医学的な技術なんて全く使わないで、こうして私が妊娠できたってことは、奇跡以外の何ものでもないと思うの。でも、私は、自分に兄弟やお姉さんがいて良かったって思ってるし、もしできることなら、この子にもそんな家族を与えてやりたいのよ。」
「４人？４人ってこと？」Mulderが焦ったように聞き返した。
Scullyが軽く声をたてて笑った。
「ううん、そんなに大勢じゃなくてもいいわ。でも２人は欲しいの。それから、もうひとつ考えて欲しいのは、私の信仰にも関することだけど、カトリックでは昔ながらの自然な方法を教えてるってことも知ってるわよね。」
「うん、あのScully、君の信仰についてあれこれ言うつもりは絶対にないんだけど、でも科学者としての君はどうなの？そういうのって、実際にはあんまり役に立たないんじゃないのかな？」
彼女は首を振って言った。
「そんなことないのよ。きちんと計算してその日を避けるように守っていれば、有効な方法なんだから。インターネットで調べてみたんだけど、１９６０年代から１９７０年代にかけては、やっぱり誤解があったみたいなのね。でも、ここ２０年ほどで、この分野の研究も進んだし、手術をしてしまうとかピルを飲むほど確かじゃないにしても、避妊具を使う程度には有効な手段だって言えると思うわ。」
「それならどうして、前は誤解されてたんだろう？」彼女の夫が興味深そうに訊ねた。
「推測だけど・・・かなり厳しい自己規制を強いられるからじゃないかしら。危険日かもしれないって思いながらセックスしておいて、妊娠した挙げ句、これじゃ避妊は無理だって言ったりするカップルが大勢いるわ。ピルを処方されているのに、１週間に２，３日飲み忘れたりして、それで妊娠してピルが効かなかったせいだ、って言ってるようなものよ。自分のせいなのに。それからね、いかにもカトリック的なやり方だって思われてるようだけど、いろいろ読んでいたら、最近では総合治療や代替医療の専門家も勧めているらしいわ。」
「じゃあ、僕たちもそれでいいんだね？」Mulderが訊いた。
「そうじゃないの・・・」彼の妻が答える。
「どういうこと？」
「今までどおりでいたいの。」
「次の子も、すぐに欲しいってこと？ほんとにそれでいいのかなあ？」
「私だって、すぐに妊娠するとは思えないわ、Fox、もちろん全くないとは言い切れないけど・・・。でもね、私はこの子を母乳で育てたいし、そうしたら排卵が抑制されると思うの。それに、かりに私が不妊だったというのが誤診で、もともと問題がなかったのかもしれないって考えたとしても、結婚してから妊娠するまでに１年近くかかったわけだし・・・。ねぇ、二人目の子をすぐに作るとか、二人目はいらないとかって、そんなこと決めてしまっていいのかしら・・・私はただ・・・あとで後悔したくないの。自分たちが大切な家族を持つチャンスを逃したんじゃないかって思いたくないのよ。」
「Dana、君の決めたことには従うって、さっき言ったけど、ひとつだけ条件をつけ加えさせてもらうよ。」
「なあに？」
「二人目の子を持つことには全く異存はないんだよ。年子になったってかまわない。ただし、君のドクターが大丈夫だって言ってくれなきゃだめだ。それに今度の出産がうまくいったらっていう条件付きだ。もし、この子が生まれるときに大変だったり、ドクターから２度目の妊娠は君の身体を危険にさらすことになる、なんて言われたら、絶対にやめよう。そのときは、その昔ながらのやり方でいいよ・・・ちょっと何日か我慢すればいいんだろう？なにしろ、僕たちときたら何年も自制心のトレーニングをしてたようなものなんだからさ。」
Scullyが小さな笑い声を立てた。
***
MulderとScullyは、カウチに横たわり、お互いに寄り添っていた。
Scullyは、このところ、とても疲れやすくなっていたし、多分うとうとしながら寝入ってしまったのだろう・・・彼はそのまま黙って、彼女を抱きしめていた。
ところが、彼女はふと顔をあげて、彼に向かって微笑んだ。
そしてさっきの小冊子をトランプのカードのように広げてみせた。
「どれにするか決めた？」
「え・・・あ、うん・・・」
Mulderは一瞬迷ったあと、ひとつを選んだ。
彼の好きな形をふたつ組み合わせたようなやり方だ。
彼は、当たり前のかたちにこだわるタイプではない。むしろ彼が好きなのは、Scullyを上にするとか、背中から抱きかかえたり彼女を後ろから愛して、彼女の可愛いお尻に自分の下腹が柔らかく擦られるような感触だった。
その絵によれば、男性の体の上に女性が背中を預けるように体を重ねていて、男性は後ろから彼女を抱いている。
Scullyはそれを見てから言った。
「楽しそうだけど・・・でも、これであなたが・・・いけると・・・思う？」
Mulderは、にやっと笑いながら答えた。
「君もさぁ、Dana、科学者なんだろう？まさか忘れたわけじゃないよな、理論の正当性を確かめるには実践あるのみだってこと。」
ふたりは手をつないで階段をあがり、ベッドルームに入ると、服を脱ぎ始めた。
Mulderは注意深く、拳銃の装填をはずし、銃弾のはいったクリップを引き出しにしまった。拳銃はクロゼットの一番上の棚に積んであるシーツの下に隠す。
この家に引っ越してきたときに、Scullyが言い出して以来、習慣にしている自衛策だ。
２，３年もしないうちに、この家の中を好奇心いっぱいのおちびさんが走りまわることになる。今のうちから、常に武器を安全な場所に保管する習慣をつけておくに越したことはない。
Scullyは着ていたものを全部脱いでから、ベッドのカバーを引き剥がし、夫に向かってにっこりと笑いかけた。
そして小さな声で誘う。
「はやく来て。」
Mulderは、彼女を抱きかかえながらベッドに倒れ込み、そっと口づけた。
首から肩にかけて、細かくついばむようなキスを落としていき、お腹にもたくさんのキスを繰り返す。
乳房の上にも、ほんの少しだけ、掠めるようなキスをした。妊娠して以来、突起の部分も過敏になっていて、今は快感よりも痛みを感じてしまうらしい。
Scullyも、彼の体に両腕を回して抱きしめながら、唇を這わせて熱心に応えた。
彼の唇をとらえて口づけながら、がっしりした肩からすべすべした背中までの感触を確かめるように手のひらを行き来させる。
それから両手を彼の胸にすべらせて、その胸を覆っている淡い毛を絡めとるように指先を遊ばせた。
そして、爪の先で細い線をたどりながら下のほうにおりていき、腹を掠めたあと彼の中心で張りつめている熱い塊にそっと触れた。
さらに進んで、それを手のひらで包み込むと、柔らかく力を込めて握りしめた。
彼女に繰り返し撫でられて、彼は喉の奥で軽く喘いだ。
「君がよければ、いつでもいいんだよ。」
「もう・・・いいわ。」小さな声で彼女が言った。
「・・・でも、それ・・・どうすればちゃんとできるんだと思う？」
「じゃあさ。君が向こうを向いて僕の膝に座って、それからふたりでこっちにもたれるみたいにしたらいいんじゃないかな。」
Scullyは彼の胸に背中を預け、そして自分の体の下に、彼の引き締まった腿をじかに感じると、幸せそうに小さくのどを鳴らした。
Mulderが彼女を抱きかかえたまま、後ろに体を傾けていくと、彼女の両脚は彼の脚に添うように自然に開かれる。
彼の躯の上で、身の置き場を探すように彼女が身体をくねらせると、彼の下腹部に柔らかな感触が擦れあい、揉まれて、彼はうめき声をあげた。
彼女は、彼の昂ぶりをとらえて、その先端を自らの温かく潤った襞の間に収めてから、安心したように甘いため息をついた。
Mulderの大きな手が、彼女の体の上を滑りおりていった。
両手で太腿を撫で上げて、腰からお腹を包み込むようにさする。
妊娠してから、Scullyの体で、目に見えて変わったところというのは、胸とお腹だけだ。
多くの女性と違って、手足や顔には肉がついていない。
それから彼は、片手を脚の間に潜らせて、ふたりがつながった部分をわずかに上に辿り、その部分を指先でそっとなぞった。
もう片方の手を、胸の下に巻きつけるようにして抱きしめる。
「あぁ、いい気持ち・・・いいわ、Mulder！でも、あなたはいいの？あなたはどうするの？」
「しー！しゃべらないで・・・」Mulderは彼女の耳に向かって囁いた。囁きながら耳たぶに歯を立てる。
「僕の心配は後でいいから。今は君だけを見ていたいんだ・・・君が感じてるのを・・・」
Scullyは彼の言葉に応えるように身を捩って、か細い声で吐息を洩らした。
Mulderは、首筋に唇を這わせながら、指先で彼女を煽りながらその変化を確かめる。
そして、彼は耳元で何度もなんども繰り返しささやいた。
「愛してる、Dana・・・ｌove you, love you, love you・・・」
指で攻められ、唇で煽られ、彼の昂ぶりに押し上げられ、やがてScullyは身を震わせて達した。
Mulderが押しあてている先端には、小刻みに揺れるさざ波のような収縮が伝わってきた。
彼女を襲った波が静まったのを見計らって、Mulderがゆっくりと、声をかけた。
「Sweetheart、君が手を貸してくれたら、僕もこのままいけると思うんだけど・・・」
「こう？」Scullyは囁いて、片手を下ろして幹の部分をとらえて撫であげた。
もう一方の手で、太い根元からつながる二つの房を軽くなぶるようにしてくすぐってみる。
Mulderは喉の奥を鳴らしてうめき声をあげた。
Scullyの指の感触に溺れながらも、その先端のほんのわずかな部分は彼女の内側に埋め込まれ、その温かさの中に繋ぎとめられている。
彼女は絡めた指先に神経を集中させて、彼をどこまでも昂ぶらせていく。
そして、彼の身体が一瞬張りつめたかと思うと、大きく震えながら熱いものをほとばしらせた。
Scullyが身を起こすと、お互いの熱を惜しみながらふたりの体が離れる。
彼女は体の向きを変えて顔を近づけると、唇を押しつけて深く口づけ、ゆっくりとキスを交わした。
「愛してるわ、Fox. . .」
呟くように囁いて、彼女は穏やかな眠りの中に引き込まれていった。
end
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