DISCLAIMER: The characters and situations of the television program 
"The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting,
and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended.

TITLE : Granted Wishes

作：Angela Wardさん　　訳：bagpiperさん

僕たちは並んでカウチに座り込み、ＴＶの画面では「Caddyshack（ボールズボールズ）」が始まった。
半分も見ないうちに、僕たちはビールを飲み終えてしまい、ポップコーンもほとんどなくなってしまった。
僕は、Scullyの肩に腕をまわして抱き寄せた。
彼女は、僕に寄り添いながら、僕に向かって微笑み、そして靴を脱ぎ捨てると脚を折り曲げて横座りになった。

しばらくすると、彼女がこちらを向いて僕を見つめているのに気がついた。
ＴＶから目を離して彼女の顔をのぞき込むと、彼女はその顔を傾けて僕にそっとキスをした。

「テレビを消そうか？」僕は小さな声で訊く。

「いいの。」彼女が囁いた。
「キスしていたいだけなの。だめ？」

「いいんだよ、Scully」

僕たちがこういう関係になってから、Scullyに訊かれる度に、僕はそう答える。
いつでも僕に触れて、キスをしてくれていいんだって・・・ベッドに行かないときでもそうしてくれていいんだって、僕は何度でも言ってきかせてやる。
もちろん・・・「僕自身」にも、キスをしたり抱き合っているからって、早合点して跳ねあがったりしないようにと、きつく言ってきかせなくちゃならないんだけど。

終盤の一番面白いところをやるころには、僕たちは体勢を入れ替えてＴＶを見ていた。
最近ふたりでＴＶを見るときは、たいてい僕が仰向けに寝て - 
カウチの上だとちょっと体が沈んでしまうけれど - 
ＴＶの方に顔を向け、そしてScullyは僕の上に寝そべっている。
これが僕たちのお気に入りで、しかもScullyは、そうやっているとすぐに眠ってしまう。
僕の隣でもなく、僕の肩でもなくて、彼女は、僕の胸の上が好きなんだろう。
僕は片方の手で、彼女のつややかな髪に指をいれて、顔にかかった髪の毛をかきあげてやる。
そしてもう片方の手を腰にすべらせて、柔らかな丸みをそっとつかんだ。
こんな風に彼女に触れて、げんこつが飛んでこないなんて、未だに信じられない気もするけれど。

「Caddyshack」が終わった。
彼女はすっかり寝入ってしまったようで、規則正しい寝息だけが聞こえてくる。
リモコンでＴＶを消すと、カウチに引っかけてあったブランケットをとって、彼女の上からかけてやった。
僕は、あの日・・・彼女がこのカウチで眠ってしまったときのことを思い出していた。
あの夜、彼女は僕のベッドで、僕の腕に抱かれた。
そして７年ものあいだ、ずっと夢に見続けたそのひととき、僕は彼女の中で・・・

僕は大きく息を吸って、昂まった気持ちを鎮めようとした。
Scullyは寝てるんだから、そっとしておいてやらなくちゃ。
彼女は朝までここにいるんだし、時間ならまだこれからたっぷりあるじゃないか。
あれから１ヶ月半・・・僕たちは、幾晩も、ふたりだけのそんな時間を重ねてきた。

僕は意識を逸らすように、あの魔法使いJeannieのことを考えた。
ScullyはJenを魔法使いじゃないって言うと思うし、この数日間で起きたことも全て、まともな科学的な説明をしようと頑張るんだろうな。

僕が、あのばかげた１つ目のお願いをして、それを取り消すために２つ目のお願いを無駄にした後、ようやく考えついた３つ目の願いを口にしたときは、あのJenも驚いたらしい。
ただ、正直に言って、誰かのためになんて高尚な気持ちで言ったわけじゃない。
だけど自分のことだけ考えてみても・・・そう、数ヶ月前なら、Samanthaの行方を知りたいと願ったかもしれないが、僕はもう、Samanthaの身に何が起きたか理解できたんだ。
他には、何があるだろう？
まず、僕には仕事がある。天職と言ってもいい。それにこの仕事は失業の心配がない。
僕には財産もある。祖父母の残してくれた投資信託もあり、それに両親の遺産は僕がひとりで相続することになってしまった。
僕にはそうたくさんの友人がいるわけではないし、親友といえばパラノイアおたくの３人組だ。だけど、その３人は、世界中どこを捜しても得られない、誠実で絶対的に信頼できるヤツらだ。

何より、僕にはScullyがいる。
愛してやまない、美しく心豊かで聡明な女性。僕はどこまでも彼女を愛する。
そして、その彼女が僕を愛してくれている。
この世で僕が望めるものを全て手に入れて、僕にはこれ以上欲しいものなんて、思いつきそうにない・・・

end