☆ 内容を簡単にご紹介 ☆
モルとお食事をして別れた翌朝、目覚めたスカちゃんがリビングに下りていくと、Charlesが電話の周りで大騒ぎをしています。
「おはよう。どうしたの？」
「おはようSprite,映画は面白かったかい？」
まさかモルと二人で食事に行くとは言えなかったスカちゃん。家族には友人と映画に行くと言っていたのですね〜。
「あ、ええ・・・まあまあだったわ。クラークゲーブルが老けてたけど。ところで、何かあったの？」
「ああ・・・今朝からMulderと連絡がとれないんだよ。」
そこでスカちゃんの脳裏には夕べのモルの言葉が。
“Charlesに謝っておいてくれ。”
スカちゃんはモルが自分たちの前から去ったのだとすぐに悟るのです。
で、ちょっとだけ罪悪感は感じているのですが、自分の家族に危険が及ぶかもしれないという不安がなくなってホッとしているという気持ちの方が強いんですね〜。（意外と冷たいスカちゃん＾＾；）
でもまさかCharlesには自分とモルが夕べ会って話し合いをしたなどとは言えるはずもなく、スカちゃんができることといえば、結婚式直前に付き添い人に逃げられたCharlesを慰めることくらい。
「クソッ！Mulderのやつ！」
「彼がどうしたの？」
あくまで何も知らない振りをして冷静に振舞おうとするスカちゃん。
「突然姿を消したんだよ。実家にも行っていないっていうし、どこかホテルに泊まっているのかもしれないけど、それも定かじゃない。ひょっとしたらこうなるんじゃないかとは思っていたんだよ。僕は何回も心配はないから、大丈夫だって言ってやっていたのに。」
「大丈夫だって何が？」
スカちゃんの問いを無視してSkinner（モルとCharlesの共通の上司なのです）に電話をかけるCharles。
コーヒーを飲みながらも、耳をダンボにしてCharlesとSkinnerの会話を聞くスカちゃん。
会話の中にはチャンという名前が何回か出てきて、スカちゃんはまさかモルがチャンに捕まったのでは！？とドキドキ。
「こんなことするなんて信じられないよ！」
Skinnerとの会話を終え、イライラと受話器を叩きつけるCharles。
「こんなことって？」
「ドタキャンだよ。僕はMulderにここにいても大丈夫だって言ってたんだ、それなのに・・・。出席するつもりがないのに、どうしてわざわざ僕たちの前に姿を見せたりしたんだろう？」
その理由に思い当たってハッとするスカちゃん。
多分Mulderは何らかの方法で自分がCharlesの血縁であることを知り、それを確かめにここまで来たのだろう。
MulderはCharlesの付添い人として結婚式に出席するためにここに現れたわけではない。
事情の説明と謝罪に来たのだ。Charlesにではなく、自分に――
「Charlie」
「何だい？」
「あなたどうして彼にここにいても大丈夫だなんて言ったの？ひょっとしたら、彼はずっとここに来るのに乗り気ではなかったんじゃないの？」
Charlesちょっとびっくりしながらも、
「Sprite,これから話すことはちょっと込み入った話で――誰にも話さないって約束してくれるかい？」
「約束するわ。」
そこで始まるCharlesのお話。
「僕と彼は１９３９年から知り合いで、僕は１８歳、彼は２５か２６歳だった。僕みたいのが海軍の情報部に入れたのなんて本当にラッキーだったんだ。あそこは精鋭の集まりでね、中でもMulderはピカ一さ。彼は７カ国語を自在に操れるし、一度読んだ文章はすぐに覚えてしまう。何たってオックスフォード出身だからね。彼の父親も政府関係でかなり上の方の人物で家も裕福だ。望めば海軍なんかじゃなく、父親のコネでもっといい所に入れたはずさ。」
「どうしてそうしなかったのかしら？」
「彼は話そうとしないし、僕もあえて訊ねない。でも、家庭で何らかの不和があるんだろう。でも彼には弟がいてね、よく自慢してたよ。Samっていう名前で、プリンストン大学で野球をしていて、そこをすごい優秀な成績で卒業したとか、やれ、こうしたとかああしたとか。弟のことを話す口調に妬みみたいなものは一切感じなかったよ。本当に自慢に思っていたんだろうね。ただ、彼が父親に引け目を感じているのは言葉の端々からすごい感じられた。だから、父親に対する意地みたいのがあったんじゃないかな。とにかく、彼は香港での任務に飛びついた。数ヶ国語を操れる彼には適任だったんだ。そして、僕も連絡係としてホノルルに赴任した。そこで彼はチャンに会ったのさ。」
「チャンって誰？」
わざとらしいと思いつつも聞くスカちゃん。
「香港の麻薬密輸業者の元締めさ。Mulderがチャンの組織に潜入したって聞いた時、僕はかなりヤバイと思ったんだ。」
スカちゃんがモルから聞いていた話はかなり端折った話で、詳細は聞いていなかったのです。
ここでスカちゃんはモルがなぜ詳細を話さなかったのか気付きます。それはトップシークレットだからではなく、聞くに堪えない悲惨なお話だから。
聞くのが怖いと思いつつも、スカちゃんは先を促します。
「話して。」
「Mulderがチャンの組織の奥深くまで潜入してしまって、危険だと思った時にはもう手遅れだったんだ。SkinnerがMulderを帰還させるように上に頼んでも、それは受け入れられなかった。Mulderはチャイナムーンを任されていて、そこで仕入れる日本軍の情報が貴重なものだったんだ。」
「チャイナムーンって何？」
「バーだよ。表向きは雰囲気のいい感じだ。でも裏は違う。麻薬の売買と売春が横行している。」
そこで大ショックのスカちゃん。
Mulderが売春宿を経営していたなんてーーーー！！
っていうことは、女なんていつでも選び放題やり放題じゃないのよーーーーー！！！！
そりゃあ彼はあっちの方も魅力的でしょうよー！！
この前の晩でよーく分かってるわよ。彼しか知らないから他の人とは比べようがないけど・・・。
スカちゃんの動揺に気付いたのかCharles、そこですかさず
「奴は変なことはしないよSprite,賭けてもいい。」
「どうして分かるのよ？」
「Mulderはそんな男じゃない。帰還した時に彼が言ってたんだ。雇っている売春婦に対してチャンがどんな扱いをしていたかをね。
まるで奴隷のようで見ていられなかったって。そんな女性たちに手を出すようなことは出来なかったんだよ。」
でもMulderは私を抱いたのよ。
チャンが雇っている女だと思いながらもね。
と苦々しく思うスカちゃん。
「それで話は終わりじゃないでしょう？」
「ああ、まだある。チャンはやがてMulderを疑い始めたんだ。それで、雇っている女を使って彼の食事に麻薬を仕込んだんだ。」
スカちゃんが持っていたビタミン剤入りの瓶をしつこく麻薬だと疑っていたモルの姿を思い出し、胸を痛めるスカちゃん。
「彼・・・中毒にならなかったの？」
「中毒症状を感じ始めた時、彼はやっとチャンが食事に何を入れたか気付いたんだ。でも食事を拒否することはできない。
それは死を意味するから。だから彼は最小限の量を食べて体力を繋いだんだよ。脱出できるくらいにね。でも、年が明けた
２月にある出来事が――」
だんだん聞くのが怖くなってきたスカちゃん。
「２月に何が？」
「僕が知らせたんだ。彼の弟が戦死したと――」
はい。ここでお分かりですね？
フィリピンでスカちゃんを助けて死んでしまったのはSam。
モルの弟だったのです。
でも、スカちゃんはまだそこまで考えが至っておりません。
「何てこと――」
「この報せは彼を打ちのめしたよ。手紙の中で、彼はほとんど半狂乱になってた。そして、Skinnerが何と言おうとも、脱出してみせると。チャンの倉庫に火をつけてでもって書いてた。」
スカちゃんにはモルの狂気がよく分かるのです。
自分も収容所で気の狂いそうな思いをしたから。
そして、アメリカ軍が助けにきてくれる幻を何度も見ていたから。
これでユタでのモルの異様な行動に納得がいったスカちゃん。
自分は首を絞められて殺されていても不思議ではなかった。
でもモルはそうしなかった。それは彼の強さでもあると。
「でも彼は何とか脱出したのよね？」
「ああ。Mulderが香港で消息を絶ってから２日後に台湾の南東数百キロ沖でフィッシングボートに乗って漂流している彼を偶然アメリカ海軍が発見したんだ。見つけた時はひどい状態でね。あと１日か２日発見が遅れていたら死んでいただろうって。」
「麻薬中毒は？」
「完全に抜けるまで数ヶ月かかったよ。彼が回復するとすぐに、チャンが復讐しにアメリカに来ていると報せが入った。それが今年の８月のことで、彼はそれ以来ずっと逃亡生活さ。だから彼は僕の結婚式にも来ないと言っていた。でも、最近の情報でチャンが香港に帰ったことを掴んだんだ。だから、何も心配はいらないから僕の結婚式に出てくれってつい数日前にも話したばかりだったのに。」
そこでスカちゃんちょっと責任を感じちゃうの。
モルは夕べ、追いかけられているけど今は大丈夫だと説明しようとしていたのに、怒りのあまり彼の話を聞こうともしなかった。
そして、モルを追い出してしまったのは他でもない、自分なのだと思うともうズーンときちゃうのね。
そこに電話のベルが鳴り、すばやく受話器を取るCharles。
そしてひとしきり話して受話器を置くと、
「じゃあ姉さん、急ぐから後で。」
と言って出かけようとします。
「ちょっと待ってよ！どこへ行くの？」
「Mulderと僕は今朝上司のSkinnerのオフィスで会うことになっていたんだけど――彼は朝早くにオフィスを訪れてSkinnerに会って、僕が到着する前にオフィスを後にしていたんだ。オフィスを出る前にMulderがSkinnerの秘書にデュポン駅の発車時刻を訊ねていたらしい。」
「それで？駅へ行くの？」
「ああ。」
「彼は戻ってくると思う？」
「分からないけど・・・。でも彼は逃げ隠れする必要なんてないんだよ。そのことを分からせてやらないと。」
そこで落ち着かなくそわそわするスカちゃん。
どうしよう。きっとこんなことしたら後悔するのにと思いつつ、Charlesと一緒に家を飛び出して車に乗り込むのでした。
所変わり、デュポン駅でMulderは一人物思いにふけっています。
スカちゃんに全てを説明し、あわよくば・・・などと思っていたのですが、結果は見事に玉砕。
今望むのはスカちゃんから少しでも遠く離れることだけ。
彼女の怒りももっともだし、Scully家のような平和な家族を危険にさらすような真似はできない。
特にDanaには。
彼女の純粋さを思うにつけ、自分のした行動を許せないモルなのでした。
そこへ自分を呼ぶ声が。
振り向くとそこにはCharlesが。
「見送りにきてくれたのか？」
「何バカなこと言ってるんだよ。連れ戻しにきたんだよ。」
「僕は戻らないぞ、Charlie」
「いいや、戻るんだ。服が足りなかったら僕のを貸してやるよ。」
「これからサンディエゴに行って辞表を出すんだ。さっきSkinnerに出したけど、受け取ってもらえなかった。」
「何だって？」
「同じ事を言わせるなよ。僕は辞めるんだ。僕はまだ・・・普通の生活に馴染めないんだ・・・ずっと裏で生きてきたから。」
「だからってチャンから逃げ隠れする生活を送るっていうのか？そんなことはさせないぞ！」
その時、列車のベルが鳴り響きます。
「分かってくれ、Charlie,僕は戻れないんだ。」
「いいえ、戻るのよ。」
背後から聞こえた女性の声にモルは我が耳を疑います。
振り向くと、そこには夢にまで見たスカちゃんが。
そんなはずはない。彼女が自分を引き止めるなんて。
「そろそろ来る頃だと思っていたよ、Sprite。Mulderに何か言ってやってくれないか。」
「ごめんなさいねCharlie。駐車場が一杯で。」
モルの目の前にはたぶん起きたばかりでここにやってきたであろうスカちゃん。
ちょっと眠そうな顔をしてるけど、寒さで頬はピンク色で、モルにとっては誰よりもブラボーでビューティフルに映るのでした。
「付添い人を私一人にやらせる気なの？私足を捻挫してるのよ。一人で歩けないかもしれないわ。」
「そうだよ。君がいなくなったら付添い人はBill兄さんに頼まなきゃいけなくなる。DanaとBillはすごく仲が悪いんだ。式の最中に
喧嘩なんて始まったらうちの母親が気絶しちまうよ。」
この姉弟に引き止められてはもうモルもすぐに陥落。
でも一応はスカちゃんを目の前にして、顔が赤くなっている自分をCharlesに悟られまいとクールに振舞います。
「分かったよ。じゃあ近くのホテルにチェックインするから、後で連絡するよ。それでいいな？」
「ホテル？君の両親もワシントンだろ？実家に泊まればいいじゃないか。」
「うちの両親は今朝からマイアミに旅行さ。泊まる所は何とかするから心配しなくていいよ。」
「水臭いこというなよ。うちは部屋がいっぱいあるからさ。うちに泊まればいいよ。な？Sprite」
そこでふられたスカちゃん。
「カウチなんかとーっても寝心地がいいわよ。」
と一言。
てっきり「うちに泊めるなんてとんでもないわー！」という返答を予想していたモル。予想外のその言葉にすっかり有頂天。
「カウチでも構全然わないよ。僕の親友はカウチだからね。」
「じゃあ話は決まったな。Sprite,車の鍵をくれよ。帰りはその足で運転させるわけにはいかないからね。」
そしてCharlesは車をとりに行き、二人残されたモルスカ。
モルはもうウハウハなのですわ。
スカちゃんをじーーっと熱い眼差しで見つめて、
「僕の最大の強敵はチャイニーズマフィアと赤毛の女性だと思っていたけど、今朝になってそれは全部いなくなってしまったよ。」
「あんまり調子に乗らないでよ。さあ、行きましょう少尉さん。私だって忙しいのよ。」
モルはもう顔がニヤつくのを止められませんでした。
それは結婚式に出席できるからでもなく、
彼女の家に数日間泊まれるからというわけでもなく、
ましてや、彼女がここまで迎えにきてくれたからというわけでもありません。
スカちゃんは必死に隠そうとしていたけど、その口調の中に彼女の微笑みを見てしまったからなのですねー。
そして３人は和やかにScully家へと帰るのでした。
続きは駅でスカちゃんに引き止められたモル。
すっかり舞い上がって突っ走る編です！！
Charlesとスカちゃんに連れられてScully家に戻ってきたモルを出迎えるスカママ。
キッチンでコーヒーを淹れるスカちゃんにスカママが
「彼は孤独な人なのね。一目見た瞬間にそう思ったわ。今朝のあなた達の会話もちょっと聞いてしまったしね。」
「ママ！？」
ぎょっとするスカちゃん。
まさか数日前のキッチンでの自分とMulderの話も聞かれていたんじゃあ？と不安になります。
「心配しないで。私には人の話を立ち聞きするなんて趣味はないわ。ただ、Charlieと彼の上司の会話を耳にはさんだだけよ。だってあの子、Mulderがいなくなってひどく動揺していたんですもの。」
「ええ。そうなのよ。」
「で、あなたは？」
「何が？」
「別に連れ戻しに行くのはCharlie一人に行かせてもよかったのに、あなたはそうしなかったのよね。どうして？」
何も答えられないスカちゃんに、ママは明らかにからかいの眼差し。
さらに面と向かってMulderにお礼なんか言われたもんだから、スカちゃんもう照れくさくて家にいられないの。
「午後からMelissaのところに行ってくるわ。」
ランチの最中に言い張るスカちゃん。
（Melissaは二人の子供と近所に住んでおります）
「僕たちも一緒に行くよ。僕らが子供の面倒を見てるからさ、DanaとMelissaは二人でゆっくり話せばいいよ。」
とCharlieの余計な一言。
結局Melissaの家には３人で行くことになり、男二人と子供二人は外で雪だるま作り。
女二人は長々とお話し。
女二人が話すことといえばやっぱりゴシップ。
「うちの子供二人は相当やんちゃだって“あなたの”Mulderさんに言っておけばよかったわねえ。」
なんて言い出すMelissa。
「彼は“私の”Mulderさんではないわよ。」
「あら、彼素敵じゃない。私の好みからするとちょっと痩せ過ぎているけど、笑ったら可愛いわ。」
などと女の会話は続き、Melissaには現在恋人がいることを聞かされるスカちゃん。
名前はMelvin Frohilke（なんと！）
今夜来るので是非彼に会って欲しいというMelissa。
そして夜になってフロヒキーが来るわけです。
そこでスカちゃんビックリしちゃうんですよ。
だって前の夫のロブはとってもいい男で若くて背も高くて、Melissaの夫として何の遜色もない男だったわけです。
なのにフロヒキーときたら、オヤジだし、背は低いし顔だってイマイチだし、この男のどこにMelissaが惹かれたのか全く分からないスカちゃんなの。
でも男は顔じゃないわ！と主張するMelissa。
そこでスカちゃんちょっと冷静に考えちゃうんです。
自分がモルに惹かれているのは外見だけかもしれないと。
その場にはCharlesの婚約者のエレンも遊びにきたりしてみんなでワインなどを飲んで楽しく語り合っているのですが、モルのことで一人考え込んじゃうスカちゃん。
そこへMelissaが
「Mulderさんにワインもう一杯いかがって聞いてきてくれる？」
とけしかけるの。
でもモルはみんなの輪の中に姿が見えなくて、どこへ？と思っていたら、リビングの隅っこのソファの上でクリスマスツリーの影に隠れるようにして爆睡していたのですねー。しかもMelissaの子供二人を抱えて。
スカちゃんその姿を見てやけに感動しちゃうんです。
あんまり生活感のなかった男のこういう姿を見ちゃうと、もう母性本能疼きまくりなわけで。
そこでスカちゃん初めてはっと思い至るわけです。
妊娠の可能性に。
下腹部を撫でながら、まさかねーなんて思っていたら
「Dana,ちょっと来てくれよ。」
とCharlesに呼ばれ、その場を去るスカちゃん。
＊＊＊＊＊＊＊＊
寝惚けながら目を覚ましたモル。
何だか夢を見ていたような気がするのです。
スカちゃんが大きくなったお腹をいとおしそうにさすっている夢を。
頭をすっきりさせて部屋を見渡すと、ソファやテーブルが隅に追いやられてリビングが広々。
一体何事？と思っていると、Charlesがきて、
「これからダンスの練習をするんだ。披露宴では僕たちはもちろんだけど、君とDanaも踊らなくちゃいけないんだぞ。」
ダンス！？そんなの聞いてないぞー！！と動揺するモル。
スカちゃんを見ると、スカちゃんも困りきった顔でオロオロ。
「ねえCharlie,もう遅いから帰りましょうよ。」
「遅いですって？まだ８時じゃない！戦時中じゃあるまいし！！」
とエレンの助け舟？
「そうだよ。フロヒキーに新しいステップを教えてもらうんだ。覚えるまで帰ったらダメだぞ。」
そこでモル、Charlesのたくらみに気付くのです。
Charlesはまだモルとスカちゃんをくっつけようとしてるのですね。
で、モルにしてみれば、殴られることなくスカちゃんの手を握れるなんてまたとない機会♪
踊りながらもスカちゃんに「そのニヤけた顔をやめなさいよ」って言われるくらい顔が緩んじゃうの。
で、しばらくはみんなで楽しく和やかに踊っているんです。
スカちゃんも、このひと時が意外なほど楽しくて、いつまでも踊っていたいぐらいに思うの。
そしたらフロヒキーが突然
「Danaは本当に踊りがうまいな。よかったら僕と踊ってくれないか？」
なんて発言を。
フロヒキーにとってみればそれは深い意味はなかったのかもしれませんが、モルはなんたって一直線男だから、スカちゃんを誘惑されたと思って怒ってフロヒキーに喧嘩を売りそうになるんです。
本当に単純な男＾＾；
その場が一時気まずくなっちゃって、考えなしのモルにスカちゃんは再びカンカン。
あんたなんてもう知らない！！ってなもんでもう怒り心頭です。
「Scullyごめんよ〜・・・僕はただ・・・ごめん・・・」
ってモルが子犬顔で謝ってもスカちゃんには全然効果なし。
モルはひーんって半べそでキッチンに引っ込んじゃうの。
そこへMelissaがスカちゃんをなだめに。
「Dana,一体どうしたっていうの？」
もう自分を抑えきれないスカちゃん。
「彼は私から何かを欲しがっているの（カンペキ直訳）。でも、私は彼の気持ちに応える準備がまだできていない。だって、知り合ってからまだ数日しか経っていないのに、そんなの早すぎるでしょう？」
「そんなことはないわ。」
「どうして？」
「だってあなたとMulderはこの部屋にいる誰の目から見ても・・・明らかよ。詳しいことはあえて聞かないけど、あなたは彼に惹かれているんでしょう？なのになぜ彼にあそこまで噛み付くの？」
このままうやむやにモルの勢いに流されてしまいそうで、何だか怖いスカちゃん。
自分とMulderとの間にあったことをMelissaに全て話してしまいたいという誘惑に駆られるのでした。
「だって・・・彼はあまりにも情熱的で・・・怖いの。」
「そしてあなたはいつもクールよね。自分を曝け出すのがそんなに怖い？」
自分を曝け出したらひどい結果になったわ。
とモルとの一夜を悲しく思い返すスカちゃん。
「Missyには分からないのよ。」
「いいえ、分かるわよ。メルビンはロブじゃないわ。誰もロブの代わりにはなれない。確かにロブとは情熱的な恋だったわ。それは忘れられない大切な思い出よ。でもね、私に必要なのはもう情熱じゃない。私のそういう時期はもう過ぎたの。でもあなたはどう？いつまでも自分の殻に閉じこもって。自分の価値観を突き崩すのは今しかないのに。」
「ねえMissy,私って・・・そんなに頑固かしら？」
泣きべそで訊ねるスカちゃん。
「いいえ・・・あぁ・・・そうかもね。でもいい意味でよ。あなたは何年も辛い思いをしてきたわ。でもそろそろ新しい人生を歩き始める頃じゃない？」
「でも・・・どうすればいいの？」
「まずはあそこで子犬みたいにクスンとしている人と話し合いなさい。本気で話し合うのよ。天気の話しとか政治の話しなんてしちゃダメよ。さあ行って！！」
そこでキッチンに向かったスカちゃん。
モルはキッチンの横にある勝手口を開けて佇んでいました。
「そこで何してるの？」
その声にモルが振り向くと、目の前には気まずそうなスカちゃんが。
「頭を冷やしてたんだ。」
「冷えた？」
「ああ。」
そして二人は話し合いをするのです。
お互いに悪かったと。
でもでも、話し合いをしていたはずが、アドレナリン男モルはいつの間にか手を伸ばしてスカちゃんにキスを。
我に帰って“しまったーーー！”と思い、往復ビンタを覚悟するのですが、スカちゃんは
素直にモルのキスに応えてくれるのですね。
そんでスカちゃんたら大胆にも腰まで押し付けてくるもんだから、モルはヤバイ状態に。
「Jesus,Scully,やめてくれ。」
「やめるって何を？」
モルから見たらスカちゃんはすっごい純粋なわけで、そんなスカちゃんを自分みたいのが手を出すわけには・・・などと悩んじまうモル。
でも！そこでモルは突然さっきの夢をはっきり思い出します。
スカちゃんがお腹をさすっている夢ですね。
そしてモルはようやく自分がしたことの原因と結果に思い至るんです。
“もしかしたらScullyは妊娠してるんじゃないか？あの夢はその啓示かも！”
そう思っちゃったら周りが見えなくなる単純一直線バカ正直男。
「Scully？」
「何？」
「おいで。」
「どこへ行くの？」
近くの教会はどこだ？
それからベッドに直行だ！
もうスカちゃんが妊娠したものと（勝手に）思い込み、うれしくてしょうがないモル。
スカちゃんに思いっきりキスをして
「地方判事（注１）のところだよ。」
続く
（注１）地方判事とは、結婚式の立会いをする人のことで、アメリカでは一般的に地方判事に立ち会ってもらって式を挙げるのです。
☆ HISAYOの感想 ☆
だんだんと互いの誤解や今置かれている状況が分かってくるモルスカなのですね〜。
元々惹かれあっている二人なのでこういう誤解はするするっと解けるし、すぐに理解してあげることが出来るような気がしますね(^^)
それにしても弟のチャーリーくん。さすがにビル兄とかは違ってそれなりにいろいろなところで、モルスカの橋渡しをしてくれちゃっておりますね。
こういう人の存在があってこそと言うのもあるのかも！誤解がどんどんとけていく様はモルスカのつながりの深さが何よりも最高の要因の様な気がして大満足です(*^.^*)
それでもってこのチャーリーの説明。
この説明でスカちゃん同様私たちもモルの置かれている立場が明確に分かってきたところもありますよね。
ふんふん・・なんて私まで一緒になってチャーリーの説明聞いちゃいました。
チャーリーとモルの共通の上司にちゃんとスキナーが出てきているところも、あぁ・・ＡＵよねぇ〜って思えますよねぇ。
そんなこんなが話してくれたチャーリーの事情は本当に複雑で・・・、この作家さん本当にこれだけのシチュエーションをどうやって考え出しているのだろうと・・・ほんとこの作家さんの力量の素晴らしさを感じますです。
・・・と、本編からお話がそれちゃいました。
このチャーリーの説明でスカちゃんがどんな風な対応をしてくれるかって心配しておりましたけども、ぎりぎりのところでちゃーんと素直になってくれて、そんなスカちゃんが大変によろしいのではないかと♪
強気でちょっと本編のスカちゃんから見ると子供っぽい感じも否めないでもないですけども、その辺がまたダナ・スカリーっていう女性の垣間見る魅力の一つ。そこがクローズアップされているのかなって思えてなんかまた違った意味でスカちゃんに親近感を持っちゃいます。
デュポン駅ではモルがタッチの差で出発しちゃったりするのかなって思ってハラハラしましたけども、この辺はやっぱりロマンスの王道！
ちゃーんと間に合ってくれるという素晴らしい展開（ブラボー！）
なんか申し訳ないのですけどもこの辺で全然チャーリーの存在を忘れそうになった私がいたのですよね〜。
駅でひとり電車を待つモルの元に、スカちゃんが現れる・・・
もちろんその駅はプラットホームスタイルの駅じゃなくちゃいけません！
スカちゃんの説得にあくまでも駄々をこねるか？モルっっ！ってすでに目をつり上げ始めてしまった私だったのですけども、そんなこともなく〜♪
愛する女性の前ではあくまでも紳士に振る舞おうとしていることだけに躍起になっているモルがこれまた可愛いじゃありませんか〜♪
さて・・とりあえずモルとスカちゃんの事実上の距離は縮まりましたよね。モルがどこかへ行ってしまうのは取りやめたのですから。
問題は心の距離ですよね〜。いくら誤解が解けつつあるといっても、やっぱりねぇ。
一筋縄ではいかないだろう事は想像できますし・・・。
と思ったらもうモルったらすでにスカちゃんにメロメロになっちゃっているわけですね〜。
一目惚れ的なところがあったのでしょうか？
私はスカちゃんがモルを好きな気持ち１００位に対して、モルがスカちゃんを好きな気持ちが７００くらいあった方がいい人なので、こんな風にスカちゃんをあつーい眼差しで見つめちゃうモルは大好きです〜(*^.^*)
それでもってメリッサの登場も私的にとっても嬉しい。メリッサってきれいだしスカちゃんとはまた違ったタイプながら二人の姉妹愛みたいなものもとっても好きでした(^^)
でもメリッサ・・・なんでフロフキーなんでしょう〜〜〜〜〜？？？(*_*)
メリッサの風貌にフロフキーなのはぁ・・・その理由もちゃんと語ってはくれているけども、スカちゃん同様私も納得出来ず・・・
スカちゃーーん。そんなメリッサの言葉に惑わされてモル外見にだけ惹かれているのでは？なんて考えなくていいからーーー！しょうがないからー、あの容姿にやられちゃうのは〜。女性だったらしょうがないことですよぉ。同じ条件で、フロフキーとモルダーきたら１億人中１億人がモルに行くと思うしね。普通の事よ、普通のこと。
だって子供抱えてうたた寝しているモルなんて見せられた日にはねーーーーー(*>o<*)１００発１００中ノックアウト間違いなしでしょーーーーー！
なんて思っていたら、ダンスなんかも踊り始めちゃう接近ぶり。
モルはスカちゃんにどんどんメロメロになっていく様もたいへんよろしゅうございますね〜♪
そしてスカちゃんに怒られた子犬モルの反省っぷりなんかも心くすぐられますしね。基本的に母性本能が薄い私もこれにはやられます(^o^*)
そしてスカちゃんが妊娠している図を夢見てしまったモル突っ走り度はますます増して行くばかり(*^m^*) ムフッ さてどう答えるスカちゃんなのでしょうね〜♪o(^o^)o ワクワク
