☆ 内容を簡単にご紹介 ☆
このお話は完璧なAU（別世界の二人のお話）で、モルダーとスカリーはFBI捜査官では
ありません。あまりの設定の違いに私も最初は戸惑ったほど。
時代設定も何と１９４５年と戦時中。スカリーは２７歳で看護婦、モルダーは３２歳で
アメリカ海軍の少尉というキャラクター設定になっております。
そして、このお話の中のスカリーってば、すっごく口が悪くて気の強い女の子なんです。
スカリーは志願してフィリピンのキャンプで看護活動を行っていたのですが、日本軍とアメリカ軍との戦いでアメリカ軍が敗戦し、スカリーは捕虜として仲間の看護婦や兵士とともに
ロス＝バノスという捕虜の収容所に収監されてしまうのです。←これって歴史上本当にあった話らしいですよ。
そこで彼女が見たものは、日本軍による人体実験！！
周りの仲間たちが毎日一人づついなくなっていくのを見ながら、スカリーはいつか必ずアメリカ軍が救出にきてくれると信じていました。
そして終戦が近いある日、アメリカ軍がついに彼女たちを救出しにきます。
でも、アメリカ軍兵士はヘルメットとゴーグルとマスクで顔を覆っていたので、相手の顔が見えなかったスカリーはそれがアメリカ軍だとは気づかず、日本軍が自分を殺しにきたのだと勘違いして大暴れ。
収容所で覚えた思いつく限りの日本語で悪態をついていた彼女に、一人の兵士が近寄ってきて、マスクとゴーグルをはずしながら英語で「ニューヨークヤンキースは好きかい？」と訊ねたのです。
スカちゃん、その言葉にようやくアメリカ軍が救出にきてくれたことに気づき、ハッとして兵士の顔を見上げた瞬間・・・
あらまあスカちゃんたら一目で恋に落ちてしまったのでしたー！
ヘーゼルの瞳におっきいお鼻のハンサムなその兵士さんはスカリーに向かって「君は赤毛だからレッドってよぶことにするよ」なーんてのたまうのです。
で、アメリカ軍に促されてみんなで収容所から逃げようとしていたそのとき、生き残っていた日本軍兵士によってそのハンサム君は撃たれてしまったのですーーー！
彼は左胸を撃たれてその場に倒れてしまい、スカリーは為す術もなく彼の胸から流れる血を見ているしかありませんでした。担架に乗せられてヘリで運ばれていく彼を見送りながら、看護婦であるスカリーにはそれが致命的な傷だと分かっていました。
おそらく彼が生きて病院までたどり着くことはないだろうと・・・。
・・・と、ここまで読んで私は混乱しちゃいました！
だって、ヘーゼルの瞳でおっきいお鼻のハンサム君といえば、モルしかいないでしょーー！となるじゃあないですか！？
でも、その彼が第１章にして早くも死んじゃうってことは、その彼はモルじゃないの？それとも実は死んでいなかったとか？と想像をどんどん逞しくしちゃうわけですよ！
そこがMishさんのうまいところ！
そしてスカリーは心に深い傷を負って帰国するのでした。
スカちゃんはあのハンサム君が死んでしまったのは自分のせいだと思い込んでいるのですね。
自分がすぐにアメリカ軍が救出にきてくれたと気づいて、彼らと一緒にさっさと逃げていればこんなことにはならなかっただろうと。
彼女のような戦争捕虜はアメリカではPOW（Prisoner of War)とよばれ、戦後も精神的な後遺症と闘いながら暮らしているのですが、もちろんスカちゃんも例外ではありませんでした。
帰還後にアメリカ海軍に入隊し、専属の看護婦としてサンフランシスコに駐在していたスカちゃんですが、無力感、脱力感、不眠症、摂食障害、閉所恐怖症、拘束恐怖症等の後遺症と闘い続けていました。
そして帰還から一年ほどたったある日、スカちゃんは弟のチャールズの結婚式に出席するためワシントンに行くことになるのですが、そこでスカちゃんはなんと、サンフランシスコから家族の住むワシントンまで車でアメリカ横断をしちゃおうと決めるのです。
その旅の途中でスカちゃんが遭遇した出来事とは・・・。
・・・と、この辺までがお話の序章です。
なにしろ序章ですから、状況説明ばかりが多くてセリフがあまりなく、読むのも一苦労！
さて、お話は続きます。ワシントンへと向かったスカちゃん。
車を走らせながらもいろいろな事を考えます。
あのハンサム君が死んでしまったことに対していつまでも責任を感じて生きるのはやめよう。チャーリーの結婚式が終わって年が明けたら私も新しい人生を生きなくちゃ！
などと考えながらユタ州にさしかかり、辺りは猛吹雪に。
負けじと車を走らせるスカちゃんですが、雪にハンドルを取られてしまい、脱輪して側溝へ。
で、スカちゃん助けを呼ぶために近くの町まで歩こうと決めるのですが、吹雪はどんどん激しくなり、転んで足首を捻挫する始末。
いよいよ凍死かもと思ったその時、丘の上にポツリと立つ小屋を発見します。
痛む足を引きずりながらも死にものぐるいで丘を上り、「敷地内立ち入り禁止」の看板にも気づかずにドアを叩きまくるスカちゃん＾＾；
「すいませーーーーん！助けてほしいの！」
応答なし。
「ちょっとお！誰もいないのーー！？」
応答なし。
「助けてって言ってるのよ！」
そこでようやくドアを開けて男が。
「立ち入り禁止の看板が見えなかったのか？失せろ。」
「く・・・車が脱輪してパンクしちゃって、下の国道に置いてあるの。助けてくれない？」
「いやだね。」
「お・・・お願い。」
「いやだと言ったのが聞こえなかったのか？」
そこで無情にも閉まりかけるドア。
スカちゃんはそうはさせじとドアに食らいつきますが、低体温症にかかりかけていて、意識が遠のきます。
「しつこい女だな。」
遠のく意識の中で必死に顔を上げたスカちゃんが見たものは何とあのハンサム君。
ヘーゼルの瞳。おっきなお鼻。
そこでスカちゃんはついに意識がなくなり、最後にこう呟いて彼の腕に崩れ落ちたのでした。
「ニューヨークヤンキースはお好き？」
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ここで視点はハンサム君に移ります。
何だこの女は？
ヤンキースがどうしたっていうんだ？
どう見てもこの女には見覚えがないぞ。
などといろいろ考えるハンサム君。
ベッドに眠っているスカちゃんの顔を覗き込みながら、
顔は美人かもなんて思っています。
でもスカちゃんが日本語でうわごとを言っているのを聞いて一気に警戒モード。
やっぱりこの女はチャンが送り込んできた刺客なのか？
アメリカ人にみせかけてるけど、どこの馬の骨か分かるもんか。
・・・と思いながらも雪でずぶ濡れになったスカちゃんの服をご丁寧に脱がせていくハンサム君なのでした。
ここでハンサム君の現状の解説。
ハンサム君はNaval Intelligenceという海軍の情報部に所属していて、スパイ活動のために
戦時中は各国を渡り歩いていたのです。
彼の戦時中の最後の赴任地は香港。
日本軍の情報を得るためにチャイニーズマフィアの中にスパイとして潜入していた彼は、ボスであるチャンの信頼を得てチャイナムーンというバー（実態は売春宿と麻薬の取引場所）をまかされていたのですが、段々マフィアの汚い世界に我慢できなくなってきた彼は上司のスキナーに本国へ返してくれるように頼みますが、スキナーは無情にも彼の頼みを無視。
で、ハンサム君が考えたのは、力ずくでも香港を脱出すること。
逃げるついでにチャンの麻薬倉庫と港を爆破させて帰ってきたもんだから、チャンは大激怒。
ハンサム君は今や追われる身となってチャンの魔の手から逃走中なのでした。
そんな逃亡の真っ最中に見ず知らずの女が隠れ家に現れたもんだから、彼としては疑っちゃいます。
この女はチャンに雇われて自分を殺しにきたのか？ってね。
でも香港にいた５年間とか、アメリカに帰ってきてからもずっと禁欲生活を送っていた彼にとってはスカちゃんが無防備にベッドに寝ているというのはすっごい誘惑なんですねー。
いっそのこと襲ってしまおうか？いやいやその最中に殺されてはマズイ。
などと葛藤を繰り返しているうちにスカちゃんが目を覚まします。
で、彼が
「コンニチハ」
って日本語で挨拶したときに、スカちゃんは目を輝かせて反応をし、ハンサム君はスカちゃんがチャンのスパイだと確信します。
で、スカちゃんたらハンサム君が手にしていたコーヒーを見て、日本語で
「コーヒーくれる？」
なんていっちゃうもんだからハンサム君はもう警戒モード全開。
「お前が欲しいのはコーヒーか？紅茶か？それとも僕か？」
などとスカちゃんを威嚇して次回へ続くーなのでした！
これで状況説明はだいぶ終わりましたので、次回からは会話中心にサクサクーっと
行きたいなあなどと思っております。
☆ HISAYOの感想 ☆
由美さんの読まれるお話はいつも壮大でとっても大きな背景を感じさせて頂くものなのなのだなぁ〜と思っておりましたが、今回のこのお話もまさにそういう感じですね(*^O^*)
お話の背景は本当に複雑で、いろいろな歴史的部分を織り交ぜながらって感じなんですね〜。
スカちゃんは従軍看護婦さんでモルはマフィアを敵に廻しながら極秘任務を遂行するようなスパイ。
そのシチュエーションもこれまたモルスカであってモルスカでないっ！って感じを醸し出してくれておりますね〜。んでもってスカちゃんすごく元気だし（笑）
スカちゃんなんか若いというのも手伝ってとってもキュート！
こんな可愛い赤毛の従軍看護婦さんがいたら、軍人さん達も癒されてる面も多々あっただろうなぁ〜なんて思いつつ、従軍看護婦というとキャンディキャンディのあの頃のあの時代のお話ねーなんて思ってしまう私はやっぱり年齢バレバレですね(^^;;;
と私のくだらない発想経路は放っておいて、お話はモルスカに戻しましょう！
やっぱりモルスカって思うのは第一印象（結果的にはそれはモルの弟だったわけですけども）でスカちゃんが一目惚れしちゃうところ。
なんかパイロットでもスカちゃん、モルに一目惚れまではいかなくても、「あら？ハンサムなのね？」ってちょっと思ったような気がしているので、その辺しっかりキャラのシチュエーションを生かしているんだなぁって思いました(^^)
確かにＵＦＯやエイリアンを追ってばかりいるスプーキーっていうのは一体どういう人？って想像したときにあんな人は頭に浮かびませんよね〜(*>∇<*)
しかも眼鏡かけているモルですしねー！やられない女性はそうそういないですモノね〜。
と、いうことでモルに一目惚れってしまうスカちゃんは何時の時代でもどんなシチュエーションでも納得です〜。
それにしてもこの二人の出会いはモルの弟っていう一人の存在によってすでに距離が縮まっているわけですねぇ。そしてその距離が生み出した結果なのか、モルスカだからこそ当然なのか引きつけあう磁石の様に出会うわけですね。
モルはもちろんトンチンカンなことをいう女だなって思うけど、スカちゃんにしてみればそんなこともなくてね。その辺の誤解はどのような感じでいつ溶けていくのかとっても興味津々です。
とにもかくにもこれからモルとスカちゃんはどのように接近していくのか？？
まずはスパイと疑ってかかってしまっているモルはスカちゃんにどのように接するのか？そして意識を取り戻したスカちゃんは全くの別人であることにすぐに気がつくことが出来るのか？等々、気になる事はてんこ盛りです〜！
あ、あとスカちゃんが戦争で追ってしまった恐怖によってトラウマをおったままの状況も今後どういうところでマイナスになってくるのか・・・なんていうこともありますよね。どちらにしても、「待て！次号！」ですね〜！
