☆ 内容を簡単にご紹介 ☆
TimeLineはシーズン３。モルスカは友達以上恋人未満。スカちゃんはそんな関係を少しもてあまし気味なところ。女として無条件に誰かに愛されたいと、心に隙間を感じているスカちゃんの前に、ひとりの男性が現れます。彼はスキナーが「アポクリファ」で撃たれた折、手術を担当した外科医、ブライアン・パーカー。どうやら病院
でスカちゃんに一目ぼれだったらしい彼は、コーヒーショップでの偶然の再会を機に、スカちゃんをデートに誘うことに成功します。ブライアンはものすごくハンサムで、お金持ち。おまけに医学をこよなく愛する男です。優秀な外科医にありがちな傲慢さの欠片もなく、救えなかった命に深く傷つく繊細な面も持ち合わせた魅力的な人。ユーモアもあって、彼の言動はいちいち私の心を捉えてくれました。
何より、ブライアンはスカちゃんに魅了されていて、その気持ちを臆さずスマートに表現できるところが素晴らしい。スカちゃんはそんなブライアンと一緒に過ごすことで、女として満たされた気持ちになれるわけですね。愛しているまでいかなくとも、誰からも素敵と思われる男性と一緒に楽しい時間を過ごせば、心が華やぐというか、潤うじゃないですか。スカちゃんにもそんな女性の部分があって当たり前で。
当然、スカちゃんの様子の変化にモルは目敏く気付くわけです。そして何の根拠もないのに、恋人ができたのだろうと察知します。一貫してクールな態度のモルですが、その言動がいちいちスカちゃんを混乱に突き落とします。
恋人ができたのか？なんてわかりきった質問はすっとばして、いきなり「それで・・・彼の名前は？」ですから＾＾；スカちゃんは一瞬はと豆。
「名前なんて知ってどうする気？」
「身元調査をするのさ。」
「あなたは彼のタイプじゃないわ。」
「やましい過去があるかもしれないだろ。確かめておくに越したことはない。」
「やましい過去ならたぶんありね。 彼はドクターなの。スキナーの手術をしたわ。」
ドクターと聞き、言葉を失うモル。
「・・・何か問題でも？」
「仕事に差し支えなければ、問題にはならない。」
突き放すようなクールな顔の下に渦巻く嫉妬、読みたいところです＊＾＾＊
そして車を降りて一言。
「スカリー・・・君には幸せになってほしい。」
そう言ったモルの本心はどんなものだったんでしょうね？瞳に深く悲しい色が滲んでいたと思います。
モルの気持ちはよそに、スカちゃんとブライアンのお付き合いは順調に発展していきます。
スカちゃん、そんな他の人といやー＞＜、と不思議と思わないのは、ブライアンが素敵すぎるせいと、際どいシーンが出てこないためかと推測されます。
モルはやっぱり表面クールを装ったまま、進展状況に探りを入れてきます。
「彼氏とはどうなってる？」
「どうしてそんな話題・・・彼のこと、調べて何か見つけたの？」
「いいや。僕の調査の限りでは、おそろしくクリーンだ。」
「がっかりした？」
「少しね。 君を他の男と分け合うのは、気に入らない。」
「何言っているのよ、モルダー。」
「さあ、自分でもよくわからないな。そんなこと、今まで考えたこともなかった。」
「考えたことがないって・・・いつか、あなたと私が友達やパートナー以上になる日がくるかもしれないって・・・そんな風には考えたことがないの？」
「まさか。それならいくらでも思ったさ。僕が考えなしだったのは、君の一部が他の男に取られるってことだ。」
「・・・話し合った方がいい？モルダー」
「まだ何か言うべきことがあるか？」
「私はろくに発言させてもらってないわ。」
「世間の通説だ。仕事と遊びを混同するな。FBIでは、とりわけ要求される。」
「それならスキナーとは別れた方がいいわね。」
「君らはどこか怪しいと常々思ってたよ。」
結局、穏やかな微笑みでジョークを交わし、それ以上の追及を避けるふたり。
「―――僕はどんな可能性も切り捨てたりしない。未来は誰にも予測不可能だからね。」
けれど、最後に意味深な言葉を吐くモル。一種の宣言ともとれるその台詞はスカちゃんの心に響いて残ります。
その夜（当然深夜3時）、突然スカちゃんのアパートを訪ねたモル。何も言わず、スカちゃんを抱き寄せ、情熱的なキスをします。
混乱するスカちゃんにモルは、「くだらない通説に縛られるのはやめにした。未来はもう待たない。」
と告げるだけ告げて、帰ってしまいます。
スカちゃんは訳もわからず部屋に取り残されるわけですが・・・
さて、午前3時という非常識な時間に、情熱的なキスと意味深な言葉と一緒に取り残されたスカちゃんが、いつものようにオフィスへ出勤すると、そこにはいつものようにポーカーフェイスなモルが待っていました。
「話があるの。」
「手短にな。8時30分になったらオフィスへ来いと、スキナーがお呼びだ。」
スカちゃんは一瞬あれは夢だったのかと疑ってしまいます。そこへデスクを立ってモルが近くに来ます。
「キスはよかったろ？」
「・・・私、混乱してるのよ、モルダー。」
「混乱か。いい兆候だ。」
モルのまがったネクタイを直すスカちゃんの腰にはモルの手がそっと添えられ、ふたりは実にいい感じ。そしてスカちゃんはモルのヘーゼルの瞳を見上げます。危険なくらい空気が濃いですー*><*
・ ・・しかーし！ここであっさりくっつかないのがモルスカです。
「スキナーが怒り出す前に、もう行った方がいい。」
スカちゃんも黙ってモルに従い、スキさまのオフィスに向かいます。
30分のミーティングの後、新たな事件を抱えてオフィスに戻るモルスカ。ファイルに目を通しながらも、気持ちは今朝のやりとりへと泳ぎ気味。
モルダーは一体何のつもりで・・・しかもどうして今？私にデートの相手がいる時に限って・・・。
「・・・ブライアンと私の関係に、何か脅威でも感じているの？」
「いいや。」
「それなら、どうして今更・・・」
「何が今更なんだ？」
「わかるでしょう？今朝のあなたの行動よ。あんな時間に突然部屋に来て―」
「どうなるか確かめたかった。」
「それでどうなった？是非、聞かせて。」
「答えは言うまでもないだろ、スカリー。」
きゃー、自信家。でも私は情けないモルより、ちょっぴり傲慢で自信過剰なモルが好き。スカちゃんも、クールな態度のモルはひどくセクシーだと感じます。
「・・・まさかあなたから動くなんて、思ってもみなかったわ。」
「僕の背負った苦悩や、自己憐憫や罪悪感が邪魔をして、感情は表現できないと思っていたとか？」
「ええ・・・そうね。」
「感情を隠すのはもうやめにする。僕は今日という日を奪うんだ。後はケ・セラ・セラ。」
「その歌は勘弁して。」
「歌わないさ。君の度肝を抜く気はないよ。」
「ところで・・・」
「この事件か？」
待ってましたとばかりにモルは両手を擦ります。何となく互いの気持ちを確かめつつ、最後まで核心にはふれられないモルスカなのでした。
・・・ここで私からひとつ忠告を。
モルダーさん、確約をあげないと、スカちゃん本気で取られちゃうわよ。（呆れつつため息を零した私。）
さて、モルとは何となく前進したような気はするものの、ブライアンにどう話せばよいか悩むスカちゃん。はっきり言って気は進みません。スカちゃんはブライアンが好きなんですね。Loveではなくｌikeの気持ちで。そもそもモルからは何の約束も得られていないのに、ブライアンを捨てるような真似はしない方が賢明でしょう？こ
こがモルの詰め甘なところだって言うのねー><、（←スカちゃんが優柔不断でも決して責めないJNK。）
スカちゃん自身、モルへの気持ちが愛なのか確信できない部分もあって。長い間、相棒で、親友で、深い絆はあるけれど、果たしてそれを愛と呼んでいいものかどうか迷いがあります。もちろん愛に発展する可能性は否定しないけれど、自分たちに当てはめた場合そうと言えるか判断できないのですね。それもこれも全部モルがバカだ
からということで！ね、HISAYOさん。
愛情は感じる。女として求められている部分も否定はしない。でも、それは私を愛しているからなの？それとも、ブライアンに取られるのが嫌なだけなんじゃ・・・とスカちゃんの悩みは尽きません。
モルダー、もうちょっとしっかりね（怒）←責任の所在はいつでもモル。
さて、プライベートが宙ぶらりんの状況であっても、二人はプロです。確実に仕事はこなします。事件解決。出張先のモーテルでふたりはいつものように意見を戦わせております。
「私が納得できない理由ならわかっているはずよ。明確な証拠がひとつもない。あなたの説が非論理的なのは言うまでもなくね。」
「君の言う通りだ。僕は何を考えていたんだろうな？」
なんてびっくりな台詞を吐くモル。スカちゃんも面食らって何もいえなくなっちゃいます。そしたら、してやったりの笑顔を返され、スカちゃんも・・・やられたと負けを認めるわけですね。
「あなた、最低ね。」
これはもちろん褒め言葉として献上されます。
「君は満足を知らない。」
ネクタイを外し、靴を脱いでベッドに座るモル。スカちゃんは後悔することをしでかしてしまう前に自分の部屋に退散すべきと頭ではわかっていつつ、モルの横に座ってしまいます。モルのシャツのボタンを外し、胸に手を宛がうスカちゃん。微動だにせず、好きにさせておくモル。
「診察は合格？」
「とても健康だわ。」
「専門家の意見として、ありがたく賜っておくよ。」
モルはスカちゃんの手を取り、掌にキスをします。
「フォックス・・・」
「モルダーでいい。それで構わない。」
「普通、恋人は名字で呼ばないものよ。」
「何の違いがある−」
「れっきとした違いよ、モルダー。あなたはパートナーで、友達・・・それ以上の関係なんて、やっぱり無理なのよ。」
スカちゃんはすっくとベッドを立ち、自分の部屋へ帰ってしまいます。モル、ここでもバカをやってしまったようです。
出張から帰ったスカちゃん。すっかりくたくたです。そこへブライアンから電話が掛かってきて、明日の夜病院でチャリティパーティーが催されると誘われます。モルの腑がいなさに怒っているスカちゃんは、ひとつ返事OKです。
次の日の朝、スカちゃんはモルにきっぱり最後通告を突き付けます。
「はっきりさせておきたいの。 長年私たちはパートナーをやってきて、私が別の男性と付き合い出した途端に、あなたは私を口説き始めた。」
「結局何が聞きたい？」
「あなた、本気なの？今のあなたの行動は不適切よ。」
「それなら僕をセクハラで訴えたらいい。」
「不安なだけなんでしょう？あなたを差し置いて、私の人生における上位を占める男の存在が許せないだけなのよ。」
「その通りだ。僕は君を分けてやるつもりはさらさらない。」
「そう・・・でも、私はあなたの思い通りになる女じゃないのよ。私のプライベートに関わらないで。」
「手遅れだ。」
「なぜよ。どうして放っておいてくれないの？」
「放っておけない。君だってそれを望んでない。」
「あなたは私の望みなんてこれっぽっちもわかってない。」
「言葉でごまかしても、事実は変わらない。」
「うぬぼれてるわ。今すぐスキナーのところへ行って、XFから手を洗ったっていいのよ。」
「君は言うなれば、現代のポンテス・ピラトだな。」
「そう言うあなたは、自分をイエスに当てはめるわけ。」
ここで緊張の糸がふっと緩み、互いに微笑みあうモルスカ。結局のところ、こうやって言い合いしているのが、楽しくて落ち着くのでしょうね。
さて、時間は過ぎてその日の夜。ブライアンの病院でのチャリティパーティー会場。
スカちゃんはストラップレスの黒いドレスをまとい、髪は緩くアップにまとめ、オニキスのペンダントで首元を飾っております。
「君は会うたびに、ますます綺麗になる。」
「ありがとう。」
そこへスカちゃん、肩をトントンと叩かれ「なあ、紹介してくれないか？」と背後から声を掛けられます。
言わずと知れたモルのご登場。
「こんなところで何をしてるの、モルダー？」
そんなスカちゃんの抗議は無視して、ブライアンに握手を差し出すモル。
「フォックス・モルダー。＊ダナ＊のパートナーだ。」
「よろしく、僕は―」
「ブライアン・パーカー。医学博士。高校総代を務め、ウィスコンシン大を首席で卒業後、ハーバード大医学部へ進学。結婚歴、離婚歴ともに1回。元妻は―」
「いい加減にして、モルダー。」
「君はパートナーの恋人によほど関心が高いらしい。よければ理由を伺っても？」
「何事も公明正大にいきたいと思ってね。」
「ダナの判断を信用しないのか？」
「いつも意見が一致するとは限らない。」
そこへモルがこのチャリティパーティーにもぐりこむために調達したブロンドの看護婦がやってきて、退屈だから他へ行こうと甘えます。目的は達したらしいモルも異存ないらしく、さっさと会場を後にしてしまいます。
「・・・怒ってない？」
スカちゃんはブライアンを見上げ、訊ねます。
「全然・・・むしろほっとしたかな。ごめん・・・デリケートとほど遠くて。」
「あなたのあしらい方、感心したわ。それにモルダーの方が、あなたをプロファイルするなんて、ぶしつけにも程がある・・・一体いつから調べていたのかしら。」
そりゃー、スカちゃんに恋人ができたと感づいたあたりからでしょう（笑）それなのに、余計スカちゃんの癪に障るような真似してバカですねー、モル。しかし、これも何かの作戦なのかしら・・・？
日付は変わって木曜日。モルスカは早朝便にて出張です。機内ではモルの様子がどこかおかしい。昨夜のお詫びはないものか半分期待しつつ、目を閉じシートにもたれたままのモルにスカちゃんはどこかで不安を覚えます。
「モルダー・・・？」
「起きてる。」
スカちゃんに手を握られ、モルは目も開けずに答えます。
「何か隠し事でもあるの？」
「・・・XFが閉鎖される。」
「何ですって？」
「上層部の決定だ。」
「いつ・・・？」
「少し前だ。スキナーと一緒に何とかしようと頑張ったが・・・どうにもならなかった。」
「それで、私にはいつまで黙っているつもりだった？なぜすぐに教えてくれなかったの？」
「僕は・・・」
「こう思ったのでしょ？XFは自分の課だから、自分ひとりで何とかしようって。」
「何とか避けられるかと思ったんだ。」
「どんな手立てを講じたの？」
「スキナーに辞表を出した。彼らの望みに応えてやると、そう言って。不名誉退職を申し出たんだ。」
「それで結果は？」
「受理されなかった。僕が辞職しようとXFは潰される。」
「なぜ今になって・・・」
「さあな。気まぐれじゃないのか。そしてそれだけの力があった。」
「すべてを潰す力？彼らにあなたの・・・私たちの仕事を全て奪えると？」
「そうだ。すべてが奪われる。・・・これが僕らの最後の事件だ。君には後で話そうと・・・最後だからこそ、そういう雰囲気にしたくなかった。」
「それじゃあ、この事件が終わったら、人事異動されるのね。」
「君はクワンティコに戻る。」
「モルダー・・・」
「そして僕は局を辞める。すっぱりとね。」
「そんな・・・認めないわ、モルダー。私も辞め―」
「だめだ。」
「勝手よ、モルダー・・・」
「それでもだ。君は辞めちゃいけない。僕の良心が痛む。」
「辞めて、それからどうするの？」
「まだ決めてないが・・・路頭に迷う心配もないさ。」
「残念だわ、モルダー。」
「感傷はなしだ。いいね。」
「事件が終わったら話しましょう、モルダー。」
「ああ、事件が終わったら―――」
そして事件はいつものようにつつがなく終了。モーテルでふたりはお別れ会（；；）を開きます。グラスにウォッカを注ぎ、乾杯です。
「何に乾杯する、スカリー？XFの終幕にか？」
「願うなら、そんな言葉は言いたくなかったし、あなたからも聞きたくなかったわ。」
「願いを魚に例えるなら、大西洋の生息数にも負けないくらいある。」
「話して。ひとりで飲み込まれてしまわないで。」
「話して何になる？もう終わったんだ。ナンセンス甚だしい重荷はなくなった。それだけが救いだ。」
「これだけは言わせて。最後にもう一度だけ素直になってほしいの、フォックス。あなたと私と、真実だけに―――」
「ひとつだけ気がかりがあるよ、ダナ。過去は忘れて、前に進むんだ。君には輝かしい未来が開けている。こんなことで人生をダメにするな。」
「本音を言ったらどう？あなたは自分のせいで私の人生を台無しにするのが怖いのよ。」
「・・・その歯に衣着せない物言いが聞けなくなるのが寂しいよ。OK、正直に行く。僕のために人生を無駄にするな。僕らは最高のパートナーだった。一生君を崇拝し続けるよ、ダナ。でも、XFが閉鎖されたら、それきりだ。パートナーは解消される。僕らはそれぞれの人生を歩いていく。」
「ひとりでやっていけるの？」
「心配するな、ドクター。 ・・・こんなことでサマンサのことは諦めない。」
「・・・私を恋しく思ってくれる？」
「これから一生毎日がその連続だ。」
そしてモルはスカちゃんを固く抱きしめ、キスをするんですねー。その情熱の中に心の痛みや恐れ、そして何より愛を感じ取ったスカちゃん。一瞬ブライアンのことが頭を掠めたものの、すぐに消え去ります。今この瞬間に世界はモルダーとスカリーふたりきり・・・そして心も体もひとつに結ばれるのでした。
モルの前では決して涙を見せなかったスカちゃん。出張帰り、スカママの家に寄り、泣きたいだけ泣きます。（モルの前で泣いちゃえばいいのに〜TT）
次の日朝、オフィスに出勤すると、モルのネームプレートはすでになく、サマンサとスカちゃんのファイルもなくなっており、デスクに薔薇の花が2本置かれてありました。
スカちゃんも覚悟を決め、荷物をまとめて地下オフィスにさよならを告げます。
さて、モルと熱い一夜を過ごしてしまったスカちゃん。ブライアンにどう告げようかと悩んだ挙句、心が決まらないままとりあえず呼び出します。
「今病院なんだ。あまり時間がない。」
「会いたいの。」
「こっちにこれるかい？・・・・わかった。代わりの人を捜すよ。すぐに行くから待ってて。」
「ありがとう、ブライアン」
このように、ブライアンって人は何事につけ、優しいんですよね〜・・・。
「無理言ってごめんなさい。」
「医者の代わりならいくらでもいる。」
「あなたほどの名医じゃないわ。」
「僕の話はいいから。」
「どれくらい居られるの？」
「君が望むだけ。」
「どこから話し始めたらいいのか、自分でもわからないの。」
「それなら最初から話せばいい。」
ブライアンの思いやりに励まされ、スカちゃんはモルとの馴れ初めから現在に至る話を全部打ち明けます。もちろん、モルとの最後の事件を終えた夜の詳細を話すようなことはしませんけれども。
「彼なら心配いらないさ。きっと大丈夫だよ。」
「そう願ってる・・・。」
「完全なゲームじゃないか、ダナ。君は希望を捨てちゃいけない。信念も、夢も・・・愛する人を信ずる気持ちも。」
「ブライアン・・・」
「君の気持ちならわかっているつもりだよ、ダナ。僕はそこまでバカじゃない。君から聞かされたことも、それくらい全部覚悟してた。今僕に言えるのはこれだ。彼を諦めるな。君自身を諦めるな。きっと道は開ける。地獄の苦しみを伴っても、諦めなければ必ず見つかる。今はどんなに辛くても、それを信じるんだ。」
「信じたい・・・でも難しいわ。」
「そしてこれも忘れないで。君はひとりじゃない。」
ブライアンの言葉に後押しされるように、モルへ電話をかけるスカちゃん。ですが、結果は予想どおり、「お客様のおかけになった番号は現在使われておりません。」になっておりましたー（TT）どこに消えたのよ、モルー><、
あっさりハッピーエンドにはならないこのお話。
XFが閉鎖され、モルが姿を消した今、スカちゃんはXF再開に尽力します。手始めにスキさまを説得し、閉鎖した張本人CSMとコンタクトを図ろうとします。
スキナーも心打たれたのか、とりあえずは診断会議をセッティングしてくれます。
XFの存在意義を懇切丁寧にまとめあげたレポートと、ポイントを抑えた演説で、再開を訴えるスカちゃん。とりあえず結論は保留となりますが、スキさまだけは味方についた模様。
その会議のあった日の夜、帰宅し車を降りたスカちゃんに、Mr.Xが接触します。再開を思い留まらせようとしている様子が窺えますが、スカちゃんは相手にしません。
部屋に入ると、今度は電話が。
「こんなことを続けても、ベストセラーリストには載らないぞ、スカリー。」
「・・・モルダー？ どうして―」
「過去は忘れる約束だったはずだ。」
「同意した覚えはないわ。 あなた、どこにいるの？」
「―――まだ、パーカーと会ってるのか？」
「ええ、でも―」
「よかった。気を付けて。」
そこで黙り込むふたり。スカちゃんは緊張のせいか、受話器をぎゅっと掴んで痛いくらい耳に押し付けちゃっております。
「・・・バラをありがとう、モルダー。」
「元気で、スカリー。」
別れの言葉を残し、通話は切れてしまいます。スカちゃん、ここはいっそブライアントとはすっぱり別れた方がモルも帰ってきやすいんじゃないかと・・・（TT）
そして月日は少し流れ、モルが音信不通になってから4ヵ月後。スカちゃんはまだXFの再開が認められず、クワンティコで講師のお務めをしています。ブライアンとの付き合いも続いております。大切な人を失っても、人生は続く・・・悲しいけれど、それが現実だったりするのです（；；）
そんなある日、スキ様が突然電話で、XF再開権限が自らに委譲されたことを告げます。
当然、再開を要請するスカちゃん。
第一の目的を達成したスカちゃんの思いは、自然モルへと移ろっていきます。
スカちゃんは今やモルへの愛を自覚していたし、モルでなくては満たされない心も知っています。それでも、XFが閉鎖され、モルが去ってからというもの、暗黒の日々を送るスカちゃんの傍に、常に寄り添ってくれていたのがブライアン。彼はスカちゃんを支えるだけでなく、気持ちにも理解を示し、モルダーを忘れてほしいとは決し
て請わない。そんないい人なんですー（TT）ただ、スカちゃんの傍にいて、見守ってあげたい。幸せにしてあげたいとそう願っている人。
そんな人を捨てられますっ！？そんな無慈悲なスカちゃんであるはずもなく(TT)←これが逆のパターンだったら怒り狂っているだろう甚だ勝手なJNK。
ブライアンにも深い愛情を感じているスカちゃん。これ以上は望めないはずなのに、心はモルを忘れられない。一生毎日がその連続・・・そう言ったモルの言葉の通り、スカちゃんはモルが恋しくてたまりません。
地下オフィスに戻って1ヶ月が経ち、スカちゃんはモルダーのいないことに奇妙さを覚えるものの、やはり古巣は肌に馴染むのでした。
スキさまとのミーティングの後、オフィスに戻ると、デスクに飾ってあるメリッサの写真立てが伏せられていることに気付くスカちゃん。証拠も書置きもないけれど、もしやモルダーが・・・と心は騒ぎます。
椅子に座り、決断を迷うスカちゃん。ひとりの自分は、今すぐにでもウォーターゲートホテルの駐車場（二人が最初に引き裂かれた時の、秘密の落合い場所ですー。S2の初期。懐かしいですねー♪）へ行けと叫び、もうひとりの自分はただの気のせい、考えすぎだ無視してしまえと唆す。
いまや状況は落ち着いている。新たなパートナー（※女性です。）を得て、XFも軌道に乗せた。それでもやはり、何かが欠けている気がしてならないスカちゃん。モルのすべてが懐かしく、いてもたってもいられずに、スカちゃんはふたりだけの秘密の場所へと向かいます。
暗い地下駐車場で、ぶらつくこと数分。やはり勘違いだったかと諦めかけたその時。
「G-woman」
振り返ると、そこには柱に寄りかかって立つモルの姿がー！
5ヶ月ぶりの再会ですーー（T0T）
スカちゃんはモルの元へと駆け出します。頬笑みを浮かべ、腕を広げるモルの胸の中へ、躊躇いもなく飛び込んでいきます。しっかりと固く抱き合うふたり。王道ですね。映画のワンシーンみたい＊＾＾＊
しっかりと抱き合ったまま、モルが耳元で「愛してる・・・」と囁きます。スカちゃん、驚いてちょっと後ろによろめきます。
「白状できなくて、すまなかった。」
「モルダー・・・」
スカちゃんは感極まって言葉が見つからず。
「僕に会えて嬉しいか、スカリー？」
「もちろんよ。当たり前じゃない。」
「君が覚えているか不安だった。仮に覚えていたとしても、来てくれるかどうか自信がなかった。」
「何一つ忘れてないわ、モルダー。」
「それでも来てくれるなんて、なおさら驚きだよ。」
拍子抜けするくらい元気なモルに、どこか違和感を覚えるスカちゃん。
「・・・どうした？スカリー」
「今まで、どこで何をしていたの？」
その質問にモルは首を振るだけ。
「ここでは言えない。君の知りたいことなら何でも話す。ただ、今はダメだ。」
「危険にさらされているの？」
「誰もがそうだ、スカリー。」
「状況は変わったのよ、モルダー・・・」
「何も変わっちゃいない。僕も、君も奴らに監視されている。」
「ただの妄想よ、モルダー。」
「いいか、君は自分の心が求めるものを信じていればいい。どんな時も自分を曲げない君を、僕は尊敬してきた。とにかく気をつけてくれ。」
モルの考えも、ここ数ヶ月の動向もさっぱり見えてこないスカちゃんは、平和な生活を乱そうとするモルの言葉に耳を傾けきれないところがあります。
「いい加減にして、モルダー。事態は好転しているわ。」
「僕を信じないのか、スカリー？」
悲しいかな、スカちゃんは即答できず（TT）
「時間を無駄にさせて悪かった、スカリー捜査官。」
モルは失望と怒り半分、背を向け歩き去ろうとします。
もうちょっと食い下がってください〜〜（；；）
「フォックス・・・！」
スカちゃんに呼び止められ、足を止めるモル。背を向けたまま動かないモルのそばまで、スカちゃんが近寄ります。
「なぜここへ来たの・・・？」
「理由なら言ったはずだ。」
「私の身が危険だから・・・？」
「違う。だが、それも事実本当だ。」
「それならどうして？教えてよ、フォックス。理由を話して。」
「・・・たまらなく会いたかった。違う結果を願わない日は一日だってない。何も変わらず、今も君と一緒にいられたらと・・・。君とのキスを、腕に抱いた温もりを、思い出さない夜はない。」
「知らなかったわ・・・きっとあなたは忘れただろうって・・・あの夜に意味なんてないと―――」
「僕にはあの夜がすべてだったよ、ダナ。」
スカちゃんは再び言葉を失います。
「ひとつだけ、答えてほしい。もう一度、僕に会いたいと思う気持ちはあるか？」
「もちろんよ。きちんと話し合いたい。」
「必ず。約束する。」
「いつになるの？」
「じきだ。そのうち必ず。・・・僕が嫌いになったか？」
例の子犬顔でもしたんじゃないでしょうか？思わずにっこりと笑ってしまうスカちゃん。
「バカ言わないで、モルダー。」
「知ってるだろ。バカを言わずにいられない性質なんだ。」
そして、スカちゃんは２，３歩後ずさり踵を返し去るモルを見送ったのでした。
モルと再会を果たしたその日の夜。スカちゃんはアパートにブライアンを呼び出し、そのことを打ち明けます。
「・・・それで信じるのか？」
「ええ、信じるわ。」
「君を愛さずにいられるほど、バカな男じゃなかったというわけだ。」
「ごめんなさい、ブライアン・・・モルダーとは二度と会えないと諦めていたの。」
「わかってる・・・君を責めたりはしないよ。」
「モルダーは―」
「彼のことも責めないさ。」
「・・・何を考えているの？」
「君に辛い思いをさせなくて済む言葉を探してる。」
「あなただって私の言葉が辛かったはずよ。正直に話して。」
「・・・ずっと、僕はここにいて、時間を借りていると思ってきた。だが、彼が去って、そんな考えは捨てていいのかもしれないと思い始めていた。でも、今はそれこそが間違いだったとわかっている。」
「あなたを傷つけるつもりはなかったわ、ブライアン・・・」
「わかってる。それなのに・・・僕は君を失いたくないんだ、ダナ。だからといって、君たちを引き裂く真似もできない。君のいるべき場所が彼の隣なら・・・君たちふたりが互いに思い合っているなら・・・一緒になるべきだ。」
「どうすべきか、私にはわからない。」
「すぐに結論を出さなくていいよ・・・僕は君の決断をそのまま受け入れる。僕からは別れられないけれど、君の出した結論は尊重するよ。」
スカちゃん、愛されちゃってますー（；；）
でもごめんね、ブライアン。あなたがいくら素敵でも、スカちゃんはやっぱりモルのものなのーT0T
次の日の夜、スカちゃんが帰宅すると、カウチにモルが寝そべっておりました。その隣では飼い犬（S3なので赤毛のポメラニアン・クイークエグと思われますが、このお話が書かれた時点で名前が判明してなかったのでしょうね。なぜかヤッピとなっておりました（笑）。でも私の中じゃすっかりクイークエグ。なので以下勝手にクイ
ークエグと命名。それで通させていただきます。）が蹲ってます。警戒心のない犬だわ＾＾；飼い主に似てモルのこと好きなのね、きっと。
「鍵をあげたままだったものね。」
そこで目覚めたモル、体を起こして皮肉をひとこと。
「僕のより寝心地が悪いな。」
「それは申し訳なかったわ。」
合鍵をポケットから取り出し、テーブルに返すモル。
「持っていて。」
スカちゃんに言われ、一瞬考えた後、またポケットに戻します。
「どうしてここに？モルダー」
「話したいって言ってただろ？あれはまだ有効か？」
「有効よ。食事はした？」
その台詞に食いついたのは、モルではなくクイークエグで、キッチンに向かうスカちゃんの足元にまとわりつきます。その様子を見て、ふっと微笑むモル。
「・・・僕らに子供が生まれたら、その子は赤毛がいいなとずっと思ってた。」
スカちゃんは何も言わず、黙ってモルを見つめます。
「ごめん。」
「フォックス・・・何かあったの？」
「モルダーの血筋が僕で絶えるのは、悲劇だよ。」
「私と将来子供を持ちたいと思ってくれていたの？」
「ああ・・・君以外に僕の心は奪えないとわかっていたからね。」
本音を漏らした気恥ずかしさか、餌をねだってぴょんぴょんはねるクイークエグに視線を移すモル。
「あの子に餌をやってくれ。」
「何？話を逸らして、気まずいの？」
「いや・・・あんまり腹をすかせているみたいだからね。それに時間も余りない。」
「帰る気だったの？」
モルはいつものようにスカちゃんの顔から髪の毛をはらってやります。（←この仕草大好きですー>▽<）
「お願いだ。引き止めないでくれ。」
「なぜ？」
「Noと言えないから。」
「愛してるわ、フォックス。」
「わかってた・・・だからこそ僕は君から離れた。僕のせいで君に辛い思いはさせたくなかった。」
話題を変えるようにさっと立ち上がるモル。
「・・・何か飲み物をもらえるかな。ビールかワインか・・・なければ何でも。」
「シンクの下に漂白剤ならあるけど。」
モルは笑って冷蔵庫を開けます。
「随分高級なキャンティがあるぞ、スカリー捜査官。買ったのか？」
「ブライアンが夕べ持ってきてくれたの。嫌じゃなければ飲んで。」
「Dr.パーカーはお元気か？」
「変わりないわ。」
「奴が君の面倒を？」
「私は誰の面倒も必要としていないわ。自分のことは自分でできる大人よ。」
「僕が言ったのはそういう意味じゃない。わかってるだろ？」
「ブライアンは素晴らしい人よ。」
モルは何も答えず、黙ってグラスにワインを注ぎます。
「・・・状況はどうなっているの、フォックス？何をしようとしているの？」
「今に事が起こる。政府が内部から覆るんだ。」
「一体何の話？」
「亀裂を用意した。サン・アンドレアス断層級のどでかいひび割れだ。後は組織で揺さぶりをかけるだけで、腐った役人は谷底へ落ちる。」
「組織というのは？」
「The disenfranchised、the disentitled、 the disillusioned（※私の能力不足のため日本語訳できず。）だ。僕らはFBIの地下で味方はたったふたりきりと思ってきたが、この組織は巨大だ、ダナ。」
「何か悪いクスリでもやったの、フォックス？」
「信じようと信じまいと構わない。変革の時がきたら、君を連れにくる。」
「変革ですって？あなた、この数ヶ月間マルクス論にでも傾倒していたの？革命なんて起こらないわ。プロレタリアートによる政府の転覆なんて絵空事よ。」
「わかってないな、ダナ。これは僕らが追っていた事件とは次元の違う重大事変なんだぞ。」
「わかってないのはあなたの方よ。あなたと、あなたの馬鹿げた理論そのものだわ。あなたがやることはみんなそう。事件かどうかなんて問題じゃないわ。あなたは秩序を吹き飛ばすまで満足できないのよ。」
「そして君は僕をズタズタに引き裂くまで満足しない。」
ちょっとここでふたりの言い争いはスパークリングやゲームの粋をはみだしてしまった模様です。
「そういうつもりじゃ・・・」
「忘れてくれ。 もう行かないと―――」
「なぜ私から逃げ続けるの？」
「逃げてなんかいない。」
「よく言うわ。だったらここに残って、私と一緒に戦って。」
「力がないと勝てない試合だ。その力は奴らにすべて奪われた。何より君が、ここで僕を必要としていない。」
「私にはあなたが必要に決まってるわ、フォックス。」
「局ではスキナーが助けてくれる・・・そしてプライベートではパーカーが・・・」
「たった一人必要だったあなたがいないからよ。」
「・・・罪滅ぼしに何をすればいい？」
「ここにいて。」
「引き止めないでと頼んだろ。」
「そんな命令きかないわ。」
「・・・長く留まれば、それだけ君の危険が増す。」
「あと30分でいいの。」
「長すぎる。」
「15分なら・・・？」
「ダナ、聞き分けてくれ・・・」
「帰らないで・・・」
愛するスカちゃんにこんな風にねだられて振り切れるわけもなく、モルは覚悟を決めます。というか素直に自分に折れます。
「わかった。でもまずは、あのかわいそうな犬に餌をあげてくれ。」
一夜明けてXF課の地下オフィスでは、スカちゃんがレポートを仕上げながら、先ほどのスキさまとのミーティングで帰り際言われた言葉―――今に事が起きる、スカリー捜査官―――に頭をめぐらせておりました。モルと同じ台詞だったのが気に掛かるようです。
そこへブライアンから電話が入ります。
「夕べはどうかしたの？」
そう、スカちゃんはモルが部屋に来たことで、ブライアンとの約束をすーっかり忘れてしまっていたのでした。
「ごめんなさい、ブライアン。うっかり忘れて・・・」
「・・・それが答えと受け止めるべきなのかな？」
「・・・話があるの。」
「そうだね。何となく予感があったから、幾分楽に聞けそうだ。」
「ごめんなさい・・・」
「僕も残念だよ。でも、自分で頼んだことだから仕方ないさ。」
「今夜、会える？」
「夜勤があるけど、病院に来てくれるなら時間は空けられる。」
「行くわ。」
「じゃあ、今夜。」
さて、いよいよブライアンに別れを告げる夜がやってきます。場所は病院の屋上でした。
「できるなら、こんな風になりたくなかったわ・・・」
「時にはそういう運命もある。」
「怒ってもいいのよ、ブライアン。私をかばうことはないわ。」
「怒ってはいないよ。ひどく落ち込んでいるだけだ。僕は持てるすべてを君に捧げたけれど、それでも十分じゃなかった。決して埋められない何かがあったんだ。」
「そうじゃない・・・私はできる範囲で精一杯あなたを愛したわ。でもその愛情こそが足りなかったの。あなたに全てを捧げられなかった。」
「モルダーが妬ましいよ。彼は君の半身なんだね・・・プラトンが説く愛の美徳みたいに。アリストファネスはこう言ってる。人は皆、自らを完全にすべく運命付けられた半身を捜し求め彷徨う―――」
「あなたの半身もきっと見つかるわ、ブライアン。その運命に生まれた女性は幸せ者よ。」
「そうかな。」
「自信を持って。」
「瑕物でも？」
「傷のない人なんていないわ。だからこそ、忘れさせてくれる誰かが必要なのよ。」
「モルダーは―」
「彼も同じ。」
「慰めてくれなくていいんだよ。」
「本当のことだもの。」
「なら、君がいて彼は幸せ者だ。」
「確かに。」
穏やかに微笑みあうスカちゃんとブライアン。
「・・・君と過ごせた時間を誇りに思うよ。君のような女性が、僕と一緒にいてくれて、光栄に思ってる。」
「ありがとう、ブライアン。でも、知っての通り私も瑕物よ。」
「君に瑕なんて、僕には見えない。」
別れを惜しむふたりを急かすように、ブライアンにポケベルで呼び出しが掛かります。
「・・・後悔はしないよ、ダナ。」
「元気で、ブライアン。」
「君も・・・。」
そしてブライアンは病院内に戻っていきます。しばらく放心したように星を眺めるスカちゃん。徐に携帯電話を取り出し、モルの番号を押します。
「もしもし。」
「モルダー、私よ。」
「Oooh、鳥肌が立った。」
「愛してるわ。」
「知ってる。何も問題ないか？」
「ええ。ただ無性にあなたの声が聞きたくなったの。」
「君の声を聞かせてもらえるなら、いつでも大歓迎だけどね。他にご要望は？」
「昨日の話は戯言じゃないって言って。」
「昨日の話？」
「言えないの？」
「いいや・・・戯言なんて何一つない。ただ、質問が具体的にどの部分を指すのか、迷っただけだ。」
「気持ちはわかるわ、フォックス。」
「君を愛してる。それは信じるね。」
「1ミリの疑いもなく。」
「それなら何を確かめたい？」
「スキナーが言ったわ。事が起きるって・・・あなたの言った変革と関係があるんじゃない？」
「そうだ。スキナーの口からそれが出たということは、時は近い。」
「信じなくてごめんなさい。」
「慣れてるよ。僕自身を信頼した上で、言動を疑ってくれるのは気にしない。」
それから2ヵ月の時が経ち・・・。
場所はFBI副長官室。そこにデスクを構えているのは・・・。
「何か用かい？スカリー捜査官。」
「ここまで来て、キスして。」
「それは規則違反だと思うけどね。それに敬称を忘れているぞ。」
なんと！モルダーさん、副長官となってFBIに返り咲きです。何があったか知りませんが、陰謀は晴れて壊滅できたらしい。
↑の台詞はもちろん建前で、言われるままにスカちゃんにキスするモルなんですけども（笑）
「そのうちね。・・・それにしても、あなたが副長官に就任するなんて、未だに信じられないわ。」
私も信じられませんー（TT）
「スキナーは僕に罰を与えてるんだ。」
私もそう思いますー（笑）
「スキナー自身、長官職を楽しんでいるとは思えないものね。」
「タイラーの調子はどうだ？」
タイラーというのは、スカちゃんの相棒ですー。新人女性捜査官。
「上々よ。彼女はいい捜査官になれると思うわ。」
「君と同じタイプだから？」
「優秀だからよ。」
「ま、女であることがせめてもの救いかな。」
「当然目をつけていたわけ。」
「そういう意味じゃない。他の男と長すぎる時間、一緒にいて欲しくないだけだ。この先、君を独占していい男は僕だけだ。」
モルが掲げたスカちゃんの左手の薬指には、ハートにカッティングされたダイヤのリングが輝いております＊＾＾＊
そしてモルの左手にも、同じゴールドのシンプルなリングが。
「ラストネームを変えないでくれて嬉しいよ。君をモルダー捜査官って呼ぶのは、何だか妙な気分だからね。」
「さすがのあなたにも、奇妙に思えることがあるのね。」
「ここ数週間は、僕の人生においてもっとも奇妙で、最高の数週間だったよ。奴らが然るべき処罰を受け、FBIの副長官として復職を果たし、XFは優秀な捜査官の手により軌道に乗っていることを確かめ・・・その最高の捜査官の手を、結婚式で握った。」
結婚式でのモルのタキシード姿はそりゃー素敵で、スカちゃんは指輪をはめられるまで現実と思えなかったらしいです。
「あなたが戻ってくれたことを神に感謝するわ、フォックス。」
「戻れるものなら、すぐに戻るつもりでいた。特に君の気持ちを知ってしまってからは・・・永遠に去るなんて不可能だと自覚した。」
「さあ、帰りましょう。」
「途中、刑務所の肺がん男のところに寄っていくか？」
「嫌よ。」
モルってば、自分の幸せな姿を見せつけたくって仕方ないらしいです＾＾；
「何か他にいい案でも？」
「ええ、あるわよ。」
「僕も載せてもらえる？」
「あなた抜きじゃおもしろくも何ともないわ。」
「嬉しいことを言ってくれるね。」
モルの腕がスカちゃんの背を抱き、二人が部屋を出たあと、副長官室の扉は閉められ、夫婦は仲良く帰宅の途につきます。
こうしてふたりは新たな人生をエンジョイしているらしいです。
☆ HISAYOの感想 ☆
JNKさん、大満足なご紹介レポートをありがとうございました。
もうね、本編ではなんだかんだとスカちゃんが嫉妬させられる事ばかりだったでしょう〜？なんかモルには元のなんちゃらっていうのが出てきたり、他の女性と何となく（なんとなくですよっ。あくまでも）親密っぽいような雰囲気なのかしら？と思わせられたりね。
ま、もちろんその代表格はにっくきオババであることは間違いないわけですけども、このお話のタイムラインはＳ３って事でね♪
まぁねぇ〜、スカちゃんとブライアンの出会いは分からないでもないですよね。というかこういう出会いはスカちゃんにゴロゴロ転がっていたと思うのです。そのほんの一面を見せてもらっているって感じですね。
ハンサムでお金持ちで優しくて・・・そして同職のお医者様。しかも傲り高ぶることがなく、繊細だけど心強い面もたっぷりもっていて・・・。理想ですねー。理想。そしてそういう理想的な男性がスカちゃんにごく自然に惹かれるにもこれまたごく自然の成り行きなのね。
モルがもたもたしているからこういう事になるわけっっ！
スカちゃんがブライアンを愛していなくても、そういう男性と一緒にいて満たされた想いを持つっていうのもこれまた自然。当然。当たり前。
それにしてもモル。かなーり嫉妬しておりますね。
なのにも係わらず「君には幸せになってほしい・・・。」とかねっ！私はこういうねっ！こういうモルの態度がすでにムカッと来るわけですよっっ！
それでいいわけ？スカちゃんが他の男と幸せになっていいわけっっ！？自分は相応しくないって思って引いちゃう事が男として立派な態度だと思っているのっっ！
そーじゃないでしょっっ！＼(><＠)／
好きだったら何でもかんでも自分の手で掴んでおかなくちゃだめでしょーーーー！
そしてそんなことを言っておきながらも「君を他の男と分け合うのは、気に入らない」といって夜中の３時にキスですか。
モルが夜中の３時にキスですよっっ！スカちゃん、よくぞキスだけで終わりになりました。普通、無理でしょう〜。モルとスカちゃんですよ。モルとスカちゃんが夜中の３時にキスですよ？
その辺がＳ３っていうタイムラインなのかしらー！！？？（と自分をどうにか納得させようとしている私）
そしてその後のモルスカの展開も素晴らしくいいじゃないですかー！←結局モルにあれだけ文句を言っていても喜んじゃう私って・・・・。。
でもねー！なんかもうモルが世の中の誰よりもかっこいいと思って目がハートになっている私がいるのですけどもぉ〜(^o^*)「ちょっぴり傲慢で自信過剰なモルが好き。」このＪＮＫさんのお言葉そのまま乗っからせて頂きたいと思います。
まさに私もそういうモルがすきー！なのでこのモルはかなーり良い感じですぅ〜〜〜。
でもね、忘れちゃっていたんですけど、そんなスカちゃんには彼氏もどきがね(^^;
ま、すぱっと手を切ればいいのです、すぱっと。
だけどモルがイマイチはっきりすっきりしないですよねぇ〜。
なんか行動が中途半端。気持ちははっきり（とはいかないかな？）伝えているものの、強硬な手段に打って出てこないって感じでね。
分かってくれるだろうではダメなときもあるわけよ。互いにまだ若いわけだからさっっ！
そしてそんなスカちゃんが「愛情は感じる。女として求められている部分も否定はしない。でも、それは私を愛しているからなの？それとも、ブライアンに取られるのが嫌なだけなんじゃ・・・」と悩んでいるのは至極ごもっとも！
ほんと、ＪＮＫさんのおっしゃるとおりっっ！モルがはっきりきっぱりしないからいけないんですーーー。女の子は悩むもので、男はその辺、バシっと決めて欲しいわけっっ！頼むよぉ〜モルぅー！
あと３押しくらい足りないわけなんだよねー(>_<)
それでもって出張先でも一触即発でね！しかし本当に一触しないで即発しないじゃってどうするって話なわけなのよっっ！モルーーーー(>o<")
「不安なだけなんでしょう？あなたを差し置いて、私の人生における上位を占める男の存在が許せないだけなのよ。」
「その通りだ。僕は君を分けてやるつもりはさらさらない。」
「そう・・・でも、私はあなたの思い通りになる女じゃないのよ。私のプライベートに関わらないで。」
「手遅れだ。」
「なぜよ。どうして放っておいてくれないの？」
「放っておけない。君だってそれを望んでない。」
「あなたは私の望みなんてこれっぽっちもわかってない。」
「言葉でごまかしても、事実は変わらない。」
こういう会話が後々できるくせにどうしてその時にガバチョといかないっっ！
既成事実って大事だったりするのよぉ〜(ﾉ_･､)シクシク←泣くまで？
しかしそこからまた怒濤の展開がね・・・
ホント深いです。この辺でモルの嫉妬が爆発して君は僕のものだー！となってスカちゃんも当然その愛を受け入れてという感じにはいかないわけですね〜。
ＸＦの閉鎖というとんでもない事態が二人の間に引かれている線を取り払ったとなってもねぇ〜(T.T)
それでもねぇ。薔薇２本と共に消えてしまうのはモルもフェアじゃないけどさー。なんかやりそうだし、いっそやって欲しい行動だったりするし。そして、スカちゃんも血なまこになって探すことの無意味さを知っている辺り。
なんかめちゃめちゃモルスカっぽいような気がしちゃうんですけど〜(TOT)
いえ！だからと言ってこのままのエンディングは爪の先ほども望んでおりませんけどねっっ！
んでもってブライアン。あなたはめちゃめちゃ素敵でいい人だけどさー。なんかもう悪いんだけどこの辺でさー、引っ込んで頂けますか〜？
いつまでもいつまでもモルに心を捧げっぱなしのスカちゃんと一緒にいてもしょうがないでしょう。その時は良くてもいつかは限界来るでしょう。
でもスカちゃんは優しいし、女性で脆い面もあるはずだからなかなかすっぱりとはいかない分けよ。
と言うことでこの辺でどこか遠くに転勤でもしてみるのはいかがかしら〜？？（すでに邪魔者扱いな上にスカちゃんに罪はない）
だからいつまでたってもスカちゃんがあなたを捨てられなくなっちゃうわけねぇ。愛情という名前で“情”という言葉を包み込んで知らない振りをしてはだめ。時間による情に訴えてはダメ。スカちゃんには運命という名の愛で結ばれた人がいるんだから、その辺理解して身をさっさと（ここ重要）引いてちょうだいね。
ねー。スカちゃんからはなかなか難しいことでしょう〜？（もちろんここでモルが同じような事をしたら即刻後ろからスリッパどころじゃすみません）
でもねー！やっぱり現れてくれるモルなわけですよねぇ〜(*>o<*)
なんかこういう状況だし、なんとなく緊迫しているような感じだし、重苦しいイメージはぬぐい去れないハズなんですけどやっぱりこういうドラマチックなモルスカの再会は一気にうっとりモードに入ってしまうじゃないですかぁ〜。
そして愛しているという言葉の後の「白状できなくて、すまなかった。」がこれまたいいじゃないですかっっ！白状ですよっ！白状っ！告白とか打ち明けるとかじゃなくて白状っていうのがモルっぽいですよねぇ〜。さすがＪＮＫさんの翻訳だと思いますっっ(>_<)
でもねー。どうしてここでモルは帰っちゃうかな〜？？
どこ行っちゃうかなぁ〜？？
とりあえずスカちゃんはそろそろ本気でブライアンと別れておきましょーねー。
だって合い鍵をすでに渡してある男性がいるのに、他の人とっていうのはさすがにね。しかもブライアンに合い鍵を渡しているはずもないのでモルだけなわけでしょう〜。
ね、ね。気持ちは分かるけどそろそろだと思うわ、スカちゃーーーん。
クィークエッグだってモルの方が断然好きだと言っているものーーー(>o<)
しかもスカちゃん、モルが現れるとあっさりブライアン忘れちゃうものー！竹下景子が現れた時の草太にいちゃん状態だものー！（ってマイナー過ぎですか？）
そして帰らないでと言われて帰れるモルじゃないのは当然ですけども、お泊まりしちゃったわけですか♪お泊まりっ♪
一晩中チェスやっていたなんて話は信じられないですからぁ〜。あり得ないですからぁ〜(*^O^*)
ということで、スカちゃんもとうとうブライアンとお別れをねぇ〜。モルじゃなかったらねっ。モルじゃなかったらスカちゃんブライアンでいいと思いますわ。
ブライアンいい人だものぉ〜。そのいい人もいい人で終わってしまういい人ではないものぉ〜。魅力ある男性だものー！正統派好きの私だったらブライアンだわぁ〜。でもスカちゃんはモルなのぉー。どうしたってモルなのー！だからブライアン諦めてねー！おつとめご苦労様でした♪
ポケベルなっているみたいだから、患者さんたすけてきてね。お仕事がんばってねー(^▽^)/←笑顔でお見送り。
ということで、今回のお話の発端となった嫉妬するモルを見たい。
「苦しめモルっ！」をテーマでわいわい話していたのをきっかけにＪＮＫさんにご紹介して頂くこととなったこのお話。
メインである（そうなの？）ブライアンは去ったわけなのでここからは一気にモルスカロマンスにねー♪
この後のモルスカの電話もいいじゃないですか〜。「愛している」っていう言葉を素直に口にだし、ストレートにそれを受け取る二人。
見てみたいシーンでございますよね〜。
しかもモルの「僕自身を信頼した上で、言動を疑ってくれるのは気にしない」という言葉もうっとりです〜。いかにもモルが言いそうでしょう〜(*^O^*)
そして最後はモルが副長官にねー♪
あの部屋にモルがねー。クリントン大統領の写真とか飾ってあるのかしら〜？星条旗とか〜？？
なんかそれもそれで似つかわくないのにもほどがあるので、ある意味いいかって納得出来ちゃう感じが（笑）
とりあえず長官になったスキナーは当然タコカーシュの事は左遷していますよねっっ♪♪♪
夫婦となっているというのもめでたしめでたしでお話を締めくくるに相応しい(*^O^*)
ＪＮＫさん、「苦しめモル」を合い言葉に二人でとーっても盛り上がったものの、やっぱり私たちはスカちゃんにはモル。モルには当然スカちゃんという大鉄則から脱線することは不可能なんだなぁ〜という事を実感できました！
ありがとうございました〜(*^O^*)
