☆ 内容を簡単にご紹介 ☆
さて後半です！
前半から続き、スカちゃんが検査入院をする間、スキさまがCSMの手先となって働いたエピ「ゼロサム」があり、「哀歌」と続きます。
「ゼロサム」のラスト続きのシーンも地味にいいんですよねー（；；）
夜11時過ぎ、入院中であるにもかかわらず、ベッドを抜け出し中庭のベンチでタバコをふかすスカちゃんのところにモルが現れ、いろいろお話をするんですけど、それがまた・・・非常にモルスカで。
従来の治療法では万策尽きたスカちゃんが、医師からターミナルケアを進言され、今後の生き方をあれこれ思い巡らせている場面です。
スカちゃんは考えに没頭しすぎて、モルの足音さえ気付かず。
「こんなところで何をやってる？」
スカちゃんは突然タバコを持っている方の腕をぐいっと捕まれます。過保護モル、静かに怒り心頭です。
「・・・来たのね。」
「あちこち捜したんだぞ。」
「お疲れ様。」
スカちゃんは腕を外そうと試みますが、そうはいかず。
「・・・今夜は戻らないと思っていたわ。」
その一言でなぜかモルは唐突に腕を離します。
「スキナーと一緒にちょっとした面倒を抱えて・・・思ったより時間がかかってしまった。」
「何があったの？もう片付いた？」
「ああ。上々だ。」
「モルダー・・・」
「検査結果は出たのか？」
「ええ・・・貰ったわ。」
タバコをふかし、顔を背け、煙を吐き出すスカちゃん。
「それで？」
「上々よ。」
微かに微笑み嘘をつくスカちゃん。スカちゃんは全身全霊で嘘をつくのです。心の中では、「いつか言う。でも今夜はいえない・・・」って〜〜（TT）
「・・・そのささやかな悪癖を覚えたのは最近か？」
タバコを顎指し、モルが聞きます。
「と言うよりは、大昔にね。」
「若気の至りってやつだな―――時には小さな反抗も必要だ。」
モルはスカちゃんのタバコに手を伸ばし、スカちゃんも黙って譲ります。この辺り、大人な恋人ムードが満点です。
「あなたも素人じゃないわね。」
深々とタバコを吸い込んだモルに向かってスカちゃんが一言。
「自分で認めたくないくらい、経験豊富だ。」
モルも笑って茶化します。
「それで、今夜は何に対する反抗なのかしら、モルダー捜査官。」
「第3のドアだ。犠牲でもなければ、賞品でもない。それでも、そこしか通れないとしたら・・・」
「どういうこと？」
「・・・忘れてくれ。」
モルとスカちゃんはかわりばんこに一本のタバコを吸います。渡すとき微かに触れ合う指先の緊張感がたまりませんー><
「スキナーが君に愛を。」
スカちゃん、ジョークと思って笑っちゃいます。
「スキナーがそう言ったの？」
「言葉ではっきり表したわけじゃない。」
「いやね。」
「だが、真実だ。」
「何が？」
「スキナーは君を愛してる。」
「あなたの思い違いよ。」
「いいや・・・僕自身、今夜初めて知ったことだが、でも事実には変わりない。」
「スキナーから何か言われたの、モルダー？・・・それとも、あなたが何か言ったの？」
「違う。そういうことじゃないんだ。」
「さっぱりわからないわ。」
「第3のドアだよ。スキナーは恐れず、そこを通り抜けた・・・」
スカちゃんを救うため、ひとり手を汚したスキさまの献身的な愛を目の当たりにしたモルの心には嫉妬と同時に、尊敬の念が渦巻き、さぞや複雑だったのだろうと思われ、そんな裏があるのなら、あのつまらないゼロサムを楽しく鑑賞できるかもしれない・・・と密かに思ってしまいました＾＾；
「ここは冷える・・・戻ろう。」
スカちゃんの手を引き、ベンチから起こしてやるモル。
「話が見えないわ、モルダー。第3のドアだなんて・・・その奥には何があるの？」
「―――おそらく何も・・・だが、全てがあるかもしれない。」
私、スキさまがスカちゃんを密かに愛していたというのは反対派なんですけど、それでもこのお話に限ってはOKでした。
それは、モルの複雑な心境が透けてみえるようだからかもしれません。
しかし、特筆すべきはやはり「哀歌」の補足でしょう。
あのラストシーン後、ひとり家に帰ったスカちゃんを待っていたのは、もちろんモルで。暗闇の中椅子に座りひどく沈んだ様子です。電気をつけてスカちゃんはびっくり。
「モルダー、ここで何をしてるの？」
「・・・よくなってなんかないんだろ。」
「・・・そうよ。」
「もう手の施しようがないのか？」
「いくつか臨床実験的な治療があって、受けられるかもしれないの。Drアルトンが、私にあったものを探してくれているわ。」
「そうか―――」
そこでスカちゃんはモルの手が血だらけのタオルに包まれていることに初めて気が付きます。
「モルダー、その手・・・一体どうしたの？」
指摘され、ぼんやりと自分の手を見つめ、他人事のように呟くモル。
「・・・新しいフロントガラスが要るな。」
「モルダー・・・」
私もここ、スカちゃんと一緒に泣きそうになっちゃいまいした（；；）車のフロントガラスが砕けるくらい強く殴ったんでしょう？自分の無力さや運命の過酷を呪って。
「バスルームに行きましょう。手当てをしてあげるわ。」
シンクで傷口をきれいにしてもらいながら、モルが呟きます。
「時々は間違いだってあっただろ・・・僕の説―――」
「そう？ 1つ具体例を挙げてみて。」
「・・・そう言われるとすぐに出てこないな。でも必ずリストを作って君に渡すよ。」
「そうしてちょうだい。」
ハロルドに死者がみえたのは、死期が近いから。この説が間違いであったらいいと、切に願っている二人なんですね（；；）
「こんな真似して賢明とはいえないわ、モルダー。運が悪ければもっと重傷を負っていたかもしれないのよ。」
「ああ。気分が晴れるかと思ったんだ。」
「それで？気分は晴れたの？」
「いいや。・・・ほらな？僕の説に間違いがあった一つの実例だ。」
「これに懲りて、自分を傷つける真似はもうしないことね。」
「・・・スカリー、あの説は絶対に外れることを願ってる。」
「ええ。」
そして固く抱き合うふたりが悲しくも美しかったです〜〜TT
本編でもここまでラストひっぱってほしかった！
それから転移を告げられぬまま、エピソードが「フラッシュバック」、「ゲッセマネ」へと移っていき、いよいよ「帰還I」です〜。（このFic本当に長いんですよ〜。全部で228Pあります。NEに次ぐ長さでしょうか？）
ここもHISAYOさんの興味にお答えすべく訳してみたいと思います。
そして一気に帰還IIまで突き進み、ラストはガン細胞が消えた奇跡の喜びをモルスカがふたりで分かち合う病院の寝室シーンで終幕です。
私はこのＦｉｃを読んで、いままで知らなかったＳ４の真実を教えていただいたようなそんな気持ちにさせていただきました〜＾＾
(2004/08/06追記）
JNKさんよりＢＢＳでリクエストのあった帰還IIの「ガン細胞が消えた奇跡の喜びをモルスカがふたりで分かち合う病院の寝室シーン」の翻訳部分を送って頂きました♪お楽しみくださいませ〜(^▽^)/
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気持ちの高揚と、体力の消耗を戦わせるうちに、疲労が優勢となってきた。瞼は数秒ごとに落ちかけ、スカリーはその都度はっと我に返り、慌てて目覚めるを繰り返した。見かねた母が、背を撫でて囁く。
「少し休みなさい。彼が来たら、必ず起こしてあげるから。」
「ん・・・いいの。平気よ。」
母親は娘を甘やかす笑顔を向けた。
「そう、わかったわ。」
満足して再び目を閉じると、スカリーはこの知らせを告げる時のモルダーの顔を思い描いた。たった4時間前に知らされたばかりのニュース―――腫瘍が消えてなくなったのだ。
スカリーは心の中で繰り返し台詞の練習をした。繰り返すたびに、少しずつ、その事実が真実味を帯びてくる。
母親が再び彼女に触れた。今度は愛情のこもった指先で、髪の束をなぞる。スカリーは鬱陶しそうに、その手を払いのけた。
「大丈夫だったら―」
「そのようだね。」
深い声がして、スカリーは両目をこじ開けた。はじめぼやけて見えたモルダーの顔が、やがて焦点が合う。スカリーの顔に、ゆっくりと満面の笑みが広がった。
「Hi。」
モルダーはベッドに腰掛け、彼女の顔にかかる最後の一束をぴっと払いのけた。
「Hi。君のママに起こしてやってくれと言われたんだ。調子はどうだ？」
まだ眠気が残るのか、スカリーはあくびをすると、彼に触れられるまま、小さく蹲った。
「いいわ。とてもいい気分。」
モルダーの声が優しく、そっと漂う。
「よかった。」
「そうじゃなく、本当に具合がいいの。」
スカリーは彼を正面から見据えた。彼女の髪に差し入れられていたモルダーの手が止まる。スカリーはその手を取って、口元に寄せると、拳の関節にひとつずつキスをしていった。
「快方に向かっているのよ、モルダー。腫瘍がなくなったの。血液にあった癌細胞はひとつ残らず消えてしまったわ。」
モルダーの腕には緊張が漲り、開いた口からは言葉ひとつ出てこない。スカリーは有頂天になって、モルダーの手をしっかり握ったまま、ベッドの上に寝転んだ。
「本当なのよ！」
「スカリー、素晴らしいよ。嘘みたいだ・・・」
モルダーの上体が傾き、ぎこちない抱擁で彼女を下に押し込めた。手足を絡ませてきたスカリーの首筋に顔を埋めて、モルダーは笑った。声がくぐもっている。スカリーは喜びを伝えるように、一層きつく抱いた。モルダーは薄いガウン越しに脇を撫でながら、ベッドの上で彼女をそっと揺すった。
「スカリー・・・」
その言葉ひとつが、彼女の心を打ち震わせた。涙で目がくもる。鼻をすすり、スカリーは今以上にモルダーの懐に潜って、彼の肩から質のいい髪に両手を滑らせた。
「愛してるわ。」
彼女はもうひとつの、秘密ではない喜びを囁いた。
モルダーが彼女の首筋を啄む。
「同じ言葉をそっくり返すよ。」
少し身を引くと、両肘で体を支えながら、彼はスカリーを見下ろした。彼女は顔に皺を寄せてとっておきの笑顔を作り、ネクタイを弄び始めた。
「・・・それで、審問会はどうだったの？」
わずかに真面目な顔に戻って、スカリーが訊ねる。
モルダーの指先は他にすることもなく、スカリーの耳の形をなぞった。
「終わったよ。裏切り者はブレヴィンスだ。」
「私を担いでる？」
「冗談だったら、どんなにいいか知れない。身内の恥をさらす裁判は免れたのが救いだったな・・・ブレヴィンスは今日の午後自殺した。」
スカリーは信じられないといった風情でかぶりを振った。
「モルダー、あなたの処遇は？」
「お咎めなしだ。ブレヴィンスは書類送検、オステルホフの死は、正当防衛で処理される。」
スカリーの緊張が解けた。
「それじゃあ、私たち晴れて自由の身になって家に帰れるのね。」
「その通りだ。」
モルダーは彼女の鼻先にキスをして、それから、唇により時間をかけて留まった。スカリーはため息をこぼし、人間毛布としてもう少し具合のよい位置まで、モルダーにずれてもらった。自分の胸を枕にした彼の頭皮に、スカリーは指を這わせた。モルダーはスカリー以上に疲れ果てていた。
「・・・ところで、癌が消えた原因は何なんだ？」
質問と一緒に、モルダーの息が彼女の肌をくすぐった。
スカリーは頭皮のマッサージを続けた。
「それは誰にもわからない。事実、Drザッカーマンが奇跡という単語を使ったわ。」
モルダーは頭の向きを変え、スカリーの瞳をまっすぐ見つめた。
「君はどう思う？」
スカリーはよくよく考えた。
「・・・信じたからよ。」
「神を？」
「神を。 正義を。」
スカリーの手が、モルダーの頬に触れた。
「―――そしてあなたを。」
モルダーは頭を落とし、スカリーの鎖骨に鼻を摺り寄せた。
「肝心な君自身を挙げ忘れてる。」
「そうね。自分のこともだわ。」
スカリーは再び彼を抱き、モルダーはため息と共に、彼女の腕の中で体の力を抜いた。長い間、静けさの中で一緒に横たわる彼らの呼吸までが同調していた。
「もちろん僕らは、本当は誰の仕業か知っているけど。」
モルダーが微動だにせず呟く。
「そうなの？」
「そうさ。」
頭を上げたモルダーの視線の先を追うと、窓際の棚に着く。そこに置かれた瓶の中から、魔法のピクルスがふたりを見つめ返していた。
「モルダー、バカね。」
「おいおい、君が教えた話だぞ。」
☆ HISAYOの感想 ☆
前半のモルスカの美しい初めてに酔いしれてばかりもいられないのですね〜。
やっぱり現実ってものは目の前に突きつけられるわけで・・・もちろん本人であるスカちゃんも辛いのは当然ですけども、残されていくかもしれない恐怖に包まれているモルもすごくすごく辛いわけで(T.T)
だけどそこでお互いの感情をぶつけ合うわけではなく、自分の感情と互いの感情を優先しあい、モルスカならではの会話を繰り広げるその様子がたまりませんっっ。
なんかねぇ・・・そのシーンに現れるタバコっていうその小道具がね。これまたモルスカとはかけ離れているからこそなのか、よりいっそう現実の時間と時間の隙間にうまれた空間での出来事みたいな気がしてね。
いえ・・辛いほどの現実なのはよーくわかっているのですけどねぇ。
深い深い愛でつながっている二人だけど、決して愛だけで生きていこうとはしていないそのプロフェッショナルな姿勢にまたも強く惹かれちゃうわけですっっ(TOT) ←更に感涙
・・・と、とこでですね（場違いな質問にちょっとドキドキ）スキナーってスカちゃんのこと好きだったのですか？これってこのお話の中だけのこと？それともゼロサムというエピでスキナーなんかそんな事言っているのですか？？('◇')?
あ、あれ？でも違うかな？ＪＮＫさんは裏でと密かにっていうのは反対派って言っておりますものね。
す、すみませーーーーん(>_<) 私、ゼロサムがどんなお話なのかさっぱりもって覚えていません。
このお話の流れにでてくるのだからＳ４かなー位にしか思えていませんーーー。
み、みます！ゼロサムっっ！（・・・いつの日か）
そして哀歌ねっ！哀歌！哀歌はわかりますともー(^O^)/ゼロサムの様にぼんやりと空を見つめるような目にはなりませんともーー！
哀歌はいいですよねぇ〜。全てがいいです。お話自体はお化け出てきちゃうし怖いって言えば怖いんですけどね、そんなこたぁーどうでもいいわけでねっ！
冒頭のボーリング場での二人の距離なんかも最高でしょう〜。スカちゃんの髪がふんわりしていてモルの顔にかかっているようなそんなねっ(*>o<*)・・・と話が逸れました。
そう言うことではなくて、あの廊下（階段）のシーンの後にね〜。
スカちゃんが病院に行った後でね〜(*^O^*)
こんな展開があったわけですねっ。
フロントガラスにを殴ってねぇ〜(TOT)こういう自暴自棄なモルだったら私はいいんですー。自暴自棄モルイマイチ好きじゃないですけども、スカちゃん絡んでいればこれまたねー、まったく違う楽しみ方ができるってなもんでね。
ま、そんな自暴自棄モルを一通り楽しんだ後はやっぱりそのお話の重さですよね(T.T)
スカちゃん、病院では良いこと言われなかったのですよね〜。知っていますけどもこうして改めて見てみると辛いんですよね。
スカちゃんも辛いしモルも苦しい。そんな二人を見ている私もやっぱり悲しいわけで・・・。
自分の説が間違って欲しいと願うモル。しかしモルの説がどれほどまでに正しかったか誰よりも知っているスカちゃん。
そんな二人の葛藤がねぇ〜(T-T) やっぱり涙は絶対に誘われちゃう訳で・・・。
今となっては奇跡を信じるしかないのかもしれない二人ですけども、それでも互いをどれだけ必要としているか分かり合っているだけに辛いですよね〜。
大丈夫よー！スカちゃん良くなるからー(>o<")元気になるからー！赤ちゃんも生まれるからーーーー！
もう余計なお世話ですけどもここに入り込んでいってそう叫んできたいです〜(T-T)
そしてね・・・
これまた素敵な「あ」のシーンがねぇ〜(^^*)
状況は緊迫しているしあのスカちゃんの報告の前なのかと思うと更に臨場感溢れるって感じはするのですけどもでもねぇ〜♪
やっぱり美しくドラマチックですよねー！
熱を帯びているようなじんわりとした空気のスカちゃんのアパートが目の前に現れてくるようですよね。
Reduxのあの時、モルダーの死体を確認したというスカリーのあの前に、こういう計画をたてた二人だったんだな〜とねぇ・・。全てをしっかり見返したいと思っちゃいます。
ほんと、このお話は深くてリアルでね〜。１つのエピをスポイラーにしていうのではないので、モルスカの歴史を垣間見せてもらったような気がします。エピとエピとの間にこんなモルスカがいたんだなぁ〜って。本当にそう思えるお話でした。
ＪＮＫさん、詳細なまるで実際にこのＦＩＣを読ませて頂いたようなレポートをありがとうございましたヽ(^◇^*)/
めちゃめちゃ堪能させていただきました♪
