☆ 内容を簡単にご紹介 ☆
今回は珍しく政府陰謀系Ficを読んでみちゃいました。
なぜかというと、Lesser EvilsですっかりファンになったHannah Masonさんの作だからなんですね〜。
タイトルはNecessary Evils―――とは言ってもLesser Evilsの続編ではありません。
One Sonのポストエピで、いままでのミソロジーをHannahさん独自のXF観で見せてくださいます。
手に汗握るストーリー展開に加え、苦しいくらい切ないモルスカロマンスが私の心をまたまたぐぐっと掴んでくれちゃいました。
ふたりのロマンスは本当に試練の連続なんです。ふたりは恋人になって間もないのですが、陰謀に巻き込まれ、別れを選ばざるをえなかったスカちゃんの葛藤とか、それを受け入れるまでのモルの苦悩とか（；；）
記憶を失ったスカちゃんと再開してからなんて、モルがかわいそうでかわいそうで、まじで泣けてきました。
スカちゃんが記憶を失ったのは、首のチップを除去したからで、モルとの6年間が記憶から消えてしまっているのです（；；）
肺がん男の差し金により首のチップを切除したスカちゃんは、交通事故の工作をされて病院で目覚めるんですね。
それで6年間の記憶がすっかりなくなっているのをこれ幸いとビル兄がスカママを言い包めて、
「おまえは6年間FBIで働き、モルダーという男とパートナーを組んでいたが、彼が殉職したのをきっかけにFBIを辞めた」
とスカちゃんに嘘をつくの！日記も写真も隠しちゃう！そんなんだからスカちゃんに嫌われるのよ〜、ビル兄いい＞＜
それとちょうど時期を同じくして、モルママが亡くなって、いたたまれなくなったモルはスカちゃんに一目会いたいと、現在の勤め先である病院に押しかけて行っちゃうんですが、ここでスカちゃんが記憶をなくしていることを知るのです。
あなた誰？私会ったことあるの？みたいなスカちゃんに、「僕だ、モルダーだ」何言ってるんだ？と言う顔をするモル。
スカちゃんといえば、ビル兄とスカママが嘘つくはずないと「モルダーは死んだのよ？家族にそう聞かされたわ！」と混乱の極み。
その胸の内を察するだけで、涙が出そう（；；）
でもさすがはモルスカ、警備にひっぱっていかれそうになったモルをスカちゃんが引きとめ、話を聞くことに。
駐車場でスカちゃんの車に目をつけたモル。
「記憶を失うほどの事故に遭ったのに、車が無事なんておかしくないか？」
「バンパーはひどいものだったのよ。もう修理したけど。」
「普通なら廃車だ。君のケガも軽すぎる。」と矛盾点を鋭く指摘。
モルはすぐにチップに思い至って、スカちゃんに後ろを向くよう指示します。レントゲンを自分でチェックしたけど、チップなんてなかったわ！と噛み付くスカちゃん。モルは驚いて、首の後ろを再チェック。確かに首にはチップがない。そうなんです。スカちゃんは、肺がん男との契約で、モルと別れる代償にチップの安全な排除を約束されていたの。でもね、スカちゃんが取り除いたチップを欲しがった為、記憶もそっくり取られちゃうことに・・・（；；）
チップにまつわる陰謀の話をモルに聞かされ、それは半信半疑なものの、ママに嘘を吐かれたことで家族不信に陥ったスカちゃんは、失われた6年を一番よく知るモルに請われるまま、モルママの家に遺産の整理に一緒に行きます。
この遺産というのがまさに陰謀の鍵で、モルパパがモルに託した秘密であり、ここから始まる真実の追及のスタート地点になります。
お約束的な要素が多々あるにも関わらず、すごく引きこまれてしまって、ワードに落とすと１０ポイントでＡ４、４１０Ｐ程度のボリュームですが、最後まで飽きさせずに一気に読ませるんですよ！
わたしが唯一気に入らないのは、陰謀Ficなのでおばばが出てくることくらい。
でも悪役だし、別にスカちゃんとモルをどうこうってわけじゃないから、まあいいんですけどね。
どうせモルに思いきり憎まれたまま最後は死んでしまうし。
スカちゃんも彼女はもはや過去と割り切れていたようだし。
モルスカ悲劇のロマンスの裏に渦巻く陰謀もかなり作りこまれててすごいです。
先に陰謀の全容をさくっと説明しちゃいますね。
One Sonで消滅した影の政府の後継を狙う怪しい日本人がキーパーソンとなります。
スカちゃんを暗殺し、肺がん男がスカちゃんを殺したとモルに信じ込ませる。そうすればモルが肺がん男を復讐に始末して、問題のモルは刑務所行き。
彼が自分の手を汚さずに過去の体制を一層するために考えたシナリオがこれ。
で、スカちゃんを殺すために雇った暗殺者がクライチェック。
肺がん男は肺がん男で、新勢力に立ち向かうべく、モルパパが残した遺産（全人類を救うワクチン）を手に入れようと必死です。だからといって、そこでダイアナを雇うところがムカつきます。でも別に誘惑とかそういうのじゃないですよ。モルに情報を流して、行動を監視するのがおばばの役目。
その秘密の遺産をめぐって、カナダで追いかけっこが始まります。
まずグリニッジでモルママの貸し金庫に入っていたのが半分に切られた1枚の写真。その裏には地図が書かれていたのですね。カナダのモントリオールの地図です。その地図はスカちゃんが狙撃された隙に、奪われちゃうんですけど、さすがはモル。ばっちり記憶しているんですね〜。
「だが奴らもちょっとした計算ミスをした。地図ならまた描ける。」
「記憶だけで？」
私記憶力のいい人ってかっこよくってだいすきです〜♪スカちゃんもちょっとくらっときたと思います〜＾＾
モルスカは揃ってモントリオールに車で向かいます。
（弾丸はスカちゃんのわき腹を掠めた程度で済みました。スカちゃん曰く、
「ほら映画でよく言うじゃない？"ただのかすり傷だ"。」
さすがはモルの"スカリー"です。本当は傷が痛むのにぃ；；健気というか何というか・・・）
モントリオールでは、なんとモルパパの隠し子ルーシー（26歳になるモルの腹違いの妹。サマンサにそっくり。スカちゃんはモルに似ていると言ってました。）に遭遇。写真のもう半分は彼女の家にあったのです！それにしても一体いくつ秘密を隠しているんだ、モルパパ・・・（ＴＴ）
地図のスタート地点と考えられる写真の建物（研究所）を見つけ、完全な地図を辿って、山奥の洞窟に辿りついた3人（モルスカとルーシー）は、そこで肺がん男に追いつかれます。なんで追いつかれるかというと、スキさまが命がけで（というか命を落として；；）スカちゃんのチップを取り戻してくれて、スカちゃんが手元に持っていたからなんですね。そのチップが追跡装置になっちゃったという・・・皮肉な話です（TT）
最初スカちゃんは記憶が戻る保証もないのに、こんなチップを持っているのは危険だと捨てようとしたんですが、モルがそれを許さない。当然ですよね（；；）モルはスカちゃんにどうしても6年の記憶を取り戻して欲しいんですものー！！
・・・あ、そのあたりはモルスカロマンス解説の方でじっくり。
で、そこで何を見つけたかというと、焼かれた研究ノート（！）
今までの苦労はなんだったんだ・・・？って感じですが、それにはちゃーんとカラクリがあるんですね。
ルーシーを人質に取られ、揉み合った末モルは銃で胸を撃たれちゃうんですが、肺がん男は崖に転落。一刻も早く救助を！っていう切迫した状況で、陰謀家の日本人がチョッパーで登場。レーザーみたいなハイテク武器をかざし、ノートを渡せと迫るわけです。
ノートなんてない！と言い張っても聞きゃしない日本人に、スカちゃんはとにかく少しでも危機的状況を回避しようと、「あったのはこれだけよ」と自分のチップを渡しちゃうの〜／（T0T）＼
で、なんとか病院に運ばれ命を取り留めたモルですが、なんと、モルパパの残した遺産のワクチンはモルの体の中にあったという。スカちゃんはモルから流れ出る大量の血と、焼かれたノート、そしてなぜモルではなくサマンサを諦めたのか、その理由から推察してモルの血液を検査したところ、CDCでも解読不可能なワクチンが発見されたのですね。
これがモルスカロマンスと平行線で進む陰謀の大筋。凝ってますよね〜。
モルスカロマンスは、ふたりが別れを余儀なくされるところから始まります。
恋人としての関係が始まってからそんなに経っていないふたりを想定してください。
モルはスカちゃんにそれはメロメロ。出張先のモーテルでもおかまいなし。
スカちゃんはといえば、そんなモルに困りつつも、逆らえない。
禁止事項をリストアップしても、ルール違反を重ねるだけで効果なしのありさま。
だって、付き合い始めですよ、ラブラブですよ。モルに控えろって言っても無理ってもんでしょ〜（T0T）
だからね、モルは別に悪くないんですよ。もちろん、生真面目なスカちゃんが悪いわけでもない。
でも、やっぱりツケはまわっちゃいました。ふたりは仕事で痛いミスをして、1週間の自宅謹慎を言い渡されちゃいます。
スキ様はそれはそれはご立腹で、スカちゃんとモルに、その1週間はふたりで会うなとまで耳痛い言葉を。
でも、スカちゃんはこれをいい機会に少し頭を冷やしましょうと、1週間会わないとモルを説得。
気持ちがすれ違っているわけではないのに、状況がふたりでいることを許さない。メロドラマですよね〜〜〜（TT）
そんな悩み深いスカちゃんのアパートへ、深夜肺がん男が現われて、モルとスカちゃんのベッドシーンの写真を見せつけながら、困った事態になったと告げます。
モルダーにはまだ真実の追及をやめてもらっちゃ困るから、君の存在が組織に否定されたと。
このままモルの元を去るなら、命を助け、完全な自由を約束しようと取引を申し出るの。
スカちゃんはもちろんうんとは言わないのだけど、このままモルの側にいて命を落とすことになったら、それこそモルはどうにかなってしまうでしょう？
それより、命を長らえて、いつか再び一緒になれると信じて、今は別れるしかスカちゃんには選択肢がないのです（；；）
このあたりが題名のNecessary Evils（必要悪）との絡みなのかもしれません。
スカちゃんはモルに手紙とクロスを残して、FBIを辞職します。
クロスを残したのは、私を忘れないでという女の我侭ではなく、信念の証。必ず出会えると信じている―――その誓いなの。いつでもモルの手によってスカちゃんの元に返ってきたクロスだから。今度もそうなるとスカちゃんは固く信じたんです（TT）
別れの手紙は泣かせます。
愛しているから足かせになれない。愛しているからあなたには真実の追及を続けて欲しい。でも一緒にいることがその足かせになるなら、私はあなたの側にいられない。いつか真実を見つけて私に見せてほしい。その日がくることを祈ってる。永遠に愛しています。って内容はこんな感じなのですが、言葉ひとつひとつが柔らかく、愛に溢れているんですよね〜。
もちろんモルはこんなもの信じないんですね。「こんなものただの絶縁状だ！何の説明にもなっちゃいない！」と、何かがおかしい！と決めつけて（というかそれで正しいんですけど）、スカちゃんの様子をTLGに探らせます。でも結果、スカちゃんは薬を盛られたわけでもなければ、脅されている様子もない。新しい勤め先を見つけ、普通に暮らしているのを認め、監視を終わらせます。スカちゃんが自分の意思で自分の元を去ったと諦めたときのモルの絶望を思えば、胸が苦しくなります。
モルの監視が止むのを見計らったように、肺がん男がスカちゃんに再接触、チップの除去手術をすることに。
スカちゃんは保険代わりに、除去したチップを欲しいと言いますが、これがまずかった。6年間の記憶をそっくりチップごと取られちゃうんです〜〜〜（TT）
で、上でも述べたとおり、モルママの死をきっかけに会いにきたモルと、スカちゃんの記憶と愛を取り戻す旅が始まるわけなんですね〜〜〜（TT）
最初は衝突ばっかりです。中でもショッキングだった台詞がこれ。
「僕は君に信じてほしいだけだ！」「あなたのことろくに知りもしないのに！？」
いや〜・・・これはモルにメガトン級の打撃を与えたこと間違いなしです（TT）
でもスカちゃんは、モルとモルママの家に出かける前に交わした会話とモルの眼差しから、ふたりは恋人同士だったことをちゃんと感じているの。
一方モルは、あんな風に別れたこともあって、その事実を最初は言えないままなんですね。
それでもだんだん、磁石が引き合うように、少しづつふたりの距離が縮まっていく様子が、切ないやら、美しいやら、いいんです〜＞＜
モルママの家では、ママの死を悼んで初めて涙を流したモルが、スカちゃんに安らぎを求め、スカちゃんも戸惑いながら、それに優しく応えてあげるのですね（；；）
この日を境に、二人の間に漂う他人行儀なわだかまりが徐々になくなり始めていきます。
カナダに着いてからは、夫婦を装いホテルのスイートに泊まるんですけど、ベッドがひとつしかないことにやたらナーバスになるスカちゃん。その様子があんまりかわいいものだから、その不安を煽るような台詞を吐く意地悪モル（笑）
部屋に入ると大きなカウチが目に入り、モルにからかわれたと知ったスカちゃんが「銃が私の手元になくてラッキーだったわね。」とお返しした台詞に、「恋人を2度も撃つなんて、さすが氷の女王だな」とぽろっと口走っちゃうのですね。覆水盆に帰らず。言った言葉は取り消せない。モルはしまった・・・！ってパニくるけれど、スカちゃんは妙に穏やかに「知ってたわ」と一言告げるのですね。
結局同じベッド（キングサイズの端と端）で眠ることになったふたりが、最初に出会った思い出を語りながら、だんだん距離を縮め、手をつなぎ、最後には体を寄せ合って眠りに落ちるシーンも素敵です。
次の日、モントリオールは激しい雨が降っていて、その中を二人は写真の場所を探し回ります。
結局見つからないんですけど、その晩、ホテルに戻り、食事に出かけるふたりがそれはロマンティックで〜＊＾0＾＊
スカちゃんの出で立ちもかわいいのですわ〜。ネイビーブルーのシャツに黒地に青い花柄のラップスカート。それにトレンチコート。モルはチャコールグレーのヘンリーにデニムにレザージャケット。どこからどうみても魅力的な夫婦なふたりが出かけた先は、セントローレンス川のほとりのおしゃれなレストラン。
食事が終わり、妙な雰囲気に飲まれそうで、「もう帰りましょう」と言うスカちゃんにモルが「踊って」とダンスをするのね〜♪ダンスなんて何年もしてないと頑ななスカちゃんを「僕がリードするよ。」とモルはあくまでスマートに誘いだしちゃう。
曲名も"With you and Without you"なんて、まるで今のふたりにあつらえたよう・・・。
「いいじゃないか、僕らは夫婦ってことになってる。忘れた？」
「何もここにいる人たちにまでそう思わせる必要ないでしょう？そもそも私たちふたりとも結婚指輪をしてないじゃない。」
「僕らは伝統にとらわれない結婚をしてるんだ。」
「・・・モルダー、ふたりで結婚を話し合ったことはあった？・・・真剣に、だけど。」
「いや・・・僕らはまだ付き合ってそんなに長くなかったからね。 少なくとも恋人同士の期間はまだ浅かった。」
「そうだったの・・・」
「でも僕はときどき考えたよ。」
「それ本当？」
「もちろん。何をそんなに驚くことがある？」
「そうね、別におかしくはないわ。・・・ただ、男の人ってあんまり結婚については考えないものじゃない。」
「それは"結婚"じゃなく、"結婚式"の間違いだ。 でも結局心の底では男も女と同じものを求めているのさ。」
「同じものって？」
「永遠に愛し続けることができる誰か―――」
「モルダー、私・・・」
「しー・・・踊って。」
私このダンスシーンのふたりの会話が大好きで〜＞▽＜
もうたまりませんっ。
帰り道、再び激しく降り出した雨を避けるように、橋げたに逃げ込んだふたりはそこで激しいキスを交わします。
モルはスカちゃんに僕を思い出してくれと心の中で叫びながら、スカちゃんの唇を奪うわけですよ。
この辺も胸がぎゅぎゅーっと締めつけられちゃうんです〜（；；）
でもそこでモルは行き場のない怒りに襲われちゃうのですね。自分はこんなに愛しているのに、スカちゃんは以前のスカちゃんのようには自分を愛することはないんだと。
「僕は君に思い出して欲しいんだ。君に愛されたい・・・以前のように。でも君は違う。」
そしてスカちゃんに冷たく背を向けちゃうんです（TT）
気まずいまま、ホテルでも別々に床を取ることになります。『僕だったら、決して君を忘れたりなんかしないのに・・・！』と理不尽な怒りに震え、カウチで苦悩するモルの元にスカちゃんがやってきて、「以前も雨の中、あなたと一緒に捜査をしたことがある？」と記憶の断片を取り戻したことを伝えにきます。
モルはスカちゃんにさっきの態度を謝罪し、スカちゃんはスカちゃんで、「あなたは正直なだけよ。あなたを思い出せない私を怒っているんでしょう？」と理解を示します。モルは「きっと解決してみせる。僕らはいつでもそうだった。」とスカちゃんに約束するのです。
再びキスを交わし、いざ気持ちを確かめるふたりが切ないの。
「スカリー、教えてくれ・・・君にとって、ちゃんと意味があるのか？」
「―――全てよ。」
僕を愛しているかとは聞けないモルに、あなたを愛しているとは言えないスカちゃん。
それでも、ふたりは結ばれるのです。（TT）
「・・・以前と同じだった？」
「抱き合う度に違うよ・・・でも今夜は余計特別に感じる。」
この夜を境に、スカちゃんが以前のようには自分を愛することはないかもしれないというモルの不安と恐れは消えるのです。思い出せない負い目を抱え、愛していると口に出しては言えないスカちゃんを、今はこれで充分と大きく包み込んであげるの。ここからのモルの言動の端々に覚悟と強さみたいなものを感じました。
モルスカが気持ちを確かめあった次の日の朝から、陰謀ストーリーが急展開。
クライチェックが現われるわ、ルーシーと出会うわ、まさにジェットコースター！
最初モルはルーシーをサマンサと信じて疑わなかったのですが、真相は先述のとおり、モルパパの隠し子だったのですね。モルはショックを受けつつ、もうひとりの妹の存在に小さな救いを見出すのです。だってね、お互い唯一残された肉親ですから（；；）ルーシーとモルが心を通わせていく過程も読み応え充分です。
スカちゃんはモルの心の支えとしていつも側にいます。モルの愛に支えられながら、次々明らかになる真実にモルが潰されないよう力になれるスカちゃん。こういうふたりの絆が感動的なんですよね。こうも話が急展開して、モルスカロマンスはとりあえずお預けかあ・・・と思っていたら、この会話！本当に作者さんは憎い演出なさいます。
「今朝からいろいろありすぎて、昨夜のこと、何も話してなかったな・・・」
「いいのよ。今はルーシーと全人類の未来の方が、私たちの関係より大事だもの。」
「ああ・・・でも差はつけられないよ。」
微笑みながらそう囁いて、そっとキスするモルがすてきったらないです！
ルーシーの案内で山中の研究所に向かうことになったモルスカですが、そこへおばばから連絡が！新しい情報があるからモルに会いたいと言うの。スカちゃんはモルの身の安全を心配して、行かないで、せめて私も一緒にと訴えるのですが、モルは断固拒否するのですね〜。でもご安心を。その理由は、クライチェックのとき同様、おばばに銃を向けたとき、スカちゃんが止めに入ると困るからなんです。
モルとおばばの会話はとげとげしくて、冷めきった怒りに満ちてます。憎むというと、愛の裏返しと思われちゃいそうですが、そういうのとは違うんですよね。
"愛してたのに裏切った"という愛憎じゃなく、スカちゃんの辛い運命の責任の一端はおばばにあると、それはそれは憎んでるんです。このあたりがHannahさんに拍手を送りたいところ！
モルがおばばに銃と一緒に最後通告を突きつけているまさにその時、ルーシーの家でモルを待つスカちゃんの元に、スキさまがチップを手にして登場。
スキさまは肺がん男に狙撃されて命を落とすのですが、おばばから事情を聞き出し、一歩遅く駆けつけたモルはスキさまの死の責任もおばばに取らせちゃうの。後でスキナー殺害の件で取り調べるから、それまで絶対檻から出すなと警察に指示を残すんですねー。
モルとおばばの最後の会話がこれ。
「人生を賭けるだけの価値はあったか？」
嘲るようなその言葉に顔を背けるおばば。モルはふっと冷めた笑いを吐いて、「だろうな」とひとりごち、スカちゃんの肩を抱いて、振り返りもせずすたすた去っていくの。かっこよかったです〜＞＜
警察が到着して足止め食らっては大変と、3人はすぐに研究所に向かって出発します。
山中は足場も悪く、わき腹が完治していないスカちゃんにはキツイ行程となるのですが、スカちゃんはいじっぱり。モルの足手まといになってはと黙って我慢するのですが、モルにはばればれで。でも置いてはいかずに、さりげない気遣いをみせるモルがすてき。日も落ちたところでテントを張って夜明けまで休むんですが、そこでのモルスカがこれまたね〜（＊＾0＾＊）
モルパパの秘密に少なからずショックを受けているモル。目を閉じるたびに血だらけのスキさまの最期が浮かぶスカちゃん。スカちゃんは自分のためにスキさまが犠牲になったと罪悪感を感じているのですね。ふたりとも傷ついた心を抱え、安心を求め合うように寄り添うのです。（いや〜、ルーシーはさぞ所在なかったことでしょう＾＾；）
「スカリー、ずっと考えてたんだ・・・」
「何を？」
「父はサマンサがいなくなってからよく家を空けた。 今より若い頃は、それは僕のせいだと思ってた・・・サマンサを簡単に奪わせた僕を許せないんだと。」
「モルダー・・・」
「しー・・・いいんだ。今は何とも思ってない。」
鼻先を摺り寄せ、キスを交わすふたりが美しいです。
「ここ数年、僕の考えは違った。許せなかったのは僕や母ではなく、父本人だったんじゃないかとね。」
「それで今はどう考えているの？」
「今か・・・今は、父が家を空けていたのは、妹を探すためだったんじゃないか、そう思ってる。・・・ありえるかな？」
「―――ええ、ありえるわ。」
手をきつく握り確認するモルを安心させてあげる、マリアさまのように慈愛に満ちたスカちゃんに、モルは額を寄せ、「愛してる・・・」と囁くの。その言葉にスカちゃんも『私も愛してる』と答えてあげたいのに、声にならないのですね（；；）「私・・・私は・・」と口篭もるスカちゃんに「しー・・・いいんだ。 ぐっすりおやすみ、スカリー」と悲しいけれどどこまでも優しい声で宥めてあげるモルが胸を突きます。
もちろん、そこでスカちゃんがあっさり眠りに落ちられるはずもなく（；；）
スカちゃんは思い出せないことに負い目を感じて、やっぱりどうしてもモルに愛しているとその一言が口にできない。
夜明け前にふと目を覚まし、ルーシーの寝袋が空だと気付いたスカちゃんがテントを出ると、ルーシーもまた突然の兄の出現に戸惑い、ナーバス気味にタバコを吸っていたのですね。
「あたしは彼が探しているサマンサとは違う。あの人を失望させるだけかも・・・それが怖くて。」
「私も同じよ。」
「冗談！彼はあんたに夢中じゃない！傍から見てもばればれ。」
「・・・彼が愛しているのは、私が思い出せない誰かなの。」
ここの台詞はとっても胸が痛みます。
夜も明け、疲れてよく眠っているスカちゃんはもう少し寝かせておこうと、先に起きテントを出たモルですが、小川で顔を洗っていたルーシーとちょっと兄妹の会話をします。
「こんなＪ.Crewの広告塔みたいな人があたしの兄さんなんて嘘っぽい。」
「今度一緒に買い物に行くときは、君好みの救世軍の店に寄ろう。」
「ねえ！・・・あの、なんて呼べばいい？彼女はモルダーって呼んでるけど・・・サマンサはあんたのことなんて呼んでいたの？」
「"いじわる兄貴"だ。」
このときのモルはなんだかとってもうれしそうで、ちょっと胸が温かくなりました。
研究所にたどりつき、いよいよそこから地図を辿って、洞窟へ。
そこにあったのは既に灰と化した研究ノート。
怒るモルをなだめるスカちゃんですが、ふとルーシーの姿が見えないことに気がつきます。
慌てて洞窟の外に出ると、ルーシーが肺がん男に人質に！
ノートを渡せと要求する肺がん男。でも、ノートは灰ですからねえ・・・。
もちろんあっさり信じる肺がん男じゃないので、見せしめにルーシーを殺そうとします。
モルは再び妹を失うなんて耐えられないので、必死で助けるわけですね。肺がん男ともみ合っているうちに胸を撃たれちゃうんですが、それでもモルは負けなかった。肺がん男を崖まで追い詰め、落としちゃう。
これで一安心（でもないけど）というところに、先述した通り、肺がん男を追跡していた陰謀家の日本人が邪魔をするわけですよ。
それで、モルの命には替えられないと、スカちゃんはチップを渡しちゃうのですね〜（TT）
モルは意識を失いかけながら、スカちゃんに何度もそんなばかはやめてくれと訴えるんですけど・・・。
チップを諦めるスカちゃんの台詞がこれまた泣かせるの。
「いいの・・・必要なことは全て知っているから。だからいいのよ・・・」
そう、スカちゃんは自分がモルを愛していることを知っているからそれでいいのだそうです。
幸い、ルーシーが呼んだ救命チョッパーが間に合って、モルは命を取り留めます。
丸二日意識不明のモルを、側で心配するスカちゃんが涙をさそいます。
あなたに伝えたいことがたくさんあるのに・・・！って。モルの体にあった奇跡の抗体もそうですが、何より伝えたいのは「愛している」ということでしょう。
目を覚ましたモルの最初の一言がこれでした。
「必要なことは全部知ってるって・・・本心か？」
「本心よ――」
そのときスカちゃんは『愛してる』と言葉で言うより、瞳で伝えることを選んだのです。
目と目で通じ合うモルスカらしい告白ですわ（；；）
モルも納得したように、スカちゃんにクロスを返して、それを着けさせてこの一言。
「僕のスカリーは変わらない。」
どんな障害もものともしない強いモルスカに感動します（TT）
モントリオールからDCに戻り、自宅療養中のモルは退屈で退屈でたまらず、何よりスカちゃんに飢えているのですね（笑）
スカちゃんもあきれつつ、モルが望むとおり、"お医者さんごっこ"に付き合ってあげちゃう（爆）
6年の記憶がなくても、ふたりはラブラブですわ〜＾▽＾
「私が愛してるって知ってるでしょう？」
自分がそれを知っていることより、スカちゃんがモルを愛していることを知っていてくれることが嬉しいモル。
「1度愛してくれただけでも奇跡だと思ってた。」
「でも愛したわ。今も愛してる。そしてこれからも・・・。」
スカちゃんは結局チップを失ったけど、モルが希望を捨てないように、スカちゃんも記憶が戻る希望を捨てずにモルの側で生きていくのです。（スカママとも和解したようだし。）
最後ぜーんぶが全部大団円にしてしまわず、これから先の不確定だけどポジティブな未来を残して終わるところが、これまた小粋なかんじで、やっぱりHannahさんのお話好きだわ〜って思っちゃいました。
モルスカって、未来とか希望を信じさせてくれる力があるんですよね。そういうところが救いになっていると思います。
どんなに時間がかかってもいいから、やはり訳してみたいと思わずにはいられない壮大なお話でした。
☆ HISAYOの感想 ☆
ＪＮＫさん！いつも詳細でそして素晴らしく読みやすいご紹介分をありがとうございます。
私ってば本編でも政府の陰謀とかのお話になると、はぁ？ってなってしまうので今回はつまらないエピだった・・ってなってしまうのですね。
そもそも読みが浅い私はＦＩＣによって本編のモルスカの想いなんかも分からせて頂くことが多いのですけども、陰謀系もＦＩＣをたくさん読めば分かってくるかも？なんて思いました。
日本ではあまり陰謀系が絡んだＦＩＣってないような気がするので（私が知らないだけかもしれませんが）さすが本国アメリカだなぁって思いました。
？？？となるＣＣの考える陰謀よりもずっとわかりやすくて、矛盾点もないですよね。
もちろんそれをかいつまんでわかりやすく説明してくださっているＪＮＫさんのお力が一番かなと思うのですけども(^^)
それにしてもやっぱりドShipperな私はどうしてもモルスカロマンスに気持ちが釘付けになっていくわけで(*^^*ゞ
つきあいだして数ヶ月のモルスカ。それは確かにモルはスカちゃんにメロメロになり夢中になってしまうのはしょうがないことと私も思い切り頷いちゃいます。
ルールを作ってもルールを破る回数が増えていくだけっていうのがこれまた納得しちゃうモルの行動なんですけどね(^m^ )クスッ
しかしそんな幸せの絶頂の時に肺ガン男からそんなことを提案されたスカちゃん。
悲しいけれどスカちゃんらしい選択と納得せざる負えないですよね。はぁ・・なんかこういうところも本編とリンクしつつ素晴らしい内容だなぁと思えるところって感じで。でもスカちゃんがモルから離れる決意をするところは胸がつぶれそうです。くーーー(>_<)肺ガン男っっ！いつもあんたはそうだっ！そのモルスカのベッドの写真を私に渡してさっさと立ち去れーーo(><;)(;><)o
しかしモルはそういう事情も知らずスカちゃんが自分の元を去ったという事実を認めるのは大変でしょうねぇ(T.T)そんなモルを想像しただけでも・・・。
なんかこのシーンは最初のすごい山場って感じがします。
でもそういう状況になってもやっぱりモルスカ。あの二人が離れることはないとそういう運命なんだと思いますよね。情縁で結ばれていると・・そう思います。
記憶を奪われたスカちゃんだけど、やっぱりモルのまっすぐな気持ちに打たれ一緒に行動を決意してくれるところはホッとしました。
そしてそこから陰謀渦巻く中に身を投じつつも・・(T.T)
スカちゃんが記憶なくしてもモルにどんどん惹かれていく様子は見事ですよね。突然急に盛り上がるわけでもなく、モルへの思いを徐々に自分の中で形にしていくスカちゃん。
そして縮まっていく二人の距離・・・こういうところは読んでいてきゅーっと胸がなってきます。
世界一のラブストーリーはモルスカの上に成り立っていると思っている私なのでこの辺の流れに気持ちは釘付けです。
そして結ばれるモルスカ・・いいですねぇ。その前のダンスシーンから実際に結ばれるまではドキドキしながら二人の様子を読ませて頂いちゃいました。ご紹介文でありながら本当に読ませてもらっているみたいな気持ちになって(*^^*ゞ さすがＪＮＫさんですよね。
そして私は結ばれた後のモルの言葉にもうすっかりやられちゃいました。
その後もいろいろありますけども、やっぱりしっかりと心が結ばれている二人ですから離れることもなく・・・
撃たれてしまったモルだけど、それによって愛しているという言葉がどうして言えなかったスカちゃんの最後の壁が崩されたんですものね。
モルがスカちゃんにかけてあげたクロスの燦然たる光は二人の未来を示しているような気もしました(^^)
確かにスカちゃんも記憶を取り戻したわけではないし、ハッピーエンド一直線っていうわけではないですけども、これはこれでモルスカなりの形を見いだしてまた二人で歩いていくんだなとすごく納得のいく終わり方だと思います。
脇役の人たちも（この一言？？）良い味を出していてくれると思いますし、オババは撲滅だし♪
ほんと読み応えのある素晴らしい内容でした！
いつも詳細で自分も読んだような気持ちにさせて頂けるＪＮＫさんに大感謝です。
Hannah Masonさんという方は他にお話書いていらっしゃらないんですか(^^)
またぜひご紹介下さいませ〜(^▽^)/
そしていつかＪＮＫさんの翻訳で「Necessary Evils」読ませて頂きたいですm(__)m
素敵なＦＩＣのご紹介。本当にありがとうございました(^▽^)/
